新装版 殺戮にいたる病 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
4.06
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本棚登録 : 12449
感想 : 1091
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062937801

作品紹介・あらすじ

永遠の愛をつかみたいと男は願った―。東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。叙述ミステリの極致!

感想・レビュー・書評

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  • 凄い作品に出逢ってしまった、活字って凄い。
    あれだけお母さんに「お隣の武丸くんのお話にはノコノコ着いていっちゃダメよ!」って言われていたのに。

    手が止まらず半日でのスピード読了。我孫子武丸、、、もうアレですね、これ、人殺してますね。
    少しでも詳細を語ればそれがネタバレに繋がってしまう。違和感を覚える場面はいくらでもあるのに完全にしてやられました。

    描写のエログロさは個人的には軽めかに感じた。
    この猟奇さを表現するにはやり過ぎず足りなさ過ぎず、ちょうどいい塩梅だ。物語の進行と、殺人の描写の切替が素晴らしく、エログロ体制の無い読者も心を折られる前に軌道修正させられるだろう。不快感とドキドキの天秤に振り回されながらいつの間にか読み終わってしまうのではないだろうか。巧みだなぁ...

    しっかりとしたネタバレ解説をしない、理解出来たかな?と、意地悪且つ高飛車な姿勢がまた好みだ。

    • tomooさん
      ノコノコ着いて行っちゃダメよ 好きです。武丸くん危ない人です。
      ノコノコ着いて行っちゃダメよ 好きです。武丸くん危ない人です。
      2021/02/17
    • NORAxxさん
      tommoさん

      こんばんは^ ^
      そうです彼は危ない人です...ノコノコ着いていくとハナヂブーとのコラボレーションが待ち受けているので...
      tommoさん

      こんばんは^ ^
      そうです彼は危ない人です...ノコノコ着いていくとハナヂブーとのコラボレーションが待ち受けているのでtommoさんも気を付けてくださいね...
      2021/02/17
    • tomooさん
      NORAさん
      こんばんは。
      わたしは武丸くんのお話しはこれだけ読んだことあるのです。またハナヂブーしたいな。
      NORAさん
      こんばんは。
      わたしは武丸くんのお話しはこれだけ読んだことあるのです。またハナヂブーしたいな。
      2021/02/18
  • どんでん返しで有名なミステリー小説。
    どんなどんでん返しが待っているのかが楽しみだったが、最後まで読んでもピンと来なかったが、その後の解説本でそのトリックを理解してびっくりした。
    まさか蒲生稔≠雅子の息子で蒲生稔=雅子の夫というのが正解だったとは、雅子視点で息子の名前が出てきていないのは稔だったからではなく、息子の信一が父親の言動に不審を覚えて調査を行っており、そして雅子本人は信一を訝しむというねじれた構造がより読者にミスリードさせていてとても上手いなと思いました。
    どんでん返しの本を多く読んできた私でもどんな形のどんでん返しなのかがわからと思ったと思った。最初のエピローグで主要な登場人物を持ってくることで人物の叙述トリックである可能性を意図的に低くし、より最後の結末に重心を置いていることが分かる。
    ストーリーではかなりエログロが細かく鮮明に描かれており、読者を選ぶもののそれでも人物描写がしっかり描かれており、そして本当の息子が父親の残酷な行為を止められずに最悪の結末を招いてしまったこと、稔本人も「本当の愛」を自分の母親で見つけてしまったことがとても切ないと思いました。

  • 叙述トリックー!!うますぎる!
    グロテスクな描写が多いがそれ以上にこの巧妙なトリックに唸り、雅子と稔の部分だけ読み返してしまった。すごくおもしろかった。

    この本は1992年に出版されたものの新装版との事。
    かおるがバーで化粧直しに立った時、なぜ樋口に連絡しなかったのかと思っていたが、そういう事だった。
    今では当たり前になっている携帯電話だが、当時はまだ
    普及していない。あとがきを読んで初めて納得した。

