我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち (ブルーバックス)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065020371

作品紹介・あらすじ

地球上に存在した「人類」は我々ホモサピエンスだけではない。彼らはなぜ滅んだのか。我々はなぜ生き残ったのか。人類学の最新成果!

感想・レビュー・書評

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  • 2018.2.4 amazon point

  • アジアでの旧人、猿人について。

  • 2018.01―読了

  • ああ、そうか。
    本は明言を避けたというか、根拠ない事を断定はできないのだが、ヒントめいたものは書いている。我々はなぜ我々だけなのか。ホモサピエンスにかつての原人の血が混ざっていたとしても、我々は世界の至る所まで、ホモサピエンスのみだ。これは、別の人類を戦争で淘汰したか否か事実は分からないが、本著が書いたように、移動する能力により、混ざったのだ。閉鎖エリアで多様化した種は、戦争かウイルスや病気、あるいは気候変動か、はたまた平和的な交合か、いずれにせよ、移動する種により、混ざったのだろう。人間以外は、制限されたエリアほど、珍しい種が生存している。

    有史以前に何が起きたかは、分からない。分からないからこそロマンがある。ホビットのようなフローレス原人。まだまだ、新たな発見があるかも知れない。

  • 川端裕人さんの読みやすい文と、海部陽介さんの新知見を盛り込んだ内容が面白くて、一日で一気読みした。
    文句なしの星5つ。

    序盤の化石についての概説は、退屈かもしれないが後半の理解には必要な情報であり、川端氏の『現地』描写を交えた筆致は決して飽きさせない。
    そして怒涛の後半、第四の原人や、デニソワ人についての新たな提案。
    この時、整理された理解の生じる快感、そこが面白い。

    分からないことは、何が分かってないからなのか。
    どこまでなら、コンセンサスがある話なのか。
    この整理が、理科や歴史でざっくり

    「アウストラロピテクス」とか「北京原人」なら知ってた

    レベルの一般人にも伝わってくる。
    小難しい数式とか一か所しか出てこないし、それもちゃんと図で示されてるから、根っからの文系でも問題なし。

    そして、サイエンス系の本にはつきものの、『執筆時点では』という注釈。

    それは、新たな化石の発見や詳細な研究によって、また仮説が更新される可能性があるということ。
    本書を読んだ者は、その新たな仮説に対し、既存の議論を踏まえた解像度で食いつける、ということ。
    知的興奮に動悸が高まるのを感じる。

    かつて評論社から抄訳版が、後に集英社ホーム社から完訳版のでた、ジーン・アウルの『始原への旅立ち』シリーズは、素晴らしい小説だった。しかし、科学的知見としては当時の限界もあり、生活描写に関してはネイティブアメリカンやイヌイットの文化で大きく補綴された、ネアンデルタールとクロマニヨンズの物語であった。
    しかし、本書にあるようなアジア原人、ひいては旧人と現生人類の研究が進めば、科学的知見でよりしっかり裏打ちされた、『東アジアの物語』がつづられる可能性もでてくる。
    なんと胸躍ることだろう。

    ぜひ手に取ってご一読あれ。

  • 現在世界に生存している人間は我々ホモ・サピエンスだけ
    だが、その前には種々様々な旧人・原人達が暮らしていた。
    その中でこのアジアに的を絞り、我々の前に生活していた
    我々以外の原人について現在わかっている最新の研究結果を
    まとめた本。科学ライターが書いた本らしく、非常に楽しく
    わかりやすい上に、専門の科学者がきちんと名前を出して
    監修しているのでポイントはきちんと押さえている。結論も
    多分に情緒的ではあるが、この手の本としては許容範囲で
    あり、またらしくもある。今後の発掘・研究が楽しみになる
    良書である。

  • 久しぶりのノンフィクション

    「ミッシングリンク」といわれる、ホモ・サピエンス登場の謎を「説く」

    人類の進化は、猿人から現代人まで左から右へ歩いて進化している絵のような順番では無いんですね。
    「進化」とはある意味で「淘汰」と「混血」なんだなと、感じた本でした。

    突然ですが『星を継ぐ者』を思い出しました。

  • 現在生息している人類は我々だけらしいです。世界中に色々な人種がいますが、アフリカの一人の女性の子孫という事でほぼ決定です。なんとも物凄い壮大な話であります。

    話は逸れますが、昔、大地の子エイラという本が有りました。ホモサピエンスの子エイラが、ネアンデルタール人に育てられる話でした。ネアンデルタール人との子供を産んだりして、それこそ種の起源を思わせる壮大極まりない名作です。あの本を思い返させるようなワクワクするノンフィクションでした。

    さて、この本は、何故ホモサピエンスだけが生き残って、他の人類は生き残っていないのかという事が幹になっています。本当の所はその時代を見なければ分からない事ですが、何とか解き明かそうと研究と議論を重ね、次第に人類の起源に迫ろうとする人々の情念に感動します。他の原人たちがホモサピエンスに駆逐されたという証拠も無いし、各地で別々に派生した人類を置き去りに、我々だけが地球で繁栄したのは何故なのでしょうか。完全に疑問が解消する事は今後も無いのでしょうが、想像すると時間というものの不思議さ、今もどんどん過去になっていくという現実がひしひしと感じられます。

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著者プロフィール

1964年兵庫県明石市生まれ、千葉県千葉市育ち。文筆家。東京大学教養学部卒業。日本テレビ勤務中、1995年『クジラを捕って、考えた』でノンフィクション作家としてデビュー。退社後、1998年『夏のロケット』で小説家デビュー。小説に『せちやん 星を聴く人』『銀河のワールドカップ』『算数宇宙の冒険』『ギャングエイジ』『雲の王』『12月の夏休み』など。ノンフィクションに『PTA再活用論』『動物園にできること』『ペンギン、日本人と出会う』『イルカと泳ぎ、イルカを食べる』など、著書多数。現在、ナショナル ジオグラフィック日本版および日経ビジネスオンラインのウェブサイトで「・研究室・に行ってみた。」を連載中。

「2020年 『「色のふしぎ」と不思議な社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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