仮面ライダーファイズ正伝-異形の花々- (Magazine Novels Special)

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784063304138

作品紹介・あらすじ

平成仮面ライダーに一番深く関わった男、井上敏樹が熱きファイズファンに贈る、「小説・仮面ライダーファイズ」堂々完成!巧・雅人・啓太郎・結花・勇治・直也たちは今?そして、真理の生い立ちがついに明かされる…。

感想・レビュー・書評

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  • やはり1年かけて描いていたストーリーをこの分量で小説に、っていうのは無理がある。しかも2週間で書いたらしい。それを知って拍子抜け半分、納得半分。そのぐらいの内容だった。
    いくら登場人物達の心情が分かっても、諸々の経緯や理由が分からないことには、頭に入ってこない。テレビ本編と繋がりが無いなら、余計にストーリーをきちんと書いてほしかった。
    ファンが「こういう描き方もあるんだなぁ」と楽しむための小説かな。

  • 言わずと知れた555の正伝。
    テレビでは絶対に描けない壮絶な設定でファイズを再構築している。

    「真理は俺の母親になってくれるかもしれない女性なんだ」
    の本当の意味がわかる一冊。

  • 桜庭さんの555を読み終えたので、同コンテンツのノベライズのその流れで再読。

    何度読んでも初めて読んだ時と同じ衝撃が色褪せない作品だと思う。もちろん、悪い意味で。
    内容はキャラクター文庫と同じなので、細かいレビューはそちらで一度書いているので割愛します。
    どう考えてもファイズの“正伝”とは言えず、まるっきりパラレルワールドで、キャラクターは崩壊しており、ファイズ好きにはお勧めできません。タイトルにファイズを使ってほしくない、氏のオリジナル小説として、別で出してほしい内容です。

  • 555の小説版というよりは、要点を小説にした物。
    555が好きなら是非。

  • 追記・狂気の美しさに関する考察 ~草加雅人を視座として~

    草加雅人ほど「悪名高い」という評価に適した人物はいない。
    仮面ライダー555の中で主人公サイドの立ち位置にありながら、その人格は陰湿、卑劣、傲慢、そしてどこまでも残忍で利己的である。更には善人の仮面を被っては策を弄し、言葉巧みに他人を陥れようとするからその狡猾さは始末に負えない。

    彼が再起不能となる場面は本作「異形の花々」において(あるいは、すべてのライダー作品において)最も凄惨なシーンとして長く語り草になっている。
    しかし草加雅人の破滅が印象に残るのは単にこのシーンの酸鼻極まる描写のためだけではないし、ましてや「悪人が始末されていい気味だ」という因果応報から来る爽快感のためでは決してないだろう。

    ところで、「異形の花々」の人物の多くは、”トラウマ”を負っている。そしてこのトラウマはまるでなにかの”しるし”のように物語の中で象徴的に機能する。
    それは草加雅人の”血の流れ続ける手の傷の幻想”であり、長田結花の”出産時の母親の(結花の存在を拒否した)消えない悲鳴”である、海堂直也の”音楽の道を絶たれたことで閉じこめられた音楽”であり、主人公乾巧の(ある事件と事実に起因したことが暗示されている)”猫舌”である。
    この”しるし”はまるで”運命の象徴”そのものであるかのように、意識せずとも登場人物たちの言動の起因となり、根本となり、その人生を数奇に翻弄していく。

    草加雅人の特筆すべき点は、”血の流れ続ける手の傷の幻想”を生み出し、彼の残虐非道で自己中心な行動の動機となったのが「愛と力への渇望」すなわち「願い」であったところだ。

    草加雅人は多く「狂った」あるいは「狂気」の人物として認識される。そして「狂気」とは、とりもなおさず「願い」のひとつの姿である。
    願いとは欲望に近く、人間は誰でも願いを抱く。愛や平和や正義を、あるいは金や力や女を望む。願いの善悪や美醜はさておき、願いは人間の人生の希望になり、信念になり、目的になる。
    しかし願いがある境界を超えたとき……あまりにもその願いを「純粋に」心の底から渇望するあまりに、願いの成就のためなら他人を犠牲にすることも、更には自分自身の心身を犠牲にすることさえも厭わなくなったとき……人間は願いという希望を胸に、破滅という絶望に突き進むことになる。それが狂気である。