  • 「殺戮」という言葉通り、グロくて惨くて正直読むのがきつくて何度か本を閉じようとしてしまいました。
    ですが、読みやすくて(矛盾している)続きが気になってしまう不思議な感覚でした。
    エピローグから始まり、3人の視点(犯人・刑事・母親)で物語が進んでいきます。
    犯人が猟奇的でサイコパスなのはもちろん、その母親の異常なまでの執着にも恐怖を感じました。
    どんな展開になるのか予想しながら読んでいましたが、その斜め上をいく結末でしばらく混乱状態でした。
    あの部分を何度も読み返した人は私だけじゃないはず…。
    辛くて哀しい物語だけに最後に樋口とかおるだけは救われたと思いたいです。
    読みやすい本でしたが、読み切るにはなかなかに体力がいる小説でした…。

  • 「あ〜、こう来たか」というラストに色んな意味でゾワッとしました。

    3人の視点から話が移り変わりながら進んでいくのですが、発言や行動を注意しながら読み進むにつれ、これはひょっとしたら、、、と、後半訝しんでいたものの、言葉のトリックにすっかり騙されました。

    幼女誘拐事件の時代の作品なので、DNA判定の甘さだったり、携帯電話もないので途中のやりとりのもどかしさなどありますが、本格推理小説としてはとても良い時代です。

    殺人鬼「アンドレイ・チカチィロ」の名前も出てきて、昔読んだノンフィクション本を思い出しました。

    読後の余韻を促すようなラストも、とても好みです。

    • ウィズカリファの大ファンさん
      僕もゾッとしました。   はじめまして
      僕もゾッとしました。   はじめまして
      2022/01/21
    • Kaniさん
      ウィズカリファの大ファンさん、はじめまして。
      コメントありがとうございます。
      ゾッとしますよね!
      10歳でこの本は刺激強め。
      でも、10歳で...
      ウィズカリファの大ファンさん、はじめまして。
      コメントありがとうございます。
      ゾッとしますよね!
      10歳でこの本は刺激強め。
      でも、10歳でミステリーの面白さを知れたのは羨ましい^ ^
      2022/01/21
    • ウィズカリファの大ファンさん
      ありがとうございます
      ありがとうございます
      2022/01/22
  • 我孫子武丸『殺戮にいたる病』講談社文庫。

    古本屋で新装版を発見し、再読。非常に有名な叙述ミステリの傑作。

    エピローグに連続猟奇殺人事件の犯人、蒲生稔の逮捕の瞬間が描かれる。物語は、蒲生稔と息子の怪しい行動をいぶかしむ蒲生敏子とサイコ・キラーを追う元警察官の樋口の3人の視点で描かれる。

    再読してみて、最初から蒲生稔の正体が解っていて読むと、張り巡らされた伏線の多さと描写に全く矛盾が無いことにに驚かされる。

    そして、惨劇の果ての衝撃のラストは、フィリップ・マーゴリンの『黒い薔薇』にも匹敵する。

    本体価格700円(古本100円)
    ★★★★★

  • 叙述ミステリーとしてあまりに有名。
    有名過ぎてこれはしまったと思うのが、『叙述トリックがある』と構えるので、少しでも不自然なところがないか探しながら読んでしまう。
    そして何と、当たらずとも遠からず、最後の種明かしも予想がついてしまった!

    しかし何度でも言うけど叙述トリックがあるって知ってたから…出来れば知らずに、見事に騙されたかった…

    ◉再読こそ至高の楽しみ
    トリックを知ったうえでもう一度読んで、作者の言葉選びの巧みさや、違って見える風景を楽しむ。
    ネタバレはしない主義なので、ココこそ熱く語りたいところだけど…
    本当に読了した人と本を付き合わせて『ここ!堪らんよね!少し変だけどあえて突っ込むまでもないビミョーなライン突いてくるよね!これは騙されるね!』とか一晩語り合いたいわ。
    特に母・雅子のターンは目を皿にして読むべし。

    ◉また違う稔の異常さに慄く
    我孫子先生の語る「叙述トリックについて」を後書きから抜粋。
    【叙述トリックはただ読者を騙すというだけではなく、時折世界が崩壊するかの様な錯覚をもたらす効果がある。読者はずっと登場人物や舞台の属性について誤認しているのであるから、それも当然のことである。
    そういった騙りと作品のテーマが一致した時、深い感動を与える傑作が生まれる。】

