ブロックチェーン 相互不信が実現する新しいセキュリティ (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065144350

作品紹介・あらすじ

参加者が誰もお互いを信用し合っていないからこそ、正確な計算結果が世界中で未来永劫保存される──。
暗号通貨(仮想通貨)ビットコインを支える仕組みとして登場したブロックチェーンは、かつてのインターネットのように新たなインフラへと育ちつつある。その本質は、構造はどうなっているのか?
社会を一変させる可能性を秘めた新技術の根幹と限界を見きわめるべく技術解説書のトップ著者が挑んだ、「これ1冊で網羅できる」ブロックチェーンの決定版入門書!

感想・レビュー・書評

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  • これは良書である。
    ブロックチェーンについて世間一般よりは理解しており、実務や趣味で扱ったこともあるが実は本質的にはよくわかってないんだよね、、、という(私のような)非専門家にとって得難い入門書と言える。

    「特定の管理者がいない状況、もっと言えば参加者すべて敵同士であるような油断のならない状況で、事前の取り決めに抵触するようなデータ処理を認めず、処理の透明性を確保し、かつデータの変更や改ざんが不可能であるようなデータ蓄積システム」(本文より)について、まず前半は主に既存の暗号システムと対比しながら、かつ「ハッシュ関数」というキーワードに着眼しながら純粋に技術的に解説してくれる。ここがすでに類書の「礼賛的な」解説書より読みやすい。

    その上で、後半では「確かに素晴らしいアイデアと技術だけど相当ムダが多いし、そもそもどうしてもこれじゃないとダメ、っていう使い道ってそんなにたくさんあったっけ」という、ウェブ3.0についていけてないナウくないやつのレッテルを貼られることが心配で分かったふりをしていた素朴な疑問について、(しつこいが私のような)非専門家にとって非常にわかりやすい解説がなされる。

    納得感があったのは、「『技術』には、おおむね『思想』がセットでついてくる」(p242)というあとがき部分。
    ブロックチェーンは、それ自体は無色透明な技術のまとまりに過ぎないのだが、自立分散というワーディングともあいまって、新しい働き方、オープンで平等な枠組み、ひいては資本主義のオルタナティブみたいなほとんどイデオロギーにちかいような文脈で語られることには私も不思議さは感じていた。

    取引相手が善意かどうかは保証しない、危険な相手とかかわっても取り消せない(いずれも本文より)、といった点を解消しようとすればおのずと公的認証を求めるようになる。
    「、、、非中央集権の旗印であったはずの技術が、その発展の中でむしろ既存の権力者を強化する方向に働く可能性すらあるのだ。
    我々は、インターネットで一度それを目にしたばかりである」(p240)。

    どんな技術も使い方次第、当たり前のことを再認識できる本。

  • 入門者向けにとても分かりやすく説明されていると感じました。

    ブロックチェーンの仕組み自体は素晴らしいものだということが良く分かります。
    しかし、この仕組みを何かに実装し運用を続けていくための維持コストは膨大です。
    続けるためのモチベーションも保つのが大変そうに思えます。

    現在実運用中の仮想通貨のシステムが今後どのような方向に行くのか?
    ブロックチェーンを利用した新しいビジネスが生まれるのかを注意して見ていくことにしよう。

  • ★ブロックチェーンの仕組みがわかる。特にハッシュ計算の説明が丁寧。ブロックチェーンが万能の技術ではないこと、長所の裏返しで適さない業務があることが強調されている。

  • ブロックチェーン技術の解説書。ブロックチェーンやビットコインのことが、何となく分かりかけたのだが、まだ今一つイメージが掴みきれていない。ちょっと消化不良だ。とはいえ、とりあえず理解できたことを列記してみる。

    ・ブロックチェーンは「参加者が誰も信用できなくても、計算結果が信頼できる」仕組みであり、「ブロックチェーンが証明するのはトランザクションの正当性」である。一度書き込まれた取引データは改竄することができず、不正な取引データであっても消すことがは出来ない。

