- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062921473
作品紹介・あらすじ
製糸・紡績、鉄道、鉱山、金融。日本の近代化を支えたものは戦争と侵略だったのか?本書は日清・日露両戦争と産業革命の関係を軸に、構造を変革する主体の姿を解明、新たな歴史像を描出する。明治の国家目標「殖産興業」が「強兵」へと転換する過程を追い、十九世紀末から二十世紀初頭にかけて世界経済の中で日本が選択した道を鮮やかに活写する。
感想・レビュー・書評
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タイトルを見て購入しました。「日本の産業革命」って明治時代くらいにしか思っていなかったけれど、確かにいつ頃なのだろう?という素朴な疑問から購入しました。具体的に本書は明治時代中盤から日露戦争後までにおける日本の経済面に着目した本です。データもそこまで整備されていないなかで、日本の産業面で何が起こっていたかが比較的わかりやすく記載されていると思います。また本書を読んで思ったこと、それは現在脚光を浴びている「新興国」と比べて日本の置かれていた状況がいかに違っていたか。逆に言えば先発帝国主義国に翻弄され、外資も恐ろしくて大々的に導入できなかったような状況で、よくぞ日本は経済成長した、ということです。また日本も日露戦争後に対外債務がふくらみすぎて、今でいうソブリン債務危機の一歩手前になっていたという記述も興味深かったです。
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日本が明治維新以降、富国から強兵にシフトしていく過程を描いた本だと理解しました。
ただ、産業発展の過程も丁寧に描いているので、読んでいる際にその部分に注目してしすぎると迷子になるかもしれないです。
明治維新はすごい事業と思いますが、維新直後から少しづつ混乱をしていくのは、既存の政治体制を破壊した後に大きなビジョンを持てなくなっていったことが原因なのかなとこの本を読んで実感しました。 -
いや、大変に面白い内容だった。
日本が明治維新後に『富国強兵』を掲げ、産業革命を進めた事は知っていたが、詳しく把握していなかったので、色々と考えさせられる内容だった。
以前から思っていたように明治維新後の日本は極度に外圧に対する恐れを持っている事が具体的に解説され、どのように行動したのかを知る事ができた。意外だったのは中国も欧米諸国と同じぐらいに恐れられていたことだ。
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終わりの方で『近代日本史の分岐点』について書かれていたが、ここも特に面白かった。
日露戦争の戦後処理に失敗し、世論や財政界に突き上げられるように朝鮮?南満州の支配を進め、それが軍部の独走をまねき、中国、アメリカとの関係を悪化させたという事は新たな知見だった。
アジアで孤立し、欧米諸国からは蔑まれるという状況になった時点で日本の未来は半ば決まったようなものだったのだろうと思う。 -
日本の産業革命とあるが、政治・軍事面とも絡めた総合的な観点での考察がされており、実相をより具体的に表現していると思う。個人的には豊田織機と三井資本の関係に興味あり。