閻魔堂沙羅の推理奇譚 点と線の推理ゲーム (講談社タイガ)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065139912

感想・レビュー・書評

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  • 二つとも良いお話だった。   
    父と娘のお話。     
    まぁせめてフィクションの中でくらい、こういう再トライのチャンスがあると、救われるよね。    
    久しぶりにこういう家族の良い話を読んで心が洗われたような気がする。     

    って言うか子供が死んだ場合(親より先に)、地獄行きだったような気がしたんだけど記憶違いだったかな。

  • 4冊目。シリーズとして世界観もかなり定着してきた。ちゃんと考えれば解けるミステリー。このちょうどいい感が気持ちいい。

  •  シリーズ第4作。今回は、沙羅と推理勝負を挑むのは2人と少ないが、各編100p程度とやや長め。このうち第1話は、問題編がWEB上で先行公開されていた。

     その推理企画のことは承知していたが、面倒臭がりの自分は参加しなかった。問題文がもっと短いと思っていたので、こんなに長かったとは。作中の女子中学生と同じく、見事に2問とも的中させた読者は、21人いたそうである。

     1人目、女子中学生13歳。父は自称画家、母は出て行った。かつかつの生活だが、悪に染まることなく、慎ましく生きていた。そんな彼女が、なぜ撲殺されなければならない…。悪知恵が働く友人と、学校内の人間関係。すべては繋がっていた。そして、彼女自身もまた、原因を作っていたことに思い至る。

     副題に「点と線の推理ゲーム」とあるように、無関係なエピソードはないわけである。すべては1本の線で繋がっていた。彼女に悪意はなかったとはいえ、今回に関しては犯人にも同情の余地があるかな。まだ若い。未来に幸あれ。

     2人目、元ヤクザ41歳。事情により組を抜け、今はカタギとしてうどん店を経営していた。そこにかつての弟分が訪ねてきて、組の苦境を訴える。家族のためにも復帰は考えていないが、あるニュースが、否応なしに彼を巻き込むことなる…。

     本来、ヤクザなら即刻地獄行きだと沙羅は言う。正論すぎて返す言葉がない。ヤクザである以上、誰かを泣かせているのだから。それでも家族のため、推理に挑む。元ヤクザだからこそ、解けたと言えるだろう。ヤクザの思考回路、関係者の性格や嗜好、そして鍵になったのは…。これですっぱり縁が切れるといいが。

     人間模様の興味深さは相変わらずだが、今回は点と点を線で結んでいく過程に注目したい。前回までは心理や感情を読むことを重視していたように思うが、どういう損得勘定を働かせるかに着目すると、線が見えてくる。カタギもヤクザも、損得勘定で動くのに何ら変わりはない。

     2編の間に挟まれた「閻魔堂沙羅の日常」は、ファンサービス的な掌編だが、スピンオフが書けそう。読者にとって幸いなことに、沙羅が切り盛りしないとこの世界は回らなそうである。

  • 2018年148冊目。毎度毎度ストーリーは申し分なし。トリックも犯人当てを意識したからか、捻りが効いてて楽しめた。まさかの沙羅の日常回は笑える。

  • 三篇併録されている。
    一篇は、本シリーズの中心人物の、沙羅の日常と家族について。そして、過去の作品の登場人物のその後が僅かだが記載されている。
    本シリーズを読むのはこれが初めてだが、特に刊行順に読む必要はないかなと感じる。
    上記の通り、登場人物のその後に至った経緯が気になるのであれば、遡って読む必要があるだろう。
    さて、副題にある通り、点在する事象を結んでいけば、解答に辿りつきます。叙述トリック、専門的な物理トリックなどは一切ありません。推理小説・ドラマ・アニメを普段、読む・見られない方でも楽しめる作品だと感じます。

  • 死んだ被害者が自分を殺した犯人を推理する短編集。
    今回は貧困でも前向きな女子中学生、ヤクザを抜けてうどん屋をしている男性。
    今回は沙羅の父親以外の家族も出てきたけど、まさか閻魔が虚弱体質とは。母親と兄もそれぞれいいキャラだね。

  •  気持ちよく本にのめり込みたくて読みはじめました。
     閻魔堂沙羅ちゃんのシリーズ第4段。
     今回も魅力的な登場人物でとても楽しく読めました。段々と読んでる間に犯人の手がかりを掴もうとちょっとした動作や違和感に反応している自分がいることに気づきました。でもそうすると、みんながみんな怪しく見えてしまい、結局最後まで真相はわからないのですが。
     また、今回は沙羅ちゃんの私生活を描いた短編も収録されていました。近寄り難い雰囲気の沙羅ちゃんですが、人間臭さが垣間見えておもしろかったです。
     このシリーズを読むと私頑張ってるかな、全然頑張ってないんじゃないかな、と自問してしまうのですが、日々を楽しく、無理なく、周囲への感謝の気持ちを持って生活していくって事でいいかな!と自答しました。

  • いつもの短編が2つに、沙羅の日常が1つ。
    沙羅の日常は設定がブレるように感じたため、蛇足だと思える。
    短編は、貧乏中学生の撲殺、元ヤクザの射殺の話。
    貧乏中学生の話は親子関係が気持ちよくて楽しめた。最後に掲載してた挑戦状の対象作品なだけあって、いつもより謎解きの論理が綺麗だった。
    元ヤクザの話は主人公の察しが悪すぎて殺されたように感じた。銃を受け渡した後に銃撃時間があったなら、銃を返されたからって受け取ったら駄目でしょう。

    どちらも親子関係がすっきりしてたおかげで楽しかった。娘が快活な様子が気持ちいいだけかもしれないが。

  • 【収録作品】向井由芽 13歳 中学生 死因・撲殺/閻魔堂沙羅の日常/久保達樹 47歳 元ヤクザ 死因・射殺

  • 中学生の由芽は気づいたら死んでいた。閻魔大王の娘・沙羅は私を殺した犯人を当てれば生き返らせると言う。そういえば、最近変なことが続いていた。担任の不倫写真が撮られたり、ダメ親父の描いた絵が高値で売れたり、なによりナイフで脅されて一度解放されてから撲殺されたり――。鍵は、不可解な状況を繋ぐ点と線。由芽はたった一人の家族のため、霊界の推理ゲームに挑む!

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著者プロフィール

埼玉県出身。『閻魔堂沙羅の推理奇譚』で第55回メフィスト賞を受賞し、デビュー。現在までに閻魔堂シリーズ7巻を手がける。2020年、同シリーズがNHK総合で「閻魔堂沙羅の推理奇譚」としてテレビドラマ化。

「2022年 『遺産相続を放棄します』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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