興亡の世界史 東南アジア 多文明世界の発見 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065126707

作品紹介・あらすじ

講談社創業100周年記企画「興亡の世界史」の学術文庫版。大好評、第4期の2冊目。東南アジアは、インドと中国にはさまれた地理上の位置から、双方の影響を受けながら多彩な歴史と王朝の興亡を繰り返してきた。自然に恵まれた多言語、多宗教世界の軌跡をアンコール・ワット研究に半生をささげた著者が追求。仏教やヒンドゥー教の宇宙観にもとづく寺院や王宮の建設と王朝盛衰の真相を新たに発掘された考古学上の成果から解明。遺跡に刻まれた人々の暮らしを復元するとともに、500年前、鎖国直前にアンコール・ワットを訪れた日本人の足跡を明らかにして東南アジアと日本の隠された歴史をも発掘した渾身の力作である。[原本:『興亡の世界史11 東南アジア 多文明世界の発見』講談社 2009年刊]

感想・レビュー・書評

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  • 「アンコールの王国 世襲しない王権」
    権力を保持するために、土着の進行とインド由来の宗教的神秘性を視覚的に演出し、君臨した。それが、発信元のインドには見られないアンコール遺跡群の存在理由だそうだ。

    作者は、アンコール遺跡調査の学者で、遺跡様式、碑文、回廊浮彫りの研究は勿論、13世紀末中国の周達観の記録「真臘風土記」なども含ませて8〜15世紀のカンボジアの歴史を熱量込めて描いている。

    舌を噛みそうな“ながーい”カタカナばかりの中、地理や歴史を大雑把に把握していき、苦労して読み切ると、今までの“誰もいない遺跡”のイメージに“確かに人の営みがあった”ことが少しわかる。

    もう少し、他の地域の歴史が知れたらと思ったが、作者自身が最終章で語っているように“東南アジア”という括りが、実はまとまっていないため、どうしても地域ごとの歴史を全て網羅しなければならず、ましてや植民地化と独立の過程も相違していることで、概要としても一冊では無理のようだ。

    今後は「海のシルクロード史」や「植民地時代と独立の現代史」など、テーマを決めるのも面白い。
    その意味で今回は「アンコール史」だった。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/741971

  • アンコール王朝を中心にした東南アジア史、と銘打つも、なかなか東南アジア史をひとくくりにするのは難しいのかな、というのが透けて見える。アンコール王朝の歴史も、資料が限られる(当時の葉に書いた資料は失われ、碑文しか残っていない)故にすべてを語るのは難しいので、どうしても爽快感は少ない。限られた資料からどのように研究を進めるか、という点では面白いところもあったが。

  • なかなか知ることができない東南アジア史、特にアンコールワットの成り立ちが分かったのは良かった。
    しかし、アンコールワットに集中しすぎたか?
    他の多文明を知りたかった。

  • 本書の最大の特徴であり失敗なのは、東南アジアと銘打ちながら、ほとんどアンコールに関する著述になった点。他国を積極的に侵略する必要性が希薄な、この食糧豊かな地域の多様性は、到底一冊には纏めきれない為、各国史を概説するのではなく、随一の大帝国クメールに焦点を当てたのはひとつの方法とは思う。但し正確に「アンコール王朝」とタイトルに明記せねば、東南アジア史を知りたくて本書を手に取った読者を失望させるだけ。内容自体は研究成果が取り込まれて堅実だけに、タイトルに偽りありと扱われるのは勿体無い。

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著者プロフィール

石澤良昭 いしざわ よしあき
1961年上智大学外国語学部卒業。文学博士(中央大学)。第13代上智大学学長(2005-2011)。現在、上智大学教授(特任)、上智大学アジア人材養成研究センター所長、上智大学アンコール遺跡国際調査団団長。2017年カンボジアのアンコール遺跡の保存修復および人材養成への貢献により「ラモン・マグサイサイ賞」を受賞。
専攻:東南アジア史(特にアンコール王朝時代の碑刻学)
主な著書:『東南アジア多文明世界の発見(学術文庫)』(講談社)、『新・古代カンボジア史研究』(風響社)など。

「2021年 『カンボジア中世史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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