議員探偵・漆原翔太郎 セシューズ・ハイ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062936156

作品紹介・あらすじ

見事に作者の罠にかかった。――辻 真先(ミステリ作家)

まさかの結末! 
イケメン議員が5つの謎に挑む
ユーモア・ミステリ!!

イケメン世襲議員・漆原翔太郎が連発する問題発言でネットやマスコミは大盛り上がり。一方で評判はガタ落ち、次は落選必至!? 政界一のマジメ秘書・雲井は人気回復を狙い、公園取り壊し計画の不可解な謎や官僚の疑惑など選挙区内の5つの事件に漆原と挑むが……。ミステリファン笑って大満足の連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 失言&問題行動を連発する二世議員・漆原翔太郎とその政治秘書・雲井進コンビが選挙や政治にまつわる5つの謎に挑む連作短編。

    あらすじだけ読んだ感じだと、翔太郎が『名探偵コナン』でいうところの毛利小五郎的なポジションで、雲井がホームズ役なのかな、と思っていたのですが、そう単純に話は進みません。

    雲井が推理を進めていく中で、いつの間にかズレた発言や、トンデモ行為を連発していた翔太郎が推理の主導権を握り、なぜか事件は解決してしまう。それは必然か偶然か。翔太郎は天才なのか、バカなのか。自分はただ泳がされているだけなのか。

    雲井の翔太郎に対する疑問や不信を抱き、読者も同じように翔太郎の手の中で転がされます。ホームズ・ワトソン像はいろいろな作品で描かれてきたけど、この議員探偵コンビの示したホームズ・ワトソン像はまた異色で、面白い。

    そんな各短編の事件の中で、巧妙に張り巡らされた伏線が一気に回収される最終話は、まさにこの手の連作もの冥利に尽きるもの! 

    政治や経済をネタとしているけれど、本格ミステリらしくドロドロさは抑えられ、コミカルに描かれていて読みやすい。それでいてミステリらしい精緻を極めた大技に、探偵役、助手役の魅力といった柱もしっかりとあり、当初思っていた以上に満足感のある一冊でした。

  • 世襲議員で、先代の後を継いで立候補し、見事二世議員となった漆原 翔太郎。

    先代の頃から秘書を務める雲井の目から見た、様々な事件を解決する議員探偵 漆原。

    人格者であった先代に比べて、問題発言やら会期中の居眠りやら、雲井の心配は尽きぬもの。
    しかし、不思議に最後には、彼の手で事件は解決してしまう。果たして、彼はバカか?、バカのふりをする天才か?

    ユーモアを交えた文体で、最後は、何と先代の悪事まで...
    なかなか面白いですね。


  • 若手2世議員の漆原と秘書の雲井が様々な事件や問題に直面する連作短編集。
    雲井が色々手を尽くし頑張るが、漆原がのらりくらりとマグレ?で真実を見抜き別の方法で問題を解決するパターン。

    「公園」
    漆原は公園の取り壊し撤回を願う有権者のために、公園を取り壊してマンションを建てようとしてるライバル議員と対話する。
    真実は長年放置された公園で痴漢騒ぎが相次いでいたので、それを改善するため公園を含めたマンション建設を計画していた。

    「勲章」
    有力な支援者が勲章を受け取る予定だったが突如取り消しの連絡が来たので、漆原は賞勲局と対話する。
    取消理由は賞勲局の私情だったが漆原は勲章は取消OKと判断。支援者はライバル政党につくことになってしまう。
    しかし後日、過去交通違反揉み消しが発覚。そもそも勲章は受章できないことを漆原は知っていた。

    「選挙」
    選挙期間中に漆原陣営にスパイがいることが発覚し、スパイ探しをすることに。
    雲井が推理を間違え、漆原がスパイを特定。スパイはマスコミに告白し、スパイを派遣したライバル議員は叩かれ、漆原は当選した。

    「取材」
    亡き漆原の父に張り付いていた記者が、漆原のスキャンダルを記事にしようと乗り込むが、そのスキャンダル自体が漆原が仕込んだウソだった。

    「辞職」
    亡き漆原の父と、父についていた第一秘書の悪事を公衆の面前で暴く。
    漆原のこれまでの行動や記者に対する対応もすべてこのための準備だったことが判明。
    最後は雲井が重要な物的証拠をつきつけ解決した。

    漆原はすべて正義のために行動する実直な男だと理解する雲井。
    そして、国を変えるにはまず地方自治体からだと議員を辞職し、東京都知事選に出ることを決めた漆原だった。

  • 2017年3月21日読了。
    2017年31冊目。

  • 謎解きは清き一票のために。国会議員が挑む五つの謎! イケメン世襲議員・漆原翔太郎、度重なる問題発言で落選の危機。政界一のマジメ秘書・雲井は人気回復を狙い、公園取り壊し計画の謎や官僚の疑惑など選挙区内の事件に漆原と挑む。笑って満足の連作ミステリ!

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著者プロフィール

1978年生まれ。メフィスト賞を受賞し、2010年『キョウカンカク』で講談社ノベルスからデビュー。近年は『希望が死んだ夜に』(文春文庫)、『あの子の殺人計画』(文藝春秋)と本格ミステリ的なトリックを駆使し社会的なテーマに取り組む作品を繰り出し、活躍の幅を広げている。

「2021年 『Ghost ぼくの初恋が消えるまで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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