光る牙 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 86
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062930628

作品紹介・あらすじ

厳冬の北海道、消息を絶ったカメラマン捜索のため、若き森林保護官はスキーを履き、険しい山中へ向かう。カメラマンは無残な遺体で発見され、手負いの羆は銃殺され事件は一件落着したかに見えた。しかし、噛み跡はその羆のものより遙かに巨大だった。最強の野生動物「羆」との壮絶な死闘を描く、元自衛隊の、期待の大型新人による傑作山岳小説。

はかりしれない自然への畏怖の念。血が騒ぎます。胸をうちます。冒険小説ファンは必読。驚くぞ。読むべし!―池上冬樹(文芸評論家)

生きとし生けるものすべてへの畏敬の念が静かに満ちている。―角田光代(作家)

むせかえるような自然と獣の匂い、五感の全てを刺激する傑作。―さわや書店フェザン店 松本大介

感想・レビュー・書評

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  • 北海道の森林保護官が遭遇する巨大な羆。
    消息を絶ったカメラマンの捜索から始まり、羆は銃殺されるも、それでは終わらなかった。
    その羆よりも遥かに巨大な羆がいる。
    元自衛隊のベテラン山崎と新人の孝也の緊迫した山での状況と緊迫した羆との壮絶な闘いは手に汗握る迫力だった。

    2024.2.1

  • 登場する羆は少し現実離れしているような印象だが、とにかく引き込まれた!

    天気や山の風景、車や銃の感触など細かい描写が多くて、臨場感があったからかな。主人公と同じ目線になれて読み進めることができた。
    とくに追われながらの下山の際など、主人公の気持ちがこちらにも伝播してくるようで、まさに手に汗握る展開だった。
    読みやすい一冊なので、小説は苦手という方にも読んでもらえるかなと思う。

    あと、著者は山というか自然が好きなんだなと強く感じた。括り罠の件からは警鐘を鳴らしてるように思うし、白い個体は山の総意のように描いているし、山に携行する装備についても抜かりはない。
    もとが自衛官というのもあるかもしれないが、好きじゃないと書けないような気がする。
    私も山登りをするので、そういった点でもとても楽しめた一冊!

  • 単行本で読んでいたが、文庫化されたので再読。再読しても、なお面白い。北海道の大自然を舞台にした傑作冒険小説。

    森林保護官の山崎と樋口は冬山で、夕食カメラマンの渡辺の惨殺死体を発見する。渡辺を殺害したのは、日本最大の猛獣、羆であった。

    僅か230ページあまりの作品であるが、内容はかなり濃厚で、北海道の厳しい大自然、息詰まる羆との死闘が迫力を持って描かれる。数ある羆小説の中でも上位に入る傑作。

    解説は、角田光代。

  • 初めての熊作品。読み始めてすぐにその場にいるかのような臨場感を味わえた。山の中の風、匂い、音、雨や雷などの自然と、人々の息づかいや羆の咆哮がリアルに体感出来ました。ストーリー自体は想像通り。しかしあの臨場感はすばらしい。

    説明
    内容紹介
    厳冬の北海道、消息を絶ったカメラマン捜索のため、若き森林保護官はスキーを履き、険しい山中へ向かう。カメラマンは無残な遺体で発見され、手負いの羆は銃殺され事件は一件落着したかに見えた。しかし、噛み跡はその羆のものより遙かに巨大だった。最強の野生動物「羆」との壮絶な死闘を描く、元自衛隊の、期待の大型新人による傑作山岳小説。

    はかりしれない自然への畏怖の念。血が騒ぎます。胸をうちます。冒険小説ファンは必読。驚くぞ。読むべし!―池上冬樹(文芸評論家)

    生きとし生けるものすべてへの畏敬の念が静かに満ちている。―角田光代(作家)

    むせかえるような自然と獣の匂い、五感の全てを刺激する傑作。―さわや書店フェザン店 松本大介

    内容(「BOOK」データベースより)
    厳冬の北海道、消息を絶ったカメラマン捜索のため、若き森林保護官はスキーを履き山中へ向かう。カメラマンは無残な遺体で発見され、手負いの羆は銃殺される。しかし、噛み痕はその羆のものより遙かに巨大だった。最強の野生動物「羆」との壮絶な死闘を描く、元自衛官の、期待の大型新人による傑作山岳小説。