    正に本書はその通りだと思う。

    稔は死んだ女性しか愛せず、女性を殺しては凌辱し、その一部を切り取って持ち帰り、自宅でも自慰に使うという性癖の持ち主でこれはこれで相当ヤバイのだけど。
    真相を知った今、また世界が違って見える。
    私は稔に対しての生理的嫌悪が止まらなかった。具体的に想像するだけですごい怖気がするのだ。読んだ人には意味がわかると思うけど…
    何が「ぼく」だ!!バカヤローめ!!!

    世界が崩壊する面白さ。正に叙述ミステリーの傑作と言うに相応しい作品だった!


    あと個人的に気になったところ。
    稔、犯罪工作ガバガバじゃね?ってところ笑
    指紋も目撃者も気にしなさすぎる。
    少し昔の作品だし、監視カメラとかあまりなかったのかな?

    • ひろきさん
      見事に騙されたかった…と感じたのであれば、こういうコメントはネタバレ設定でした方がいいんじゃないでしょうか…?
      見事に騙されたかった…と感じたのであれば、こういうコメントはネタバレ設定でした方がいいんじゃないでしょうか…?
      2021/10/21
    • ミオナさん
      ひろきさん、ご指摘ありがとうございます。

      叙述トリックの部分の明言は避けたつもりだったので、ネタバレ設定はせずにいました。
      ひろきさん、ご指摘ありがとうございます。

      叙述トリックの部分の明言は避けたつもりだったので、ネタバレ設定はせずにいました。
      2021/10/21
    • ひろきさん
      押し付けがましかったらすみません。

      叙述トリックがあることを明かすこと自体、壮大なネタバレになってしまわないかという趣旨です。

      自己判断...
      押し付けがましかったらすみません。

      叙述トリックがあることを明かすこと自体、壮大なネタバレになってしまわないかという趣旨です。

      自己判断の領域かとは思いますが、ネタバレ対策がされているという前提で感想を読む方もいらっしゃるので、そのあたりの配慮はあった方がいいんじゃないかと思いました。
      2021/10/21
  • あーっ!
    正に病っ!

    内容も病だし、
    この終わり方も病み付きになるね!笑

    人にはオススメしづらいけど。笑

    • honwakamihaさん
      いい意味で鳥肌でした。
      いい意味で鳥肌でした。
      2023/07/16
  • 蒲生稔、これは相当拗らせていますね。
    嫌悪感しか無いです。
    グロの描写よりも、犯人の思考と心理状態の方が恐ろしかったです。
    名作なのでしょうけど、そう呼ぶのも躊躇われるほどです。

    リハビリに何読もうかな。

  • なるほど。
    …え!?

    いやー…全くわからなかった。
    それだけ構成がすごいのかもしれないけど、グロいのと、性の描写が凄すぎて気づかない(汗
    グロ&性描写が過激すぎる余りに、これが伏線か?
    と思ってたとこは全部ハズレ。
    まさかの結末だった。
    叙述トリックとしては本当にすごいと思う。

    ただ、グロさと性描写(しつこい)が強烈すぎるのと、登場する人物の描写がちょっと物足りないと思ってしまった。

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著者プロフィール

1962年、兵庫県生まれ。京都大学文学部中退。在学中は推理小説研究会に所属する。89年、『8の殺人』で作家デビュー。主な作品に、『人形はこたつで推理する』にはじまる「人形」シリーズほか、『殺戮にいたる病』『ディプロトドンティア・マクロプス』『弥勒の掌』『眠り姫とバンパイア』『警視庁特捜班ドットジェイピー』『さよならのためだけに』『狼と兎のゲーム』『裁く眼』『怪盗不思議紳士』『凜の弦音』『修羅の家』などがある。小説の枠を越えマルチに活躍し、ゲームソフト「かまいたちの夜」シリーズの制作でも知られる。

「2022年 『監禁探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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