そして、星の輝く夜がくる (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 717
感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062930444

作品紹介・あらすじ

東日本大震災の爪痕が生々しく残る東北地方の小学校に、神戸から赴任した応援教師・小野寺徹平。かつて阪神・淡路大震災を経験した彼は、心に傷を負った子どもたち、父兄たちとの”本音の交流”を通して、被災地が抱える問題と向き合っていく。「ハゲタカ」シリーズの真山仁が挑んだ、渾身の震災文学。

感想・レビュー・書評

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  • 会社の先輩に3冊本をお借りした同じシリーズで3冊。

    先ずは一冊目。
    この本は東日本大震災後の東北が舞台になっている。


    忘れもしない。あの日。
    私が36歳の時、ちょうど主任研修を受けている時だった。

    会社ではなく、浜名湖畔の研修センターに全国から社員が集まり、研修を受け、親睦を深める為の宿泊研修の2日目だった。
    班ごとに机を合わせ、筆記中。。。

    私のペットボトルのお茶が揺れていた。
    「あ、地震だ。」
    私が言うと、班のメンバーは、
    「消しゴムだよ。」
    と。(・・;)

    そのうち、全員が異変に気づき始める。
    大きく研修センターが揺れ始めたのだ。
    震度3くらいだったはずだが、大きく、長い揺れだったことを記憶している。

    揺れが収まった頃、人事担当の人が研修開場に飛び込んできた。

    「東京方面の人、すぐに帰り支度をしてください。帰れない可能性があります。直ぐに支度してください!
    関西方面の方はそのままお待ちください。」

    東京方面から参加していた人がゾロゾロと開場を後にした。

    暫くすると、全員に帰宅命令が。

    「電車が止まっています。浜松方面の人も帰宅出来ません。車でお越しの方は、浜松方面の方を乗せていってあげて下さい。」

    私は同じ工場の方を乗せて帰宅した。
    本当は高校時代の友達と飲み会の予定があったのに、飲み会は勿論中止(-。-;
    ↑こんなことくらいでぶつくさ言ったらバチが当たりますね。

    その日は結局東京方面の人は帰宅出来ず、もう一泊することになったらしい。



    さて、この本は、東日本大震災被災地にある遠間第一小学校に、自身も阪神淡路大震災での被災経験がある小野寺徹平が、神戸から応援教師として赴任してくるところから始まる。

    関西弁の面白おかしい小野寺先生。
    関西人らしく、ユーモアのセンスも溢れている(^^)

    被災地の子供たちの裡に秘めていた我慢を心配し、子供たちが本当に嫌だと思っていたことを書き記し「わがんね新聞」を発行したり、福島原子力発電所に勤める父親を持つ転校生が「“ゲンパツ”」と同級生から呼ばれていた問題に真っ向から向かったり、学校からの避難の最中に教え子を亡くした教師の苦悩を救った。、災害ボランティアの問題に首を突っ込んだり。。。

    小野寺先生の奮闘から、小学校を舞台に被災地のリアルが伝わる物語。


    教師の物語だが、GTOや、ごくせんのやんくみのようなすっごい先生って感じでもなく、どちらかと言うと校長の方が、スラムダンクの安西先生のような雰囲気でかっこいいかな??

    次に進みます( ̄^ ̄)ゞ

    • bmakiさん
      1Qさん

      読書を制するほど、時間が無いのですよねーーー。
      1Qさんと一緒で、読書の時間を捻出するのが難しい〜(-。-;

      読書よ...
      1Qさん

      読書を制するほど、時間が無いのですよねーーー。
      1Qさんと一緒で、読書の時間を捻出するのが難しい〜(-。-;

      読書より睡眠が大事なタイプなので( ̄▽ ̄)
      2024/03/11
    • 1Q84O1さん
      睡眠も制したいです!
      二度寝、三度寝、昼寝したいです!
      睡眠を制しながら今はコツコツ本を読みたいと思います…
      睡眠も制したいです!
      二度寝、三度寝、昼寝したいです!
      睡眠を制しながら今はコツコツ本を読みたいと思います…
      2024/03/11
    • bmakiさん
      1Qさん

