- Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784063106725
作品紹介・あらすじ
11世紀、北欧の地は、蛮族と恐れられた
ヴァイキングにより戦火にまみれていた。
その中に、父親を殺され、復讐のため戦場
を駆け抜けた少年・トルフィンがいた。
彼は仇敵・アシェラッドを殺すために生き、
生きるために戦った。だが、イングランド
王位をめぐる争いの中でアシェラッドは
不慮の死を遂げる。唯一の希望を失い、
奴隷に身をやつしたトルフィンはそれでも
なお安息と豊穣の地、ヴィンランドを思い描く。
心休まる日はいつ訪れるのか。
”本当の戦士”の物語が紡がれていく。
シェラッド亡き今、トルフィンは戦場を離れ、いつしか奴隷として生きるようになった。森を切り開き麦を作る、静かだが無気力な毎日。人生で初めて友人と呼べる者が現れ、力を合わせて朝から晩まで農場で働く。そんな時、彼は農場主の息子にまるで遊びのようにして殺されかけ、気付く。本当は死にたくないのかもしれない、と。彼は希望を取り戻し、新たな人生を生きることができるのか。新章〈奴隷編〉開幕!
感想・レビュー・書評
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アニメ以降の所謂「奴隷編」9巻から23巻まで8時間ぶっ通しで読んだ。とにかく面白かった。1日の3分の1もの時間を費やす価値があったとも言えるし、短い時間で濃密な物語を消化してしまったことがもったいなかったとも言える。複雑な心境。
『ヴィンランド・サガ』は中世北欧のヴァイキング全盛期という特殊な時代設定と、生きる意味を葛藤しながら探求する魅力的なキャラクターと普遍的な主題をマッチさせた、独特な世界観が魅力的な作品だ。
最も感銘を受けたのは、激動する時代のなかで生じる、価値観の変容の描きかただった。それは、伝説、神話、宗教といった聖なる物語世界に基づく「あの世に行けばいいことがある」という夢想的な人生観から、この世での楽土建設を目標とする現世主義への転換である。
戦士の死後の楽園ヴァルハラ、徳を積んだ善人が行ける天国という既成の共同幻想を否定し、主人公トルフィンと王子クヌートはより良い世界ーー人々が争う必要がなく、強者が弱者を虐げることもない優しい世界ーーをつくることに腐心するようになる。
トルフィンが転向を遂げるにいたるには、ある種の貴種流離譚を経て約15年の歳月を要している。ここのロングタームが良い意味で他の現代の物語作品とかけ離れた要素で、中世の男性の平均寿命が40歳であることを踏まえると、人生の約40%が正しい道に至る前フリってことになる。
成果主義的な見方ではトルフィンの生き方は非効率以外の何物でもない。だが、こういう生き方もあるんだな、あっていいんだな、これだけ長いあいだ間違った生き方をしても人は変われるんだ、変わっていいんだと素直に感銘を受けた。
これまで「当たり前」だった価値観が、時代の急速な変化によって「当たり前」でなくなる瞬間を、どう生きるか。中世北欧世界に生きるトルフィンたちの主題は、コロナ禍で変容を迫られる我々の現実世界にリンクし、答えの糸口を垂らしてくれるような気がする。
以下、気に入った台詞。
13巻のトルフィン「いつも「最初の手段」を選び取れるようになりたい。そしてどこまで「最後の手段」を選ばずにいられるか」
14巻のクヌート「この地上に楽土を築くということは神の定めた条理に逆らうということ 神への反逆だ」
そんでもって、アシェラッドの「豚にも劣る暗愚なデーン人どもよ」。なんてイイ語感、なんて優れた汎用性と煽り性能。多少の社会的信用を失うこと覚悟で、積極的に使っていきたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人生を歩くには
友達が必要だ -
クヌートのイングランド取りが完了。トルフィンは相変わらず奴隷として農園で働く。
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トルフィンに友だちができた(´;ω;`)ヨカッタネ
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ついにトルフィンに火がついた……のかな? そしてクヌートさまの悪いお顔! 描き込みも半端ないし、行く末が楽しみな漫画です。
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マンガ
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ヴィンランド・サガもとい、ファームランド・サガの始まりである。
ストーリーとしては、間にクヌートによるイングランド制圧の話を挟みながら、ゆっくりと農場での話が進んでいる。そこに劇的な展開はないが、その関係図がハッキリとしてきた巻であった。
その意味で、間の巻として機能しているところもあり、星四つと評価している。