雨のことば辞典 (講談社学術文庫)

著者 :
制作 : 倉嶋 厚  原田 稔 
  • 講談社
3.86
  • (13)
  • (20)
  • (15)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 750
感想 : 26
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062922395

作品紹介・あらすじ

季語から気象用語、各地の方言まで、雨にまつわる言葉だけを約1200語集めた辞典。花時雨、狐の嫁入り、半夏雨、秋霖、氷雨…。日本の雨は四季のうつろいとともにその様相が千変万化する。そのさまざまな雨の姿をとらえ、日本語には、陰翳深くうつくしいことばが数多くある。雨は文学作品にもたびたび描かれ、詩歌にもよまれてきた。これらの「雨」をあらわすことば、「雨」にまつわることばを集めた辞典。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 元気象庁の主任予報官だった著者がまとめた一冊が、この「雨について考える辞書」。
    驚くことに、全部で1200語もある。雨だけで。
    季語は言うに及ばず、気象用語、各地の方言や雨にまつわる言葉たちとその解説の本だ。
    画像も挿絵も一切ないのに、豊かなイメージが次々にたちあがる。
    辞書には載ってない、歌人が作ったという言葉さえある。
    光と色と風と、その上雨のにおいさえ漂ってきそうだ。

    雨降り花、梅のつぶやき、風の実、桜ながし、定めなき雨、清露、花時雨、白映え、星屑の雨、夕時雨、余花の雨、リラの雨・・・なんと美しい。

    「秋霖(しゅうりん)」という言葉を覚えたのは大人になってから。
    ところが、その「霖」の文字が入る雨の言葉がいくつもあったということも今回の発見。
    3日以上続く雨のことを「霖」の文字で表わすのだと言う。
    そして、16編のコラムの興味深いこと。
    「雨」だけでは季語として成立しないことや、日本の雨の特徴や雨を呼ぶ風と雲などもついでに学べてしまう。
    五月雨の季節に恋の歌が多いのは、「長雨でものおもいにふけりやるせない気分になるから」というのが、民俗学者の間では定説らしい。
    王朝時代から現代まで連綿と続くひとの心に、思いをはせて一句・・といきたいところ。
    ついでに、我が家の近くの海岸では「利休鼠の雨」が降り続いた今日。
    「送り梅雨」と言うには優し過ぎた。

    この本が出てからすでに20年近い。
    梅雨の様相もだいぶ変わって「しとしと」からたちまち「土砂降り」となり、殆ど狂ったように降り続く。
    古の人々が愛した「雨」は、もう戻らないのだろうか。

  • 10月21日夕方、長雨が続いている。台風21号が近づいていて、衆議院選挙の期日前投票に長蛇の列が並んでいると、人づてに聞く。この雨が、明日にどう影響するのか、書くのが怖いので、私は今この雨を適切に表す言葉がないか?探して紐解いた。そういう使い方を、時々この文庫本でしている。

    「通草腐らし(あけびくさらし)」
    秋の長雨。降り続く雨が通草に実を腐らせるところからいわれる新潟県佐渡地方の言葉。

    日曜日あけび腐らし票押え

    「冷雨」
    晩秋に降る冷え冷えとした雨。野山を紅葉させる雨であり、一雨ごとに木々の葉に赤や黄の色を置き添えていく。

    ヨタヨタの兄貴の背中に冷雨かな
    2017年10月21日記入

  • 雨を表す言葉がこれだけ沢山あるのかとびっくり。
    雨の降り方、強さ、雨粒の大きさ、雨が降る時間帯(朝昼夜など)、季節、何月か、雷や風などをともなっている、情緒、などなど。
    何かを書くときの参考書としてもいいし、天気に関する読み物としてもかなり読み応えがあります。

  • えも言われぬ情緒を醸し出す雨。日本語にこれだけ雨の表現があることに驚き。雨を表す言葉を集めた読む辞典。

    俳句の季語となったり、季節ごとの雨の言葉をまとめた辞書。

    2000年に刊行された本の講談社学術文庫版。学術文庫は後世に残したい名著が多い。

  • 雨にまつわる言葉を拾い集めた小辞典。万葉の昔から現代まで、俳句の季語から気象学の専門用語まで、夥しい数(なんと千九百余語)が収められている。
    異なる時や場所に降る雨はそれぞれ異なる名を持っている。雨の数だけ季節や景色があるのだなあ、豊かさの証である。

    農耕民族らしく、農作業を妨げる雨の名前がいくつもあって、どれも「サボれて嬉しい」という意味なのが可笑しい。

    「雨と冬と夜を三余という。冬は年の余、夜は日の余、雨は時の余。雨が降る日は外で働くことができず、時間に余分が生ずるというのである。『三余は読書にあてるべし』と。『晴耕雨読』ともいう。」

  • こういうのも好き。よく集めたなあと思う。日本語は面白い。

  • 雨の日にみんながどんよりしたら嫌だったので
    雨の言葉をいっぱい知ろう!と思い購入

    知らない言葉や間違って覚えていた言葉など
    色々あって面白い!

  • 読んで楽しい辞典
    雨の名がこんなにもあるのかと驚かされる。
    地方の雨の名や俳句、データ、写真、またいろいろな文献からの引用もあって、興味の幅が広がる。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/741138

  • 雨のことけっこう好きなのに、晴天を「いい天気」と言ってしまう。雨のことをもっと知りたくて、誰かに雨のことを褒めまくりたくて、読んでみた^^

全26件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1924年長野県生まれ。気象庁主任予報官、鹿児島気象台長などを経て、NHK気象キャスターに。理学博士。著書に『日本の空をみつめて』『やまない雨はない』『倉嶋厚の人生気象学』、編書に『雨のことば辞典』『風と雲のことば辞典』など多数。2017年没。

「2019年 『花のことば辞典 四季を愉しむ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

倉嶋厚の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×