      昼寝毎日したいですー。
      午後の仕事、時々耐えきれないことも。。。
      私もコツコツ本読みたいと思いますo(^▽^)o
      1Qさん

      昼寝毎日したいですー。
      午後の仕事、時々耐えきれないことも。。。
      私もコツコツ本読みたいと思いますo(^▽^)o
      2024/03/12
  • 2011年3月11日
    日本人の意識が変わった日
    津波、原発事故、危機管理、絆、ボランティア...

    東日本大震災で被災した小学校に応援教師として赴任してきた小野寺
    小野寺自身も阪神淡路大震災で妻子をなくしています。
    そんな小野寺と傷を負った子供たちや父兄、地域の方々と、被災地の問題への取り組みが語られている短編連作の物語。

    ■わがんね新聞
    赴任した小野寺が一番最初にやったこと。
    子供たちの不満や怒りを吐き出させるために作り始めた壁新聞
    変わり始める大人たち、元気になっていく子供たち

    ■”ゲンパツ”が来た
    福島第一原発から避難してきた子供の案件から、原発問題に
    偏見、それぞれの本当の想い

    ■さくら
    これは辛い
    津波避難時に目を離した隙に生徒の女の子が行方不明に
    結果、女の子、そして校長先生が犠牲に
    その事件の真相は...
    ミステリチックな展開ですが、とても重い話でした。
    鼻の奥がツーンと来ます

    ■小さな親切、大きな...
    ボランティアの問題
    ボランティアと地元住民の間の関係に踏み込んでいます。

    ■忘れないで
    阪神淡路大震災の慰霊祭のため帰省した小野寺
    自身の経験も思い出しながらも、震災を忘れたほうがいいのか、どうなのか自問、そして恩師の言葉
    「人は本当に大切なことは決して忘れない。けどな、過去に縛られたらあかん。大切なのは今日であり、未来やろ」
    慰霊祭に集まる人の理由.
    「明日も生きる勇気をもらいに来ているんや。一生懸命がんばるから、天国から応援してなって」
    目頭が熱くなります。

    ■てんでんこ
    流された二宮金次郎像が発見。
    これを卒業記念に修復することにした子供たち。あらたな金次郎像のデザインは..

    続編もあるそうなので、ぜひ、そちらも読みたいと思います。
    とってもお勧め

  • そして、星の輝く夜がくる 真山仁


    1.小説より
    「人は大切なことは、決して忘れない。
     けどな、過去に縛られたらあかん。
     大切なのは、今日であり、未来やろ。」

    多くの事件、事故がニュースで流れます。
    そして、また、新しい報道で上書きされていく日常です。
    それらに対して、私自身が何を感じ、何を考えているのか? 
    時間をつくることにより、少しだけ遠い未来を想うことにつながっています。
    そんなことに気づかせてくれた作品です

    2.購読動機
    久しぶりの小説を読むにあたり、取材から掘り下げて執筆する真山さんをチョイスです。

    ドラマ「ハゲタカ」のあと、バラ色の未来/カジノ誘致、虚像の砦/放送認可、マグマ/地下熱発電、オペレーションZ/国家財政、標的/女性首相、そして、雨にぬれている/東日本大震災と読んできました。

    今回、前回に続き、東日本大震災がテーマの作品です。

    3.読みながら
    自然と頬を濡らしていました。
    何に対してなのか?

