ウィトゲンシュタインの講義 ケンブリッジ1932-1935年 (講談社学術文庫)

著者 :
制作 : アリス・アンブローズ 
  • 講談社
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本棚登録 : 119
感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062921961

作品紹介・あらすじ

「言語ゲーム」という考えが熟していく中期から後期に到る変化とは。ウィトゲンシュタインの哲学の手ざわり、魅力にあふれた一冊!

感想・レビュー・書評

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  • ウィトゲンシュタイン後期の結実『哲学的探究』は抜粋でしかまだ読んでないので、私は甘いのだが、この本で後期の彼の考え方が大体理解することができたように思う。
    「黄色本」と言われるものも、本書にその一部が収録されている。ちくま学芸文庫の『青色本』を読んだときはその中身がよくわからなかったのだが、本書を読んで、ウィトゲンシュタインのいう「言語ゲーム」という思想の面白さを体験できた。
    ウィトゲンシュタインは何かというと恩師バートランド・ラッセルの思想を批判する。他に言及されているのは数学者たちであり、既存の哲学者に関しては何も語らない。いちいちラッセルを批判するというのは、この師匠と対立することで、ウィトゲンシュタインは自己の思想を確定できたということだろうか。
    最後の方の数学の話(数式が出てくる)はやはり苦手だったが、やはり「言語ゲーム」の考えが魅力的で、彼はソシュール言語学を踏まえたわけではないような気がするものの(ソシュールの一般言語学講義が出版されたのは1928年だが、ぜんぜん言及されていない)、考え方の一部はソシュールに近いようにも思った。
    本書が面白かったので、『哲学的探究』全文を読んでみたいと思っている。

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著者プロフィール

1954年(昭和29年)東京都に生まれる。85年東京大学大学院博士課程修了。東京大学大学院教授を経て、現在、立正大学文学部教授。専攻は哲学。著書に、『論理学』(東京大学出版会)、『心と他者』(勁草書房/中公文庫)、『哲学の謎』『無限論の教室』(講談社現代新書)、『新版論理トレーニング』『論理トレーニング101題』『他者の声 実在の声』(産業図書)、『哲学・航海日誌』(春秋社/中公文庫、全二巻)、『はじめて考えるときのように』(PHP文庫)、『ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む』(哲学書房/ちくま学芸文庫)、『同一性・変化・時間』(哲学書房)、『ここにないもの――新哲学対話』(大和書房/中公文庫)、『入門!論理学』(中公新書)、『子どもの難問――哲学者の先生、教えてください!』(中央公論新社、編著)、『大森荘蔵――哲学の見本』(講談社学術文庫)、『語りえぬものを語る』『哲学な日々』『心という難問――空間・身体・意味』(講談社)などがある。訳書にウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』(岩波文庫)、A・アンブローズ『ウィトゲンシュタインの講義』(講談社学術文庫)など。

「2018年 『増補版 大人のための国語ゼミ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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