日本その日その日 (講談社学術文庫)

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制作 : 石川 欣一 
  • 講談社 (2013年6月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062921787

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日本その日その日 (講談社学術文庫)の感想・レビュー・書評

  • モースさん、明治維新間もない頃の日本人をだいぶん褒めすぎではないでしょうか。日本にやってきた外国人はたいてい肥溜めの臭いに閉口していますが、そのあたりも少ししか触れられていませんでしたね。よほど日本がお気に召されたようで。でも、もうすぐ日本は日清・日露戦争に突入するのですね。

  • 江戸博で「明治のこころ展」を見てきた勢いでこの本を読みました。私は昭和25年生まれですが、「明治のこころ展」に展示してある家財道具や写真にある人々の様子は、私が子供のころ(昭和30年代)にも残っていたもので、なんだかとてもなつかしかったです。高度成長期までは実は江戸~明治が残っていたのですね。
    「日本その日その日」でモースが日本や日本人のことをとてもよく書いてくれていますが、きっとモースその人がとても愛情を持って日本や日本人に接したので、当時の人々もモースに丁寧に接したのではないかと思います。
    モースが日本人の美点として書いてあったもののうち、今では少なくなってしまったもの、なくなってしまったものも多くて、少し悲しかったですが、坂口安吾の「堕落論」で言っていた(うろおぼえですが)、時代や状況がどんなに変わってしまっていても、私達が日本人である限り、日本(のよいところやDNAみたいなもの)を見失うことはない、という言葉を信じたいと思いました。

  •  大森貝塚のモース博士の日本滞在日誌。一部削除されたが、80年前の翻訳本の再発刊本とのことで、偶然入手した本ながら一気読み。明治期の日本の様子、しかも一般庶民の様子がつぶさに記されていて面白い。当時の日本人全般がいかに礼節を持ち、諍いをさける集団であったかに、筆者が驚くさまがしばし出てくる。中々ない記録。現今の技術的にグローバルになった世界ではもはや体験不能な状況を、克明に記してくれいているのは凄い、とかいうありきたりな感想を持つ。

  • 大分削られてしまったのが残念でした。

  •  本書は、日本をたびたび訪れ数年にわたって滞在したエドワード・モースの記録です。モースといえば大森貝塚を発見した人物として記憶されていると思いますが、その彼が日本全国を飛び回り、そこでみた風景から人間の営みまでを深く描き出しています。礼儀正しい車夫、障子の破損を桜型の紙片で直す美意識。魚を売り歩く力強い老婆。盗みのない正直者の国。自然や人物に対するモースの感動が伝わってきます。
     同じような経緯によって書かれた本はいくつかあると思いますが、人びとや文化や自然に目を向ける観察眼の鋭さと、そこに文化的な優劣をつけない慎重さを備えているという点で、本書は興味深い記録です。もちろん、貝塚の発見をはじめ日本の学界に多大な功績をのこしたモースに関心を持つ方にも、よい本だと思います(そういう方はまっさきにお読みになっていると思いますが)。
     また、東洋文庫版のほうは3巻からなり、スケッチや文章が省略されていないと言うことなので、機会があればこちらも読んでみたいと思います。

  • 大学を出てきた時、私は人力車夫が四人いるところに歩み寄った。私は、米国の辻馬車屋がするように、彼等もそろって私のところに駆けつけるのかと思っていたが、事実はそれに反し、1人がしゃがんで長さの異なった麦藁を四本拾い、そして籤を引くのであった。運のいい1人が私を乗せて停車場に行くようになっても、他の三人は何らいやな感情を示さなかった。汽車に間に合わせるためには、大きに急がねばならなかったので、途中、私の人力車の車輪が前を行く人力車の轂にぶつかった。車夫たちはお互いに邪魔したことを微笑で詫びあっただけで走り続けた。私は即刻この行為と、我が国でこのような場合に必ず起こる罵詈雑言とを比較した。いく度となく人力車に乗っている間に、私は車夫がいかに注意深く道路にいる猫や犬や鶏を避けるかに気がついた。また今までのところ、動物に対して癇癪を起こしたり、虐待をしたりするのを見たことがない。口小言をいう大人もいない。これは私1人の非常に限られた経験をーもっとも私は常に注意深く観察していたがー基礎として記すのではなく、この国に数年来住んでいる人々の証言に拠っているのである。(29P)

    明治になって9年目の横浜や東京に住んだアメリカの生物学者の観察記を読んで、皆さんはどう感じるだろうか。日本人を買い被りすぎると思うだろうか。昔の日本人の高潔さに感心するだろうか。私はそのどちらとも違い、昔の日本人と今の日本人の変わっていないことに先ずは感心したのである。次に日本人と外国人との習性の違いをつくづく感じたのである。モースさんの買いかぶりと思うのは
    、昔も今も「口小言」ぐらいは言っていたのかもしれないと思うぐらい。その他、日本人の平等意識への志向、運転マナー、他人に対する距離の保ち方は変わっていないと思ったのである。そして、そのことにことさら感心するアメリカ人のいかに我々とは違っていることか。

    同時に驚くのは、モースの観察力と(日本に対する好意は隠しようもないにせよ)再検討が可能なように事実のみを記そうとしているその態度である。よって、明治初年の風俗の貴重な資料となり得ており、当時の写真やルポルタージュや社会科学的な論文が不足している中では貴重な記録になっているだろう。

