白い遠景 (講談社文庫)

著者 :
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062930574

作品紹介・あらすじ

終戦前の数ヵ月間は、太陽も、空も、道も、焼跡もすべて白っぽかった――。

吉村文学の原点である戦争、そして文学をめぐる真率なる言葉の瑞々しさ

作家・吉村昭の精髄

あとがきを書きながら、早くこの随筆集を手にしたい気持ちがしている。随筆集は、書く者の自画像に似たものだが、自ら描いた自分の顔をあらためてながめまわしてみたいからだ。――「あとがき」より

終戦を境にして戦時中から著しく変化した人間の不可解さを見きわめることを出発点とした吉村文学。現地に足を運び、戦争の生存者の声に耳を傾けた記録。また、大切な古本を庭に埋めて空襲から守った思い出や、文学とはなにかを学んだ「暗夜行路」の舞台を巡る旅など、作家の原点を浮彫りにした初期随筆集。

感想・レビュー・書評

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  • 読ませる、読ませる。
    吉村文学のよってくるところがわかる随筆の数々です。

    特に「小説と<私>」と題して、まとめてある文章に興味を覚える。岡本この子、林芙美子、平林たい子、志賀直哉に文章や描くということを学んだというところに、恐れ多くも親しみを感じる。

    また戦中戦後に専門書・資料などの書物を苦労して求めたのにもかかわらず、それを売ってしまって生活のたしにしたという、作家ならずとも悔しかったろう話。
    現代なら図書館あり、ネットあり、方法はある。
    隔世の感ありて、先人の苦労がしのばれる。
    吉村氏の誠実さが好もしい。

  • 前半が面白かった。

  • 吉村昭の随筆集。作品を読んでなくてもこれを読むと、小説を読みたくなる。
    吉村昭の人柄も見えて来る。

  • 最初の方は戦争や死が顔をのぞかせて、ぞっとするようなものもあったけれど、後半は筆者の癖が垣間見れて面白かった。
    プロの作家さんでもこんなに悩むのだなと思いつつ、これだけの読書量と、日本語への神経質なまでの扱いは、やはりプロだと感じた。

  • 終戦を境にして戦時中から著しく変化した人間の不可解さを見きわめることを出発点とした吉村文学。現地に足を運び、戦争の生存者の声に耳を傾けた記録。また、大切な古本を庭に埋めて空襲から守った思い出や、文学とはなにかを学んだ「暗夜行路」の舞台を巡る旅など、作家の原点を浮彫りにした初期随筆集。

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著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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