- Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784063886405
作品紹介・あらすじ
聖ペルソナの新小児科にやってきた新しい仲間、工藤先生。まだ彼のキャリアは短いが、並々ならぬ注意力で治療にあたってくれる頼もしい新戦力だ。しかし、彼の歯に衣着せぬ物言いで、NICUはギスギスした空気に包まれ始め…。
感想・レビュー・書評
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テレビドラマ化もされた人気シリーズの第15巻。この巻が刊行された2016年は第40回講談社漫画賞・一般部門を受賞し、波に乗っていた頃です。
「ペルソナ総合医療センター」の産科を中心に、妊娠出産、赤ちゃんとお母さんを巡る悲喜劇と、主人公サクラ先生を中心とした群像劇が、綿密な取材に基づく圧倒的なリアリティと現場感を伴って語られます。
倉崎先生、工藤先生といった新メンバーを加えて、この先のドラマ2期に向け一層パワーアップして臨みます。
この巻には「胎便吸引症候群」「出生届」が掲載されています。
以下、各エピソードに一言ずつ。
「胎便吸引症候群」
腕は確かで、NICUに通うお父さんお母さんには寄り添う姿勢を見せる一方、関係者には神経質に厳しく当たる新生児科の新任、工藤先生。7巻でバーンアウトして退場した新井先生の後任にあたるのでしょうか。
実はその神経質さは、難病の我が子を見て、航空宇宙工学専攻から医学部に入り直したという経歴にあるようです。…でも、それ以上の掘り下げは今のところはなく、キャラクター性では倉崎先生の濃さに及ばず、今後の出番も実はあんまりありません。キャラクターを作るって難しいんだなって思います。
「出生届」
タイトルの意味がわかると切なくなるエピソード。そしてこれまで浮いた噂すらなかった小松さんに出会いが!
言霊なんて言葉があります。水伝みたいな似非科学まで行っちゃうとちょっと困りものですが、信じているかどうかはともかく、心掛けとして良いことは公言し、悪いことは思っていても口に出すのは止めておこうと思っている人はけっこう多いかもしれません。あ、自分もそうです。
コウノドリは別にホラーではありませんので言霊的なモノが登場するわけではありませんが、でも、このエピソードではお母さんやお父さんがあんなことを口に出さなければ、と後悔する展開になります。
多胎児育児の大変さは、悲惨な事件や減胎手術のような報道で知られるようになり、自分も妊娠中によく目にした各種の支援の多さなどから、困難さが何となくわかります。コウノドリでも5巻に「双子」のエピソードがありますが、これは出産までなので出産後の壮絶さが描かれているわけではありません。
まあそんなことから、2人目妊娠はうれしいけれど、双子じゃなくて一人だったらよかったのに…と愚痴っていたら、二卵性双生児のうち一人が妊娠中に死亡してしまった話です。冗談のつもりで口に出したことであっても後悔の種にならないようにしないとなと改めて思い返しました。
出生届と死産届を同時に出したお父さんの気持ち、自分とパパとママと、生まれてくるはずの弟妹を描いた絵が「間違ってるんだ」「描き直していい?」と先生に聞くお兄ちゃんのシンジ君の気持ち、そして、現場では必ず起きていることなのでしょうけれど、やっぱり赤ちゃんが亡くなる話は読んでいて切ないですね。
あと、小松さんのエピソード!
「住む世界が違う」と感じた小松さん。
でも、ジョージさんは小松さんのどこがよかったんでしょうか。もしかして、髪型?
蛇足です。
横山さんが街で見かける双子の名前がミーちゃんとケーちゃんでした。元ネタはピンクレディーだと思うんだけど…ピンクレディー双子じゃないのに…
あと作者何歳よ…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
毎度泣いてしまう。
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【推薦者】
体育学部 健康学科教員 三瓶 舞紀子
【学生へのメッセージ】
COVID-19流行下では、「10代の妊娠」「望まない妊娠」「貧困」の問題がよりクローズアップされました。産婦人科医&謎のピアニストでもある主人公が、様々な妊婦のお産に向き合います。この漫画に登場する様々な生命から、子どもたちを育てる社会の責任とは何か、全ての学生と特に教員を目指す学生にお薦めします。
▼配架・貸出状況
https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00539355 -
小松さんの春が到来か…!?
双子を妊娠して、片方だけがいなくなるっていうことがあるなんて。そりゃあないわけないのだが、なぜか想像していなかった。当事者じゃないものの意識は、そんなものかもしれない。けど、この漫画が教えてくれる。 -
読了。こうもいろんな出産があるのかと改めて思う。
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双子の話、つらい
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今秋から続編がドラマ化されるそうで、久々に読んでみた。妊娠と出産の喜ばしいことと同時に辛い現実に直面した時にどのように向き合ったらよいのか、どのように伝えたらよいのか戸惑ったり、悩ましいとつくづくと感じる。双子を妊娠し、新たな家族が出来る喜びと、弟と妹ができる絵を書いた子供が現実を知った時の悲しみと先生とのやりとりに切なさを感じたり、双子の一児が亡くなり、お腹の子に名前をつけたけどすぐに亡くなり、お腹の中で生きて生まれた女児とともに双子の命の証を残したことは一生忘れないだろう。
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本当にいい漫画だ