ヒストリエ(3) (アフタヌーンKC)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063143959

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  •  奴隷として売られることになったエウメネス。彼の没落の要因となったスキタイ人奴隷ターミネーターとのかすかな交歓、エウメネスおつきの奴隷だったカロンとの複雑な感情を秘めた交流。貴族の御曹司という境遇から奴隷への急転落。諸々の感情があるとき爆発的に強く噴出する場面が、この作家の素晴らしいところだ。
     かようにギリシャの奴隷制がキーとして描かれるが、対してマケドニアでは奴隷が少ないという陳述があとで出てくる。
     エウメネスら奴隷を乗せた船ではさっそく奴隷の反乱が起きるが、しかし、奴隷は烏合の衆にすぎず、船は沈没。エウメネスが流れ着いたのは田舎の(つまり野蛮人の)村。彼はここボアの村に居つくことになる。自給自足の生活の一方で、剣の腕を磨き、請われて村人たちにギリシャ神話の講義を始める。共同体レベルでも知は力なりといいたいようだ。
     どこに行ってもよそ者のエウメネスがここで数年の間、所属する集団を見出すのだが、ギリシャ世界とは習慣の異なることが多く、「文化が違う」とあきれてみせる。文化を相対化できるのもエウメネスの強みなのだ。

  • カルディアの育った屋敷を出て行くエウメネス。
    奴隷として売られていったが、船が難破してたどり着いた村でたくましく育っていく。

    カルディアを出航、ビザンティオンを越えて物語はパフラゴニアへ。

    【第23話 アルゴ号】
     奴隷たちはゼラルコスを惨殺し、船上で酒宴を上げる。しかし、自由も束の間、乗っていた船は遭難し、沈没した。

    【第24話 パフラゴニアにて・1】
     海辺に流れ着いたエウメネスは、パフラゴニア地方(黒海の南岸)のボアの村で保護される。エウメネスは、カルディアの家で飼っていた猫と同じ名の少女、サテュラと親しくなる。

    【第25話 パフラゴニアにて・2】
     次第に体力を取り戻したエウメネスは、ボアの村を観察する。

    【第26話 パフラゴニアにて・3】
     エウメネスは村一番の剣の使い手、バトに剣を習い始める。村で生活する代わりに、エウメネスはヘロドトスの講義を始めた。

  • 奴隷から決別し、パフラゴニアの村へ。

    村では平和の中、まったりと時が進みます。

    人それぞれの得意分野を活かし、尊敬し合いながら

    生活してます。ほっと一息。

  • ちょっと大きくなったエウメネス。ティオスの若様ダイマコスの顔はパカーッと割れて何か飛び出してきそうな不安感があるんですが。。私もエウメネスと同じで利き手とは反対側に得物差したいです!

  • この巻は本当にいいシーンだらけでした。

  • 奴隷となったエウメネスに訪れた、再び大きな転機。

    彼の資質。
    才能の片鱗がチラリと垣間見える部分もあり、自然と興奮してくる。

    さて、巻末では何やらまた大きな展開の予感。
    次巻が強く気になる。

  • 奴隷身分になり、買い手が現れ、反乱、沈没、漂着。
    パフラゴニアにて、事件が発生。
    エウメネスが問題解決に乗り出す。

    これは、徐々に頭角を現し始めた所なのだろうか?

    知略もの?益々面白くなって来ました。

  • ヒエロニュモス家の実権を握ったヘカタイオスによって、奴隷としてオルビアの商人ゼラルコスに売られるエウメネス。幼少からずっとその家の次男として育ってきたエウメネスは、去り際に堪えきれずに叫ぶ。このシーンと、後に続くカロンの独白が凄まじい。
    オルビアに向かう船が難破し、エウメネスはボアの村の人々によって救われる。ここで村の住人としてエウメネスは一時の安寧を得るのだが。

  •  カルディアのお坊ちゃんから一転、奴隷として売られることになったエメネウス。
     胸に去来するのは、楽しかった日々、家族との思い出。その全てが、出生の秘密と共に欺瞞と化したとき、エメネウスは絶叫します。
    「よくもぼくをォ!!
     だましたなァ!!」

     胸中に複雑な思いを抱きつつも、希望を捨てずに自由を求めよと言ったヒエロニュモス家の奴隷・カロンの言葉は、意外にも早く実現される。
     エメネウスを買ったゼラルコスの船は、道中で奴隷の反乱に遭い、ゼラルコスは奴隷達に惨殺される。ゼラルコスのもとで、エメネウスはアンカタイオスの卵の塩漬け(キャビア)の研究をするはずだったが、もしそうなっていたらそれはそれでそれなりの生活を送れたのかも知れない。
     ともかく、元主人たちを惨殺した奴隷達は嵐に遭い、当然船を操縦することができずに船は沈んでしまう。

     漂着したエメネウスを助けてくれたのは、パフラゴニアのある集落の人々。そこでエメネウスは、文化の違いに戸惑いながらも、村の一員として過ごすことになる。
     ここでエメネウスが、村の人たちにギリシアの知識(歴史・神話・物語)を提供するところが面白かった。セミナー業の走りというか、物々交換の交換物として「情報」を提供しているのは、梅棹忠夫風に言えば「情報産業」の嚆矢と言うことになるだろうか。

     予想だにしなかった生活から一転、田舎での穏やかな日々が過ぎていく。が、その平穏な日々にも、突然の暗雲が立ちこめる―

  • 読了。

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著者プロフィール

1960年7月28日生まれ。東京都出身。1985年、ちばてつや賞入選作品『ゴミの海』が「モーニングオープン増刊」に掲載され、デビュー。『寄生獣』で第17回講談社漫画賞(1993年)、第27回星雲賞コミック部門(1996年)受賞。2003年より「アフタヌーン」にて『ヒストリエ』の連載中。

「2004年 『雪の峠・剣の舞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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