    ・ブロックチェーンの実態は、「ブロック状にまとめられたデータが、数珠つなぎに接続されてチェーンを形成しているもの」であり、このブロック状のデータ(ブロック)は、取引データの塊にハッシュ値の生成などの一定の処理が施されたものであり、各サーバーに共有されてチェツクを受けることによって、データの正当性が担保される。

    ・ビットコインの場合には、トランザクションプールにトランザクションが一定量貯まると、各マイナーが競ってトランザクションデータからハッシュ値を求めてブロックを生成する(マイニング)。そしていち早くブロックを生成してチェーンに追加したマイナーに多額のマイニング報酬が(ビットコインで)支払われる。

    ・過去からのすべて取引データは、ブロックチェーンの中に消されずにずっと残っている。

    ・マイナー達がブロックを生成するために行っている膨大な計算は、無味乾燥な意味のない作業で、アイルランド一国と同等規模の電力を消費してしまうほど。

    う~ん、マイナー達のーの膨大な計算量、半端ないなあ。相互監視によりデータ改竄を許さない便利な仕組みということだが、まあ無駄の多いこと。データ処理の負担はどんどん増えていくみたいだし、長期間維持できるものなのだろうか。

  • いきなりハッシュ値の話から始まるので驚くが、ブロックチェーンは暗号技術の応用・発展形であることが述べられる。
    その文脈において、ビットコインに代表される仮想通貨のブレイクが位置付けられているので、見通しがよい。
    そして、バラ色の技術として語られがちなブロックチェーンもまた、技術的・社会的な理由で頭打ちになることが予測されている。
    私もバラ色であることを期待していたので冷や水を浴びせられたのだが、でも納得感はある。

  • ブロックチェーンについて初心者対象に書かれた内容とのこと。
    前半部分では、「互いを信頼しない利用者同士が大規模に協力しあう仕組み」の説明。(この部分はネット上でもよく解説があるのもの)
    もう一つは、技術核にあるハッシュの内容と利用の仕方が解説されている。暗号について基本を知るといういみでこの部分の解説はわかりやすい。ここは特に読む価値があると感じた。
    後半部分は、暗号資産との関連やブロックチェーンの真の評価(利点もあれば欠点もある)が書かれている。改めて、この部分も読んでおく価値がある。比較的わかりやすく解説されている。

  • ビットコインにはあまり関心がないが,「相互不信が実現する新しいセキュリティ」という副題にひかれて読む.
    ブロックチェーンがどういう技術なのかがよくわかるように書かれているすぐれた入門書.デジタル署名,ハッシュ関数,P2Pなど既存の技術を非常にうまく組み合わせて,信頼が連鎖する仕組みをつくっているのがわかる.とてもおもしろい.
    ビットコイン以外にどういうところに応用が可能なのか知りたくなった.

  • すごくわかりやすかったのでスラスラ読めました
    今までよくわからなくてもやもやしていたことがなるほど、という気持ちです

  • 公開鍵暗号、電子署名といったブロックチェーンの前提知識を丁寧におさえつつ、仮想通貨以外の応用例や将来的な展望にまで議論を拡張したまさにお手本のような入門書。

    インターネット, AI, そしてIoTが辿ってきたハイプの濁流に今まさに加わろうとしているブロックチェーン技術。 
    その過剰なまでの期待感に水をさしつつも重要性を訴えかける、ある種の強い思想を感じる一冊。

    それにしてもブロックチェーンというものは実に現代的な技術だ。
    可用性や信頼性に病的なまでにこだわり抜いたこの革新的な技術は、果たして仮想通貨市場を飛び越えイノベーションの起点たりうるのだろうか。

  • 参加者が誰もお互いを信用し合っていないからこそ、正確な計算結果が世界中で未来永劫保存される──。
    暗号通貨(仮想通貨)ビットコインを支える仕組みとして登場したブロックチェーンは、かつてのインターネットのように新たなインフラへと育ちつつある。その本質は、構造はどうなっているのか?
    社会を一変させる可能性を秘めた新技術の根幹と限界を見きわめるべく技術解説書のトップ著者が挑んだ、「これ1冊で網羅できる」ブロックチェーンの決定版入門書!

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著者プロフィール

中央大学国際情報学部教授

「2021年 『デジタル/コミュニケーション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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