押切蓮介劇場 マサシ!!うしろだ!! (KCデラックス ヤングマガジン)
- 講談社 (2005年4月6日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784063349931
感想・レビュー・書評
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「幽霊を物理的にどつく」手法はデビュー作からだったのか。
作者のあとがきを読むと、世の不条理の最たる悪霊、人間にとってはただ脅え奪い取られる対象でしかないという、考えてみればスゲエムカつくやつにカウンターパンチを(それも徹底的に)食らわしてスッキリする! という非常にわかりやすい思想があるようで、なるほどその点ブレがないなあと感心した。
なにしろデビュー作『マサシ!! うしろだ!!』で悪霊をボコったあげくその性根の悪さもさんざ糾弾し、さらに7年後の描き下ろし(今作収録)でなお拷問のような責め苦を追加で与えるという徹底ぶりだ。
たしかに悪霊というやつは言われてみればまったくムカつく。こっち側に対抗手段がない圧倒的優位から襲ってくるわ、およそ適当に無差別的に人を殺すわ、あげく生前つらい目にあったから化けて出たとか勝手な言い分で正当化しくさる。お前も辛かったかもしれんがそんな理由で脅かされて殺されるいわれはこっちにないわ! と、怒りのグーパンチをかましてくれるマサシや史郎刑事はヒーローだ。ここには確かなカタルシスがある。
それが『でろでろ』に通じるのは言うまでもなく、今の『ゆうやみ特攻隊』では悪霊の姿を借りた人の無慈悲や残酷さに右ストレートをかましてくれている。『プピポー!』もまた然り。ブン殴る拳を意志という形に変えて、また違う視点から描いている。
『ミスミソウ』はどうなるんだろう? 本作収録の『悪霊ドリル』や『カースダイアリー』は世界の理不尽な残酷さに押し潰されそうになる話だ。悪霊に鉄拳を食らわしても、世界はそれで万事解決しない。世界の残酷さと痛み分けをしながら前を向いて「もう怖くない」と言えるのか、それとも本作最後の書き下ろしの詩のように、血を流しながら時間に埋もれていくのか。それもまた美学だし押切先生の新境地としても良いだろう。少なくともその後にムカつく悪霊に化けて出はしないはずなのだから。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今ではコンビニに漫画が並ぶほどの人気作家になったけれど、この「マサシ!!うしろだ!!」の頃は絵柄が荒削りで少し読みにくい、しかし話の内容は光るものがあって面白い。
幽霊の出てくるコメディ。 -
原点です。この人の漫画、読んでてほんとにスカッとする。
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初期だから
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押切蓮介先生の初期衝動。
バンドで言うところのファーストアルバム。
勢いが凄い。普通じゃない。
笑える笑える。
私もお化けが嫌いだ。
勝手に死んで、無関係な人を呪ったり祟ったり、不条理だ。理不尽だ。許せない。
そんなもんは殴り飛ばせばいいんだ。
そんな作者の心霊への怒り、愛、初期衝動。
短篇集としても収録作品が非常に多いのでお買い得。
なんでこんなに面白いの。 -
2002ヤングマガジン掲載の「悪霊ドリル1~4」収録。
お化けvs元優等生。 -
比類無い存在、自由過ぎてついて行けんわい。
二郎みたいにクセになる感がある。 -
もうね、幽霊とか呪いをギャグ漫画にするって時点で頭おかしいっていうかクレイジーなんですけどね、とにかく卑怯です。安心させといて笑わせるっていう卑怯さがまさにホラー映画みたいで楽しいです。
怖さは一切無いので怖い話が苦手な人でも読めるはずです。でも下ネタが苦手な人には薦めません。下ネタといってもうんこちんちん程度だけど。
押切先生が漫画家デビューしてからの短編やちょっとした続き物が載ってるんですけど、デビュー直後の絵も話もグッチャグチャでわけのわからない漫画もそれはそれで面白いです。
でもおすすめは続き物の「悪霊ドリル」と「カースダイアリー」。