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- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062920742
感想・レビュー・書評
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中沢新一さんが何故か日本の哲学者田邊元について書いた本だが、これ自体がひとつの哲学書であり、中沢さんの本はいつも非常にわかりやすいのに、今回は抜群に読み応えがあり、難解な部分もあった。
田邊元の「種の論理」が、なぜ中沢さんの興味をひいたのだろう、とずっと不思議だったのだが、これを読んだら納得がいった。田邊元「種の論理」(岩波文庫)を読んだときにはイメージしていなかったような解釈が施され、「ああ、そういうことだったのか」という感じだ。
西田幾多郎に関しても章を割いて記述されているが、そのへんがさすがに難しい。田邊元は数学の話題が出てこない限り、さほど難解な印象はないが、西田は最初から最後まで難しい。
中沢さんはここで、西田哲学を浮き彫りにするためにラカンを引っ張り出してくるのだが、その辺はどうも腑に落ちない気がした。
ちょっとすっきりしない部分もあったが、この本は中沢さんの著書としてはずいぶん濃密に「哲学」であり、ラカンだのドゥルーズだのマラルメだの、多様な知識を一挙に放出するかのような、息をのむ鮮烈さを有していた。