  • 〇恐怖の山登り、表紙が読者に襲いかかる
    道庁森林事務所日高支所に所属する孝也は、大先輩の山崎と共にいつも活動している。行方不明者でカメラマンの渡辺やエゾシカがずたずたに「喰われている」のを見てヒグマ(羆)による食害事件だと気づいた二人は、他の面々と捜索を開始し羆を仕留めるも、カメラマンを食ったのは別のもっと大きい個体ではないかと疑いを持つ。そして後日山で羆に遭遇したという道議から、それを裏付ける証言を得るが…

    次々と見つかる死体や襲われる人々。大きさしかわからない、得体のしれない相手に立ち向かおうとする恐怖感はビシバシと伝わってくる。自分たちは生きて帰れるだろうか。いくら山を知っているとは言え、冬山では羆の方が一枚も二枚もきっと上手だ。
    そんな孝也の心配は、現実のものとなる。
    ラストは畳みかけるように、山崎との別れ。そして、白羆との邂逅。
    表紙にあるような羆が襲ってくると考えると、とても正気ではいられない。誰もがこの小説から逃げ出したくなるが、主人公たちの行く末を見届けたくなり、イッキ読みだろう!

  • 2017年4月19日読了

  • 北海道・日高山脈。玄冬の山に単身分け入ったカメラマンが無惨な遺体となって発見される。息詰まるサスペンスさながらのプロローグ。やがて、これは殺人ではなく食害事件だと断定される。襲撃したのは冬眠しそこなった羆(ヒグマ)。その羆は駆除隊により仕留められ一件落着と思いきや、新たな羆による被害者が現れる。再び山へと向かい、最強の野生動物「羆」との壮絶な死闘を描く・・・。

    短いセンテンス、効果的な体言止めがスピード感あふれる文体を生み、濃厚な自然を活写していく。山、雪、雨、生きとし生けるものへの畏怖の念を感じずにはいられない一気読み必至の冒険小説。

    先日「羆嵐<吉村昭著>」読んで以降、羆、狼・・・、獰猛かつ孤高の動物が主役の冒険小説に興味が向かっている。

  • まず北海道日高の雄大で幻想的な情景描写が素晴らしい。止め足、下り熊、背擦り、止め糞、上り熊等のクマ四十八手を駆使するバケモノ羆がベテランと若手の森林保護官2名と壮絶な死闘を繰り広げる。武器、車、道具の説明や運転テク含めたアクションの描写がマニアックで何だかとてもスタイリッシュ。途中、渋いベテラン保護官が相棒の若手をタカと呼び出した辺りから、もう2人共グラサンを掛けた『あのコンビ』にしか見えなくなってしまった。『あんけーないね』と言いたいとこだが思ったものはしょうがない。ラストは有りがちな展開で終焉するが全体的に読み易く楽しめた。

  • ラッシュフィルム観てるみたいな荒削りの小説だが、その荒削りさが気を吐く元気さを飾っていて、思ってたより面白い仕上がりになっている。これメッケもんやったかも。

    こないだ読んだ「約束の地」という小説に、設定も登場人物も展開も非常に似ているし、「約束の地」の方が読み応えも文章のこなれ方も上なんだけど、荒っぽさやリズムの力強さ、冗長じゃないすっきり味わいなんかは、こっちに軍配が上がる。総合評価ならそこそこエエ勝負じゃないかと思う。

    動物好きには少々アレだし、出てくる蘊蓄にも少々眉つばな内容があるけれど、手に汗握って「あぁ、楽しかった」で済ませるアクション小説読みたいならお勧めです。

  • 読み進むほどにタカと一体化し、暗く静まり返った山の中で白羆に付け狙われる恐怖に心が凍りついていた。 吉村さんの自然描写や羆の獰猛さが活字の世界を映像に変えてくれる。 読み始めから日高山脈に踏み込み、たっぷりと吉村ワールドを楽しませていただいた。(^_^)v

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著者プロフィール

吉村龍一(よしむら りゅういち)1967年、山形県南陽市出身。高校卒業後自衛隊に入隊し、陸上自衛隊施設科隊員として勤務。除隊後、近畿大学豊岡短期大学卒業。2011年、「焔火」にて、第6回小説現代長編新人賞を受賞してデビュー。単行本として刊行された。2013年、第2作目『光る牙』を刊行、同作は第16回大藪春彦賞候補作となる。そのほかの著書に『旅のおわりは』(集英社文庫)がある。

「2017年 『隠された牙 森林保護官 樋口孝也の事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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