自然魔術 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062924313

作品紹介・あらすじ

デッラ・ポルタは16世紀から17世紀、イタリア・ルネサンス後期に活躍した自然探求者・技術者である。自然魔術師とも呼ばれる。その著書『自然魔術』は、古代ローマの学者プリニウスの『博物誌』と並び称される、自然に関する知識と観察・実験の成果をまとあげた書物である。
内容は、当時の自然観が率直に語られる一方で、動植物の生成、磁石、医術、女性美、蒸留、芳香、火薬、料理、狩猟、光学(レンズ研究)などについて、見聞と著者自身による実験観察をもとに詳細に語られている。いわば自然に関する知識の万華鏡とも言える。
デッラ・ポルタの近代科学への貢献は大きいと言われるが、その反面、黒魔術と呼ばれる錬金術についても言及されており、その技術は改良されることによって明るい見通しがつくとしている。ただし、錬金術師たちが吹聴しているようには「金」も「賢者の石」も「不老不死の妙薬」も作り出すことは不可能と断言している。
本書は博物誌としての歴史的意義とルネサンスから近代への思想的転換期を現している書物の抄訳。

感想・レビュー・書評

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  • なかなかこれを全部読むのは難しいよね
    読めないわけじゃなくて、これを読む時間で違うものを読みたくなる
    ルネサンスってもこんな世界観だったのか、と興味は満たされる

  • 『プリニウスの『博物誌』と並び称される』と紹介にあるように自然や当時の化学の集大成でした。
    プリニウスの時代から変わっていないような記述もありますが当時の最先端であろう技術もあり読み物として楽しめました。

  •  世の中の事象について様々な文献と経験、実験からその理由を解き明かした集大成であり、科学が宗教、哲学から独立する、まさにその時を垣間見ることができる。乾湿、冷熱、男女といったところに理由を求めているものの、経験と実験を重視し、”神がそう定めた”、”そのように定められている”というだけの結論にはならないよう書かれている。生物が泥の中から自然に発生することを肯定する一方で蒸留や製鉄などは比較的正しい記述となっている。中でも磁石とレンズは現代においても十分に通じる内容となっており、そのあたりからも科学が生まれようとしていることが見て取れる。

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