    震災のなか生活する子供たちの表情が見えてくるからです。

    周りの大人たちが大変な状況をみて、「迷惑、心配をかけまい」とする心が読者の私たちに痛いほど伝わってきます。


  • いわた書店さんの一万円選書で選んでいただいた一冊。東日本大震災、学校など今の自分と少しリンクする内容があり、とても考えさせられた。
    たくさんの生徒や職員、地域の人々が悲しみを抱えながらも、小野寺先生の明るい人柄に背中を押されながら力強く生きていく。
    「人は本当に大切なことは決して忘れない。けどな、過去に縛られたらあかん。大切なのは今日であり未来やろ。」
    辛い悲しいことを乗り越えた人だから言える、力強い、そして重みのある言葉。読んでよかった。

  • 「忘れないで」本文の中で、一部の震災者からのメッセージだが、同じ状況の中でも捉え方は人それぞれでした。私は震災者ではないので、その人たちの心境など分かるはずはないのですが、なぜか頭に残る言葉です。

  • ハゲタカのイメージとは一線を画す作風。

    経済小説メインかと思いきや、解説で阪神大震災の被災者とのこと。
    おそらく言えなかった本音の部分がこの本を通じて表現されているんだろう。

    震災を忘れないでとはどういうことなのか等、一つ一つの言葉が重たい部分もあるが、前向きに生きていくための考え方が、まいど先生を通じて語られる良い作品だった。

  • 今まで読んだ東日本大震災の本と比べて、新たな角度から見た震災と向き合う人々の話。小野寺先生のような先生に出会えた生徒は幸せです。

  • ブクログの評価だけで、何も考えずに続篇の「海は見えるか」から読み始めてしまって、後から1作目の今作を読んだ。
    2011年3月11日。未曾有の大震災、そして津波に襲われ、多くの人の命を奪った東日本大震災。
    被災した東北の架空の町・遠間に志願して、派遣された阪神大震災の被災者でもある「まいど先生」こと、小野寺の奮闘記を描いた作品。
    あくまでも架空の町が舞台なのだけど、描かれいる事実にはほぼ本当の名称が使われている。
    マスコミが創り出した「可哀想な子供達」の本音を「わがんね新聞」を通じて、引き出してみたり、原発の問題にも真正面から取り組んでいる姿勢に、すごく感心した。
    自分の身内も原発の影響を受けた。しかし、あの地区に住んでいた人の多くは、危険と隣り合わせであることは理解していたこと知っている人は意外に少ない。そして、自分の命を顧みず、事故後も原発の中に残って作業をしている人がたくさんいることも、知られていない。
    福島と言う児童の言葉として、この事実が語られていたことに非常に感銘を受けた。
    そして「さくら」の章では、大川小学校の被害をどうしても思い浮かべてしまう。2作目から読んだからこそ、明るいと思っていた三木先生の心の傷に号泣。
    助かったことを責められながらも、命を助けられなかった人たちのために生きることを選択した三木先生の決断に勇気をもらった。
    ケツメイシの「さくら」をちゃんと聴きたくなった。

  • テンポよく読めたけど、そこまで泣けるってほどでもないな。
    被災しなかったからなのかな。
    主人公のキャラにちょっと引き気味。
    子どもたちや周りの人々はとても良いと思う。

    続編もあるのか・・・

  • 経済ものの作家という著者のイメージから、この作品には意外感があった。
    しかし、著者が阪神淡路大震災で被災していると知り、彼にとっては書くべき作品であったと、納得。
    東日本大震災で被災した小学校へ、阪神淡路大震災で妻子を失くした主人公が、応援教師として赴任。彼は、関西人のノリで子供たちの本音を引き出し、被災地の抱えるさまざまな問題に取り組んでゆく。読んでいて爽快感を覚えると言ってしまったら、被災者に対して不適切発言になるだろうか。
    3.11から7年が過ぎ、当事者以外はややもすると、過去の出来事との思いに至りがちになる。
    そんな時、折に触れてこの作品を読み返すのもいいだろう。
    続編の『海は見えているか』も、続けて読んでみたい。

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著者プロフィール

1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー。映像化された「ハゲタカ」シリーズをはじめ、 『売国』『雨に泣いてる』『コラプティオ』「当確師」シリーズ『標的』『シンドローム』『トリガー』『神域』『ロッキード』『墜落』『タングル』など話題作を発表し続けている。

「2023年 『それでも、陽は昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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