- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062920711
作品紹介・あらすじ
従来、「異民族の征服王朝」もしくは「最後の中華王朝」とのみ捉えられてきた清は、満・漢・藩の「三つの貌」を持つ帝国だった。ヌルハチが統合した北方の一小国は、やがて長城を越えて北京に入城し、さらに中央アジアを制圧、康煕・雍正・乾隆という三帝のもとで最盛期を迎える。満洲語史料を読み解き、現代に続く多民族国家の形成過程を解明する。
感想・レビュー・書評
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東洋文庫ミュージアムで開催されていた大清帝国展をニコニコ美術館で生中継した時に解説してくれたのが石橋先生でした。現代の私たちが中国的なものとして捉えている弁髪や餃子、チャイナドレスなどが清の時代に広まったものだというのもそのニコ美で知り、かつ先生の語り口がとても面白くてわかりやすく、そんな先生の解説を手元に残しておきたいと思い手に取った本。
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天安門から満漢全席まで
三つの貌を持つ帝国
民族統合・建国から大清国の成立
中国内地への進出から絶対君主権の確立へ
最大版図の形成
「華夷一家」多民族王朝の確立
帝国末期の改革と保守
著者:石橋崇雄(1951-、東洋史学者) -
新書文庫
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選書メチエの「大清帝国」に清朝末期の終章などを加筆し改題したもの。清朝と言えば「満洲族の征服王朝」「漢族と同化」という視点で語られるのが一般的だが、本書はそのどちらでもない「多民族国家」としての面に光をあてている。そもそも中国内地に入る前の旗人社会に既にモンゴル族と漢族が含まれていたので、成り立ちから既に他民族性を内包していたということだ。そう考えると、故宮をはじめ宮廷建造物の額に漢語・満洲語のみならずモンゴル語・チベット語、更にはウイグル語まで書かれていることや、皇帝の避暑地である承徳にポタラ宮を模した寺院があることにも納得が行く。加筆された終章では清朝自体が揺らいだためか、この視点が見えにくかったのが残念だった。