続・明治維新という過ち 列強の侵略を防いだ幕臣たち (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062938624

作品紹介・あらすじ

恫喝外交をしかける欧米列強外交団、大英帝国の支援を受けた薩摩・長州のテロリズム、命を賭してわたり合った幕臣官僚たち。日本近代史を覆す衝撃の維新論「明治維新という過ち」待望の第二弾!

感想・レビュー・書評

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  • 岩瀬忠震

  • これが明治維新ですか。

  •  これは本当に為になった。今まで明治維新を間違って理解していた。考えてみれば、薩長って反政府勢力が幕府を超えるような最新武装をしていたってことは、外国の援助があったということ。現代でも反政府勢力をアメリカやロシアが支援してクーデターを起こすことはよくあることですね。
     明治維新はクーデターであると考えれば、廃仏毀釈や会津戦争などの正義とはとても言えないことがなぜ起こったのかもわかります。
     韓国や中国が自国の歴史を塗り替え、暴虐の日本の支配から独立を勝ち取ったという歴史を国民に刷り込んだように、明治維新のリーダー達は自分を正当化する歴史を国民に刷り込んだ。
     吉田松陰って何が偉かったのかイマイチ理解できなかったのですが、過激なテロリストをクーデターのリーダー達が美化したとすればわかります。尊王と叫んでいた人たちが天皇拉致を謀ったり、攘夷と叫んでいた人達が権力を握った途端に外国に媚びた意味がわかりました。
     安倍元首相が虚偽答弁を繰り返していますが、日本人は、この美化された明治維新をキチンと検証しないと、いつまで経っても本当の底力を発揮することができないんじゃないだろうか。江戸幕府の暗黒で愚劣な支配を明治維新が救ったから、その後の発展があったと思っていた。しかし、江戸時代の日本は外国との交流は少なかったけれども、識字率や数学では世界でダントツの水準にあり、支配者階級である武士の精神の高邁さと先物相場や信用貨幣など世界で最先端の商業システムもあった。なぜそれができたのかは多くの要因はあるが、最も重大なことは260年も平和な社会を実現したことなのです。
     今の日本が世界に誇れる事って何だろう?世界一だった教育水準はもはや先進国最低レベルまで落ちた。かつて一世を風靡したメイドインジャパンは、外国人に見向きもされなくなった。かつて日本製のナビも携帯電話もテレビもダントツの性能を誇ったのに、今は日本製品のレベルは外国に敵わない。最後に残っている自動車だっていつまで続くやら…
     
     過去をキチンと検証していないことが、日本の本当の発展を妨げている。明治維新から太平洋戦争の敗北まで本当はどういうことだったのか?キチンと総括しないまま、経済発展して国民の生活水準は向上した。でもそれは、朝鮮戦争やベトナム戦争特需や東西冷戦における日本の地政学的重要性の向上によるところが大きかったのだ。
     戦争特需も冷戦構造もなく、日本独自で独自の推進力を確立していかない限りこの凋落は続くのだ。

  • 前作は明治維新という歴史を180度異なる視点で読ませてくれて、ある意味、世界観が変わるくらい面白かったです。
    それと比較すると、今作はやや内容的に興味深さに欠けました。貨幣とか経済の話は重要だとは思いますが、読み物としては、イマイチでした。

  • 30年10月19日読了。
    諸外国が、砲艦外交や恫喝外交を繰り返す中、幕府外国奉行や海防掛の面々が、それらと堂々と渡り合い、理路整然と彼等の矛盾点をつき、決して屈する事なく。
    薩摩長州藩はといえば、明治政府主導権を握りはしたが、結局 生き残った幕臣に頼らざるを得ず、自らの暗殺や密輸行為には蓋をし。
    現在の学校教科書も、今だに薩摩長州のご都合宜しく、書かれている。
    うーん、確かにな。維新150年と浮かれ騒ぐ山口県のご都合主義には、ゲンナリする。

  • 全く、分かりやすい。さもありなん。現代の長州閥と言うべき政治家は果たして頼みになるだろうか?
    読み物としては断言調が多く、鵜呑みにはできない印象。こういう考え方もあるよ、くらいに受け止めておくのがよいだろう。

  • まやかしの明治礼賛にNO! 

    維新論の決定版 攘夷を主張する薩長のテロが吹き荒れる中、血に飢えた欧米列強に対して決死の覚悟で交渉に臨み、専守防衛に徹した徳川日本の幕臣官僚。薩長史観の過ちを正し偽りの歴史に終止符を打つ刮目の維新論、第二弾!

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著者プロフィール

原田伊織(はらだ・いおり)
作家。京都伏見生まれ。大阪外国語大学卒。2005年私小説『夏が逝く瞬間(とき)』(河出書房新社)で作家デビュー。『明治維新という過ち』(毎日ワンズ)が歴史書としては異例の大ヒット作となり、出版界に明治維新ブームの火をつけた。「明治維新三部作」として、『明治維新という過ち』『列強の侵略を防いだ幕臣たち』『虚像の西郷隆盛 虚構の明治150年』(共に講談社文庫)がある。その他の著書に『官賊に恭順せず 新撰組土方歳三という生き方』(KADOKAWA)、『明治維新 司馬史観という過ち』(悟空出版)、『消された「徳川近代」明治日本の欺瞞』(小学館)、『日本人が知らされてこなかった江戸』『知ってはいけない明治維新の真実』(共にSB新書)など。雑誌「時空旅人」に『語り継がれなかった徳川近代』を連載中。

「2021年 『昭和という過ち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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