    私は借りて読んでいったのだが、次々と付箋紙を貼ることになった。結果、いつか購入することを心に誓った。

    とりあえず本文引用は字数の関係でここまでにして、あとはいずれまた。
    2014年12月17日読了

  • 日本の事を好きな人が書いてくれてるから、割り引いて読まなければいけないデスネ。
    良いところも悪いところもあるのが当たり前ですよ。
    良いところだけを強調されると美しい日本といっている誰かに利用されそうで怖いです。

  • モースさんのどこまでも優しい視点。しかし、ここに描かれているのは本当に日本なのだろうか?
    国民全員が穏やかで開放的で礼儀正しく正直で清潔、好奇心に未知、親切。この200年で我々は何かを失ったのかもしれない。

  • 2013/11/2読了。
    江戸東京博物館で「明治のこころ モースが見た庶民のくらし」展をやっているので、そこへ行く前に予習のつもりで読んでみた。
    好奇心と感受性と観察眼、それに茶目っ気に富んだ一人の教養人が、宝の山に入り込んだ結果こうなったという狂喜乱舞っぷり、上機嫌っぷり、ハマりっぷりが楽しく、読んでいるこちらも笑みを誘われた。研究対象が線路の脇や魚屋の桶の中に転がっていて網を引けば何十匹も採り放題、コレクションアイテム集めに行ったら作家が出てきて挨拶されまくり、見るもの聞くものすべてが興味深い観察対象になる、そんな国に来たらそりゃまあこうなるわな、と微笑ましい。2chのスレタイ風に表すと「モース先生日本を楽しみ過ぎワロタwww」といった感じなのである。
    もちろん当時の帝国大学お雇い外国人としての特権を活用しての活動であり、敢えて書かなかった嫌な体験もあったろうけれど、それでも心の底から異国での生活と研究と収集を楽しんでいる様子が伝わってくる。先生が日本のためにして下さったことを考えると、これくらいは楽しんでいただかないと申し訳ないところだ。
    逝きし世の面影に過ぎない明治の日本の姿よりも、異文化をこれだけ尊重しポジティブに楽しむことのできるモース先生の教養と人柄が、読後の印象に強く残る。

    2013/11/17、「明治のこころ」展に行ってきた。モース先生よくこんなものまで集めたなと感心する充実の展示だった。驚いたのは、職人が実際に使い込んだ道具や、お婆さんが34年間使い込んだ火打石、商店の看板までがコレクションされていたこと。これ、先生にあげた方は次の日から困ったのではないか。そこで思い出したのが、大隈重信に陶器を見せてもらったときのエピソード。陶器を先生に見せているうちに、大隈重信が「なんだか上げなければいけないような気になって」全部先生にあげてしまったという例の話。たぶん職人もお婆さんも商店主も同じような気になってしまったのではないか。やっぱりモース先生いい人だったんだなあ。

  • ○この本を一言で表すと?
     明治時代の親日家モースの日本滞在記


    ○面白かったこと・考えたこと
    ・「汚い子供」「醜い姿」など率直な感想も交えつつ素直な感想としての称賛が書かれていて、日本人向けに迎合して書いたわけでなく、自分が思ったことを書いたのだろうなと思いました。

    ・「逝きし世の面影」で書かれていた肯定的に捉えた日本人の姿の大部分とモースの感想が重なりました。実際にモースの著作からの引用が多くされていたので、その元に当たることができてよかったです。

    ・モースが書いた挿絵が、モースが感じたこと、見たものを伝えていていいなと思いました。絵心があればこういったことも残せるのだなと羨ましくも思いました。今だと写真で取るのでしょうが、絵で描かれていることでまた味があるなと思います。

    ・日本初の学会設立に携わったり、考古学などで貢献したり、モースは日本の学問の基礎の一部を築いた人なのだろうなと思いました。

    ・日本食を楽しめるようになったり、日本の風流さを楽しんだり、現地に密着して研究する研究者として、また純粋にその風土を楽しむ者として、よい生き方をしているなと思いました。講談を楽しむところなど、かなり理解も進んでいるなと思いました。


    ○つっこみどころ
    ・モースが親日家過ぎてかなり良い方向にバイアスがかかっているなと思いました。「逝きし世の面影」では日本に嫌悪感を抱いた外国人の話も載っていましたが、そちらの視点でモースと同じような立ち位置の人の日記があれば読んでみたいと思いました。

    ・犬がどのような態度を取るのか調べるために石を投げつけたり、学者らしい倫理の欠け方をしているところもちょこちょこあるなと思いました。

  • 大森貝塚を発見したモースは明治の初めに来日。
    新鮮な驚きを持って、この民族と文化を賞賛してやまない。
    現代の暮らしとは大きく違う当時の庶民の暮らしぶりがうかがえる。

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日本その日その日 (講談社学術文庫)の作品紹介

大森貝塚の発見で知られるモースは、東京大学教授として滞在する間、膨大なスケッチと日記をのこしていた。その記録には、科学者の鋭敏な視線と、異文化を楽しむ喜びに満ちている。明治初期の文化風俗を語る際に欠かせない重要史料であり、なおかつ、読んで、見て楽しい日本滞在録。

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