天を掃け

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065161692

作品紹介・あらすじ

たしかに。すばるは宇宙人だ。ほかのだれとも違う。何かを秘めている。この山には駿馬の知らなかった景色がある。すばるが見上げていたこの空で、何かが駿馬を待っている――。耳元で、ばちっと音が聞こえたような気がした。(本文より)/短距離走者(スプリンター)として期待されながらも、走れなくなった駿馬は、たったひとりで小惑星探索にいどむ昴と出会う。中学二年生の夏の物語。


「小惑星を発見して、名前をつけるのが、おまえのやりたいこと?」
 無言でうなずいたすばるに、駿馬は息を呑む。
「……わかんないけど、その夢、ハードル高すぎね? むずかしいんじゃないの」
「ハードルの高さは関係ない。あんたはむずかしかったから諦めるのか? ……夢」
 ビー玉みたいな目が駿馬を射貫く。浮かべた笑みは、挑発、いや、嘲笑だ。
 駿馬はぽかんと口を開けた。
 ジャブなしの右ストレート、またはロープに振らない三角飛びドロップキック。
 ――強烈。                         (本文より)

短距離走者(スプリンター)として期待されながらも、走れなくなった駿馬は、たったひとりで小惑星探索にいどむ昴と出会う。中学二年生の夏の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 走れなくなった野生児少年が、引きこもりの天体おたくに出会い、刺激を受ける。登場人物がみんな個性的だし起こる事件も激しいし、モンゴルや天文など遠い世界もそこにあるように描く。情報量が多く興奮できた。

  • モンゴルの草原で馬と駆け回って育った駿馬だが、日本に帰ってきて陸上に打ち込んだ途端、足のケガに見舞われて競技を断念せざるを得なくなる。そんな矢先、天体観測に全てをかけるすばると出会う。すばるも駿馬も、そしてかつて陸上部の仲間だったカガミも、それぞれに悩みや不安を抱えながらも、自分が熱くなれるものを求めて、家族や仲間とぶつかり合いながら成長していく。天体観測に関する内容がとても濃い。全体的にすごく重量感というか、読みごたえがあった。

  • 5歳から13歳までモンゴルの平原で育った鏑木駿馬(しゅま)

    日本に戻り短距離走者として実力を発揮するも、走れなくなって目標を失い、友人とダラダラすごしている

    そんなときに出会ったのが幻の小惑星を探す天文オタクのすばるだった

    すばるに感化され心に火が灯った駿馬は星の世界にのめりこんでいく

    星に魅入られて夏を駆け抜ける中学2年生の友情と自分さがしの物語

    〈自分は何を望んでいるのだろう。道はどこに続いているのだろう。〉

    タイトルはつぎの会話に

    「そうてん?」
    「──天を掃く。必要なら、何百夜かけてでも全天を捜索する。それが、掃天」

    『奏のフォルテ』で第58回(2017年)講談社児童文学新人賞佳作に入選後、初の長編、2019年7月刊

  • 将来を嘱望された陸上少年の主人公は走れなくなり、小惑星を見つけて自分の名前をつけたい少年と出会い変化していく。YA向けひと夏の物語。

  • 駿馬がいいキャラしてる。カガミくんが結局一番拗らせてるかんじで、しんどそう。みんな幸せになっておくれ

  • sg

  • え、なにこれ面白い。

    モンゴル育ちの駿馬と宇宙人すぐるとの
    掛け合いも面白いし、
    駿馬の葛藤や成長が応援したくなる。

    なんとなく見上げていた星に
    ロマンをもって探求している人が
    いるのだと思うと、胸が熱くなった

  •  夏のすおう祭りで星を見つけようとする駿馬たち。夢を追うのは大変、でも諦めたくない。登場人物たちの強い思いが伝わってきます。「はやぶさ」のニュースに胸が熱くなった人には特におすすめ。読み終わると星空を見上げたくなります。
    (一般担当/95line)

  • モンゴルの草原を馬と走る。
    馬に乗ってるんじゃなくて、並走する馬と、人力で走るなんて、、、
    気持ちいいだろうな

  •  モンゴルで野生児のように育った駿馬は、両親の仕事の都合で山口県の田舎町にやって来た。陸上でオリンピックを目指していたが、全日中の準決勝でアキレス腱を断絶するというけがを負ってしまった。
     けがは回復したものの、イップスという症状になってしまい、それを誰にも打ち明けられずにダラダラと毎日を過ごしていた。

     ある日いじめられていた同級生すばるを助けたことから、彼に興味をいだき始めた駿馬。ある理由で天体観測にのめり込んでいるすばるに影響されて、駿馬も父親から譲ってもらった天体望遠鏡をのぞき始めた。

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著者プロフィール

作 黒川裕子(くろかわ・ゆうこ)
大阪府生まれ。京都外国語大学学士、エディンバラ大学修士。2017年に第58回講談社児童文学新人賞佳作入選、『奏のフォルテ』でデビュー。小学生向けから中高生向けまで、幅広いテーマの児童書を執筆している。おもな作品に『天を掃け』『となりのアブダラくん』『いちご×ロック』(すべて講談社)などがある。千葉県市川市在住。

「2021年 『#マイネーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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