女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN (講談社文庫)
- 講談社 (2017年1月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062935838
作品紹介・あらすじ
旅の途中で道に迷ったサエバ・ミチルとウォーカロンのロイディは、高い城壁に囲まれた街に辿りつく。高貴な美しさを持つ女王、デボウ・スホの統治の下、百年の間、完全に閉ざされていたその街で殺人が起きる。時は2113年、謎と秘密に満ちた壮大な密室を舞台に生と死の本質に迫る、伝説の百年シリーズ第一作。
感想・レビュー・書評
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#読了 2024.4.6
WWシリーズの読みたい本があったのだけど、どうやら続きものみたいで。調べてみるとその前にWシリーズとこの百年シリーズを読んだ方がいいみたいなのでここからスタートすることにした。
普段は舞台が現代のものしか読まないからSF系は久々だった。めちゃめちゃ良かった◎
死生観とか法哲学とか。「理解を超える科学は宗教に見える」って言葉を何かで見かけたけどそんな感じもした。科学なのか神様なのか。
現実の現代において「自分の身を守る」というのは自責と言われてもいいほど当たり前のことで、それは時に「人を疑う」こととイコールであり、理由の有無問わず悪意を向けられることはありえることだ。
それを、なぜ人を疑うの?と性善説全開で詰め寄られ、その上それが成り立ってる文化の国(?)を目の当たりにすると、自分の"当たり前"に自信が持てなくなる不思議。同時にそれが異様に宗教ちっくに見える。。破綻したことを言ってるわけではないのだけど。うまく飲み込めない。まさに文化の違い、価値観の相違なのだろう。
悪意は無くなればいいと思っているけど、いざほんとになくなると、人工的というか、人間味に欠けるというか、妙な気持ち悪さ。
悪意がある方が人間味を感じることへの悲しさよなぁ。
高い壁の中の街ってのが、進撃の巨人のアニメのかんじで私は脳内再生されたけど、高さは違えどあんなかんじかね?
「モモ(ミヒャエルエンデ)」や「旅のラゴス(筒井康隆)」などが好きな人、そして"価値観"の話が好きな人は楽しめると思う。
自分の当たり前の感覚を疑う感じは、テイスト違えど考えさせられる点では村田沙耶香さんの作品好きな人もいいかも。
◆内容(BOOK データベースより)
旅の途中で道に迷ったサエバ・ミチルとウォーカロンのロイディは、高い城壁に囲まれた街に辿りつく。高貴な美しさを持つ女王、デボウ・スホの統治の下、百年の間、完全に閉ざされていたその街で殺人が起きる。時は二一一三年、謎と秘密に満ちた壮大な密室を舞台に生と死の本質に迫る、伝説の百年シリーズ第一作。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
久々の森博嗣作はやっぱり難しかったです。読み終わってもまだ、1回では理解できないことが多くありました。どこかにこんな街があるかもしれないと思わせられるけど、行ってみたいかと言われると遠慮したいなと思います。面白かったです。
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「脳が浸る」という言葉が相応しいほどの森博嗣ワールド。ミチルの一人称視点で進む物語は未来のテクノロジイによってより可視範囲を広げている。
先進技術が存在する未来の文化人類史的舞台で起こる事件。未来から見たらおしゃれでイケてるゴミ箱すら貝塚扱いなんだろうなと思った。人間としての終わりは未来にあるのだろうかと考えてしまった。 -
SFというか、幻想小説に近い読後感だった。
私はS&Mシリーズが大好きで、本作はあらすじに対してまったく興味がなかったものの、主人公の名前がミチルであるというただそれだけで、真賀田四季を少しでも感じられるのではないかと考えて読み始めた。
ミステリや近未来のSFの感があるものの、基本的には森博嗣的な生死に関する問答や、法哲学的な問答("殺人者をなぜ拘束するのか")、世界が遠い未来にどのような変容を遂げているのかの思考実験とかがメイン。
相変わらず好き嫌いが分かれるなと。私にとってはそのあたりはS&MのFかGのηが最強なので、評価としてはこんな感じです。
あとは、ルナティックシティを真賀田四季の信奉者が作って……、的な何らかの流れを感じたかったので、ちょっとがっかりしてしまった。多分、期待しすぎなんだと思う。次の作品の方がそのあたりがはっきりわかるらしいので、また余裕ができたときに次作を読もうと思う。 -
森さんの本は、s&mシリーズしか読んだことがなかった。10年以上前だ。ふとしたきっかけでwシリーズを読み、このシリーズも手に取ることになった。
肉体が失われた絶え間ない独り言のような対話。
思考実験的な物語。
森さんの本を読んでいて、初めて村上春樹のことを思い出した。深く考え、確認はしなかったけど、何故か文体に類似性を感じた。 -
森先生の本を久し振りに読んで、最初ちょっと、ん?って思ったけど最後はやっぱり森先生だなぁって思いました。