大幽霊烏賊(下) 名探偵 面鏡真澄 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062931250

作品紹介・あらすじ

使降が担当する元漁師の老鼠忠介は、クジラとの壮絶な格闘の果てに仲間内で語り継がれてきた「幽霊烏賊」と遭遇した。そして入院後も付きまとうその幻影を封じ込めてくれたのは「先生」と呼ばれた患者だという。理性を超越した患者たちの奇妙な振る舞いが意味するものは? 『脳男』の著者、渾身の衝撃作。

感想・レビュー・書評

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  • 流れ落ちるように物語は終焉に向かい,ページを繰る手も進む.後日談として紙面上で語られる後半部がどこまで真実でどこからが妄想なのか,という点から捉えると,物語自体が非成立性を帯びるというカタルシスが楽しめる.

  • 頭が痛くなるような奇異に満ちたミステリー小説。タイトルは確かにストーリーと関係があるのだが、本流を示す訳ではなく、読み手に混乱を与えるだけだった。これが首藤瓜於の計算なら、見事にその術中にはまってしまった。

    途中から少し予想はしていたが、驚愕の大団円を迎える下巻。兎に角、変わったミステリー小説である。

  • 使降(しぶり)が担当する元漁師の老鼠(おいそ)忠介は、クジラとの壮絶な格闘の果てに仲間内で語り継がれてきた「幽霊烏賊」と遭遇した。そして入院後も付きまとうその幻影を封じ込めてくれたのは「先生」と呼ばれた患者だという。理性を超越した患者たちの奇妙な振る舞いが意味するものは? 『脳男』の著者、渾身の衝撃作。

  • 異様な雰囲気を纏ったミステリー小説。古典的な章立てで進むが、不思議と読みやすく筋書きは捉えやすい。精神病院が舞台なのでどこまでが事実でどこまでが妄想なのか不明瞭なところがこの作品のキモ。自分の理解が本当に正しいのか、不安を抱えたまま読み終えることになる。

  • 4月-10。2.5点。
    昭和の精神病院ミステリー、下巻。
    烏賊と言うよりは、謎の患者の正体に焦点。
    ラストは、あっ、そうなのという感じ。
    ちょっとイマイチ感。

  • 上巻のラスト、つまり第二部の第一章である「大幽霊烏賊」の、悪夢か妄想のようなストーリー、その異様な迫力と不気味さに圧倒されました。

    病院の一室に閉じ込められていて、主人公の使降
    が勝手に「黙狂」と名付けている身動きしない患者や、院長、副院長、看護長の何か隠し事をしているような不穏な雰囲気も気になります。

    ただ、下巻が始まると、また精神病院の日常の描写が続きます。

    少し不思議だったり訝しいことは起こるものの、「事件らしい事件はいつ起こるのやろう」と、違った意味でハラハラしながらページを繰りました。

    こう書くと、退屈な部分が続いて読みにくいのかと誤解を受けそうですが、実際にはほんの僅かずつながら、謎が明かされてきて、そして後半には大きく物語が動きます。

    僕もそうだったのですが、サブタイトルの「名探偵 面鏡真澄」から、「精神病院の中で、今起こる、起こった惨劇の謎を解く医療ミステリー」と思い込んで読むと、肩透かしをくらいます。

    それでも、読み終えた後には、存分にどんでん返しと「騙された感」と満足感を味わえる良質のミステリーです。

    最後に、個人的意見として、「本書は、首藤瓜於版『ドグラ・マグラ』である!」というコピーは気にせずに読んだ方がいいと思います。

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著者プロフィール

1956年栃木県生まれ、上智大学法学部卒。会社勤務等を経て、2000年に『脳男』で第46回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。他著に『事故係 生稲昇太の多感』『刑事の墓場』『指し手の顔 脳男2』『刑事のはらわた』『大幽霊烏賊 名探偵面鏡真澄』がある。


「2021年 『ブックキーパー 脳男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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