    だから狂気の描写を醜悪で陰惨と知りつつも、人間はそこに潜む「純粋さ」あるいは「悲しさ」にふしぎに心惹かれ、その姿からどうしても離れることができない。
    10年の時を経て長らく草加雅人という(啓太郎風に言えば「ものすごく感じの悪い」)人物が仮面ライダーファンの耳目を集めてやまないのは、おそらくここに起因すると思われる。

    ついでにオーズに代表される小林靖子の「回帰の欲望」と、井上敏樹に特有の「破滅の運命」について比較して論じてみたいのだが、まだ精査が足りないためメモとしておく。



    ***
    文章が下手な小説は1ページ読みきる前に挫折してしまい「小説は文章が上手くないと話にならない」と思っていた自分の価値観をひっくり返した衝撃の一冊。
    井上敏樹はものすごく文章が上手いというわけでは決してなく、漫画的、アニメ的な稚拙な表現も多々出てくる。それでも本作からは「俺はこれを書く、書くべきだから書きとおす」という断固たる決意と情熱がほとばしり、実際いかに文章が文学的でなかろうと面白くて読むのをやめられない。(内容は非常に文学的である。人間は孤独であり世界は悲惨であるという事実から逃げずに向き合う作品はみな文学性を持っている。すべての希望は絶望から始まる)
    書きたいことがあること、そして書きたいことを書き通す情熱を持つこと。創作者にとっては最も大事なのはたったこれだけ。こんな当たり前のことを忘れていたことに気付かせてくれた大事な一冊。

    人間は売れたいとか有名になりたいとか、下手なものを作りたくないとかいうプライドや欲望にとらわれて、当たり前の一番大事なことを面白いほど何度でも忘れてしまうらしい。
    強く生きる、正しく生きる。人間が自ら隅に追いやってしまう美しき善き魂を何度でも思い出させてくれる特撮の雄大な優しさが、副次的に創作者としてのベーシックな姿勢も思い出させてくれたようだ。

  • TVドラマ本編では当然主人公である乾巧、劇場版では巧と対照的な立場にいる木場勇治にスポットライトが当たっていた。
    そして、この小説版のメインは草加雅人だと思う。

    小説はTV版を元にしたオリジナルストーリーであり、地上波では放送できないほどグロくてえげつない物語に改変されている。それはもう江戸川乱歩もびっくりのグロさ。

    TVドラマと小説版で1番変わったのが草加。
    とはいえキャラクターが変わったのではなく、ドラマ本編は子ども向けだからああ振るまっていたけれど本当はこれがやりたかったのねって感じ。
    言動がオブラートに包まれることもなく、草加のしたかったことや心情がそのまま書かれている。
    だからこの本は草加の本当の姿を書くためにあったのだと思う。

    草加は幼いころからずっと母親を求めていた。
    だから草加はずっと真里に愛されたいという願いを叶えるためだけに動いている。

    でも、その姿は「夢を叶えるために生きる」とは程遠い。
    ただ草加が自分の過去を背負ったまま生き抜くには、その生き方しかないだけなのだ。
    そういうしがらみを海堂の「夢ってのは呪いと同じなんだ。」というセリフが表しているのだと思う。

    井上敏樹の書く物語は、人の本質をついた、生々しくてグサッとくるセリフや場面が多くて好き。

  • これは確かに朝から放送できないレベルの内容だなというのが第一印象。
    大人が読んでも、このドロドロ感はきついくらいかもしれない。
    真理や雅人の描写が特に濃いのはよいのだけど、主人公のたっくんの境遇がいまいち分かりづらかったことだけが残念。
    雅人役を演じた村上幸平くんの後書はファンなら読んでおいて損はないだろう。
    役を愛すという熱意が痛いほど伝わってきた。

  • これは朝8時の子供向け番組では放送出来ない内容。

    映画版の小説を先に読んだからか、たっくんと真理の関係がまた振り出しに戻った感じられた。
    というより、映画版の2人がノロケすぎだっただけか。あれはあれで微笑ましくて良かったけど。

    最後にあった、草加役である村上君のあとがきが凄く良かった。

  • 少なくとも、子供の読む本じゃありません。
    雅人は本当に真理のことが好きなんだと思う(それが歪んだ愛だとしても)。
    海堂が格好良すぎる。

  • 久しぶりに読んだら思いっきり鬱にしてもらった。
    こんなの朝8時にやったらヤバすぎるだろう。

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