からだ・こころ・生命 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062923248

作品紹介・あらすじ

著者は、精神科医として絶えず精神疾患という具体的現実と向き合い続けながら、精神病理学と哲学を往還する独創的な学問的地平を切り拓いてきた。症例分析を通じて「もの/こと」や「あいだ」といった柔軟かつ強靱な概念装置を創出し、独自の自己論、時間論を鮮やかに展開、その思索は生命の根拠の探究へと旋回する。「からだ」と「こころ」はどのように関係しあっているのか。「生きる」とは、そして「死」とは?木村生命論の内実と射程を雄弁に語る好著。解説:野家啓一

感想・レビュー・書評

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  • 「自己とは何か」を追求する著者が行った二つの講演をまとめたもの。

    ・第一講演「身心相関と間主観性」
    「主観/主体」を手がかりに、身心二元論を乗り越えようと試みている。
    ・第二講演「人間学的医学における生と死」
    第一講演の生命論を「生と死」という主題にまで発展させ、それを基盤に現代医学のあり方を問い直している。

    各講演とも40頁程度で、かつ5,6の節に分けられているので、初学者であっても読み進め理解することが可能。
    ただ、なんとなくわかったような気にはなるが、完璧な理解には程遠い。心の経験をより積んでいけばもっと身を持って理解できるようになるのだろうか。

  • 現象学を医学の現場で、科学の視線を持って実践して著者が辿り着いた知の領域。
    適切な例を挙げて説明されている為、間主観性への理解が乏しくても話について行ける。

    整理された思考。
    整然とした論理展開。
    丁寧な説明。
    どれを取っても満点なのですが…

    自分の知識や思考力不足の為に分からないところがあるので⭐️一つ減^^;
    本のせいではありません。今後著者の本やヴァイツゼガーの著書を読んでまたチャレンジしたいです。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/741235

  • 人間には人間同士を人間仲間として見分ける能力が先天的に備わっている。

    死と他は等価である。

    生き物の存在の意味は生き続けること。

    関係や境界は必ず相手を生み出す。
    境界を引く=新たなものを作り出す。

    身体と環境の境界として心がある。

    意識する働きを意識する。

  • 学生のときに勢いで著者の『自己・あいだ・時間』や『分裂病と他者』などの代表作を読んだ。『生命のかたち/かたちの生命』『偶然性の精神病理』『自覚の精神病理』といった本も続けて読んでいるので、何か重要なものがそこにあると感じていたのは間違いない。精神病理を現象学的に捉えたということで、どこか人間心理の深い真実に連れていってくれているような気がしていたのだ。同時に、その思想の根幹について、分かったような分からないような状態で読んでいたのもまた確かだ。という思いをもって、久しぶりに読んだ木村敏の著作は、最近の二本の講演をもとにした比較的短いものであった。

    「心的経験には単なる脳のソフト機能以上の、つまり脳というハード機構にはどうしても還元できない、なんらかの特別なありかたが備わっているからに違いありません」という著者の主張に対しては、それは自明なことではないと今は考える。ネーゲルの「コウモリであるとはどのようなことか」を持ち出し、その主張にある程度寄り添いながら、心身相関の問題を単なる主観性の問題ではなく著者が主によって立つ概念である「間主観性」の問題であるとする。そして、主体を環境世界との「境界」こそが、主体それ自体であると主張するのである。

    ということで、、、やはりわからんなというのが、最新の感想でもあるのだな。

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著者プロフィール

1931年生まれ。京都大学名誉教授。著書に『木村敏著作集』全8巻(弘文堂)、『臨床哲学講義』(創元社)、共訳書にヴァイツゼカー『ゲシュタルトクライス』(みすず書房)ほか。

「2020年 『自然と精神/出会いと決断』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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