習近平のデジタル文化大革命 24時間を監視され全人生を支配される中国人の悲劇 (講談社+α新書)
- 講談社 (2018年10月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065132609
作品紹介・あらすじ
著者の書籍は中国のブラックリストの載った。もう中国を訪問することはできない。中国の空港で飛行機からイミグレーションに向かおうとした瞬間、顔認証システムを備えたカメラが筆者の顔を捉え、官憲によって別室に連れていかれ、スパイ容疑で逮捕される可能性があるからだ。
――これが、4億人の既得権者たる都市住民が、9億人の農民戸籍者たちから搾取しながら成長する現在の中国の体制を守るため、習近平が始めた「デジタル文化大革命」の恐ろしい実態だ。
1966年の文化大革命――それが中国に何をもたらすか、正しく見通すことができた人はいなかった。「デジタル文化大革命」が始まった2018年の状況は、1966年によく似ている。隣国である中国で新たな運動が始まった。日本人はその動きを注視し、その行方を的確に見通す必要がある。
感想・レビュー・書評
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h10-図書館2019.2.8 期限2/22 読了2/17 返却2/19
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「24時間を監視され全人生を支配される中国人の悲劇」というサブタイトルがついている。
世界中でワクチン外交、金のばらまき、そして自国の領海だと言い張り周辺国に対してやりたい放題の中華人民共和国だ。
そんな中国の明日は、人工の多さと経済成長と技術革新で明るい未来が待っていると見る向きあるが、一党独裁国家だけにダークな面がどうしても目についてしまう。
中国で街中の写真撮影は「超危険」と指摘している。至るところに監視カメラがあり、下手に写真を撮ると捕まる可能性がある。
実際に2018年6月9日時事通信の記事に、中国企業の依頼で温泉の探査をしていた日本人1人が、地元当局によってスパイ行為に関わった疑いで起訴された事例が載っている。
日本にいる感覚で記念撮影をすると、何をされるかわかったものではない。
ネットで使える言葉が激減として、習近平政権下での締め付けを取り上げている。ブログやネットで「習近平」という文字を書き込むことができない。この単語は「敏感詞(不適切な単語)」ということで、中国のネットでは自動的に削除される。
そういえば、「くまのプーさん」と揶揄されたこともあったので、「くまのプーさん」も禁止になっている。ドンだけーと思ってしまう。強硬に押さえつけているのは、裏を返せば相当なビビりだな。
中国共産党は、海外ニュースを国民がアクセスするのを嫌う。アラブ世界で巻き起こった「アラブの春」のように、ネットをきっかけに政権打倒につながることを恐れているからだと指摘している。
最近のニュースで、人口減少が話題になっていた。そして、子供を3人まで持てるようにしようという動きも出ている。いつまで、攻撃と口撃外交やひも付き外交を展開できるのかな。先進国になって豊かになる前に高齢化社会になりそうな中国だけに気になるところだ。 -
・習近平政権は、情報技術を駆使してデジタル文化大革命を進めている。それは、次のようなもの。
└政権に都合の悪い情報が拡散しないようネットを監視する。
└監視カメラを1.7億台以上設置し、その映像を解析する。
└すべての国民が持つ、個人データが入力された身分証明書を分析し、個々の行動を把握する。
・中国の景気が減速し、就職難の若者の不満が高まると、社会不安につながり、「アラブの春」のような反乱が起きかねない。ゆえに習近平は、ネットの管理に神経質になっている。
・中国のネット会社は、政府の庇護を受け、米国の模倣をすることで成長した。だが、模倣から新たな技術は生まれない。
・中国では、宋の時代に科挙(官僚採用試験)の制度が完成し、以降、科挙に合格した官僚が知識人として重んじられた。今日も、受験秀才が官僚になる。
彼らは国家建設には役立つが、娯楽や文化などを創り出すのは苦手である。こうして、宋以降の中国は良質な文化を生み出さなくなった。
・監視を強める中国は、次のような未来を迎えると予測される。
①監視の技術が進化し、反権力的な動きは早々につぶされる。
②創造的な文化や、中国発のイノベーションは生まれない。
③不動産バブルが終わり、過去30年続いた経済成長が止まる。
④経済の低迷により、若者の就職難が拡大する。
⑤習近平が自らの力を示すため、台湾に侵攻しようとする。
⑥経済低迷の責任を問われ、習近平政権が崩壊する。
⑦共産党の一党支配が終わり、中国は分裂状態に陥る。 -
巷で話題になる中国の情報統制。序章の実例のところが興味深い。実際にどういうことが起きてるのか。
途中からは中国の歴史からの内容、ある種の整理と考え方ができる。 -
つまらない。新しい情報がなかった点、「だろう」「だと思う」で結論ありき。題名が刺激的なだけに期待したが残念。ブックオフで108円で買うべき本だった。
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ネットと独裁がいかに相性がいいか、
中国を半面教師として日本のありかたについて考えさせられた。 -
・真新しさなし
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顔認証システムを備えたカメラが常に人の行動を観察・評価する、「パンダ」「くまのプーさん」が禁止用語になる、9億人の農民戸籍者たちが搾取される…。現在の中国の体制を守るため、習近平が始めた「デジタル文化大革命」の恐ろしい実態を報告するとともに、今後の中国の行方を占う。
序章 中国人が嘆く「デジタル文化大革命」
第1章 中国バブルは必ず崩壊する
第2章 インターネットと独裁の親和性
第3章 習近平はヒトラーなのか
第4章 超格差社会を隠蔽する「デジタル文化大革命」
第5章 文化と創造力を殺す「デジタル文化大革命」
終章 中国の二〇三五年 -
毛沢東の時代が終わり、と小平が経済重視と共産党独裁の国家を両立させる政策を感が出した。その方向性に対して米と日本などが力を貸して世界第二位の経済力を実現させた。このとき、米も日本も極貧の国民が多数を占める国が経済が成長し人々が豊かさを手にしたときには共産主義は自ずと消滅し西欧的な民主主義の国に近付き独裁者は抹殺されると考えていた。しかし、実際は習近平が主席になり二期目を迎えた今、共産党独裁はより強固になり独裁国家ますます強化されていく気配である。この独裁を貫く基本がデジタル文化大革命であるといのが本書の趣旨。
ウイグル自治区における弾圧政策が如何に大規模であり人権無視のものであるかが、次第に世界に漏れ出てきている。いつの間にか中国全土に監視カメラが張り巡らされ、すべての人が国家の関しの元におかれる国になってしまった。この路線はより強力に進められ、インターネットに自由は無く政権に協力的であるか従順であるかがビッグデータやAIにより全て把握される国になりつつある。
筆者は、自由の無い監視国家には早晩行き詰まりが訪れると予言する。習近平の3期目は無いだろうと...