青空に飛ぶ (講談社文庫)

著者 :
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065165805

作品紹介・あらすじ

中学2年の萩原友人は、伯母の住む札幌を訪れていた。学校での凄絶ないじめで心が折れた友人は、高いところから“青空に飛ぼう”と決意をしていた。そんなとき、伯母の勤務する病院に入院している佐々木友次のことを知る。佐々木は、太平洋戦争時、特攻隊に選ばれ9回も出撃しながら生還したという人物だった。
「死ぬのが当然という状況で、どうして“生きよう”と思い続けられたんだろう」
佐々木が所属した陸軍万朶隊の物語、そして佐々木自身の言葉を前に、友人の傷ついた心は少しずつ前を向きはじめるが……。

感想・レビュー・書評

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  • 勉強が嫌いだった私は、戦争について何も分かっていませんでした。でも、この本をきっかけになぜ戦争が起こったのか、沢山ネットで知らない言葉を検索しました。
    分からないところも所々ありましたが、当時の戦争に行った人達の気持ちが本当に様々で、読んでいて辛くて苦しかった。
    主人公も、いじめが壮絶すぎて、頭の中で想像するたびに辛くて苦しかった。
    でも、知らなかった世界を知れて、この本をきっかけに戦争について、もっともっと知りたいと思いました。

  • 表紙の爽やかさとは裏腹に、読むのが非常にきつかった一冊。
    親の仕事の都合でアメリカの学校へと通っていた主人公。
    帰国し日本の中学校へ通い些細なことからクラス中でイジメを受ける事になる。
    とにかくイジメの描写が生々しくて、読み進めるのが辛くなる。
    アメリカの学校では幼い頃から「報告」と「チクリ」の違いを学ぶのだとか。
    イジメを見かけたら大人の助けを求めなさいと。
    それは決してチクリとは違うと。

    主人公がイジメをきっかけに、戦時中9回も出撃し生きて帰ってきた元特攻隊の佐々木友次さんの存在を知る。
    私も本書で実在していた方だと言うことを初めて知った。

    戦時中の報道は本当に嘘だらけで、
    「特攻で戦果をあげて死んだと世間に言ってしまったから、今から特攻して死んでくれ」
    なんて丸で小さい子が嘘をついているみたいな幼稚さなのに、大の大人がこんなことを言ってまかり通るだなんて。
    戦争とは本当に一体何なのか。

    主人公は佐々木さんの「寿命は自分では決められない」
    の一言に励まされるのだが、
    傷ついた心が回復するには長い時間が必要だろうな。

    私は子供に逃げ道を作ってあげられる、そんな大人になりたい。

  • いじめのくだり‥読むのがつらくてつらくて‥
    なので、星一つさげました。
    実在の方のことが書かれてて、ましてやその方が自分のよく知ってる地名出身の方で‥
    不思議な気持ちで読みました。

  • 私のお気に入りNHK番組CoolJapanの司会者 鴻上さん。舞台関係の仕事をされているという認識だったが、ご本人が書かれた小説を見つけたので読んでみた。
    中学生のイジメと特攻隊がテーマのこのお話。裏表紙から分かってはいたものの、鴻上さんの見た目の印象から、きっと穏やかなホッコリした話だろうと思っていた。しかしながら、期待はかなり裏切られ、読後はどっぷり暗くなった。
    現代の陰湿ないじめと、過去の悲惨な特攻隊。作者は書きたいことを書くために、強引に2つを結び付けたという印象が強く、小説としては、今一歩な感じ。
    9回出撃し生きて帰ってきた特攻隊員の実話エピソードは全く知らなかったので、この部分はとても興味深く読めた。
    中学生のイジメに関しては、本当にこんな陰湿なことが現場で起きているのか信じがたい部分がある。なんだかなぁ・・・

  • 佐々木さんの話が多かったので、
    どちらかと言えば主人公•友人の話を読みたかった自分にとっては 途中、読むのが辛かった。
    けれど、2人の生き方がすごくリンクしていて。

    個人的には、最後の20〜30ページ部分の展開が、心を引っ張られるようだった。
    自分のことを理解していない誰かが
    良かれと思ってやっている
    もしくはこうあって欲しいと思い行動することが
    どれほど自分を苦しめるか。
    特に学生の時はそんなことがあった気がする。その感覚を思い出させられて、友人と一緒に苦しくなった。

    戦うことや潔いことが正解でもないのかな。

  • リアルな戦争の話にいじめの問題を絡めた話
    特攻隊の話もいじめに苦しんでる話も、凄まじすぎてなんとも言えない気持ちにさせる
    感動の一作とあるが、感動よりもなかなか消化不良な嫌悪感が残る作品だった

    悪い作品という意味ではない
    戦争というテーマの割にとても読みやすいし、一気に読めるし、なにより考えさせられる
    ただ、重いなぁ…

  • 書かれているいじめの描写が生々しく、時折、ページをめくるのも辛いと感じる時があった。ただ、だからこそ、現実味も感じた。
    また、結末も、よくある仲直りや勧善懲悪ではないというところも、実際のいじめへの対応の難しさをよく表していると感じた。

  • 終わらないいじめ。理解されない苦しみ。人生に絶望し、自殺を考える少年・萩原友人。彼が出会ったのは、太平洋戦争時、9回にも及ぶ特攻から生還を果たした佐々木友次さんだった。「どうして、そんなに苦しい状況で、“生きよう”と思い続けられたんだろう」佐々木が所属した万朶隊の物語、そして佐々木自身の言葉を前に、友人の傷ついた心は少しづつ前を向き始めるが……。


    2015年10月。中学2年生の萩原友人は、伯母の住む札幌を訪れる。それはいじめられる日々からの束の間の逃避であった。友人はひょんなことから伯母の勤務する病院に神風特攻隊の有名人・佐々木友次が入院していることを知る。
    いじめの苦しさから逃れるため、自殺を試みるも思いとどまった友人は、伯母の勤める病院に向かい、佐々木の病室を見つける。佐々木は9回特攻に出撃し、9回とも生還したのだという。特攻隊と佐々木に関心を持った友人は、古本屋で『陸軍特別攻撃隊』を手にする。そこに書かれていたのは、敵艦への体当たりという任務を負った万朶隊の物語であった。

  • 人の人生を知ることは重くてなかなか読み進められなかった。
    けど途中で投げ出すこともできなかった。最後まで読まないといけないと思った。
    それくらい重みのある内容

  • 『不死身の特攻兵』のほうがわかりやすかった??

    主人公の現在と 本を読んでの歴史が交互に繰り返されるのだが
    中学生にも読みやすいよう、主人公がかみ砕いたような特攻の歴史だと もっととっつきやすいだろうか
    (イジメものなので とっつきやすくはないのだが)

    奇跡なんて起こらなくて
    でもラストの 島への転校の選択は こういう方法もあるのか、と。

    確かになぜいじめられた方が転校したり、引っ越したり負担が大きいのだろう。。。という問題はあるけれど
    また大人数の慣れない環境に 疲弊しきった状況で飛び込むよりは
    こういったせめて 負担の少ないであろう新境地への方が
    いいのかと。

    3月のライオンで まず動物の友達をつくって
    大人の友達をつくって。。。 という方法も目からうろこでした。
    同世代がきついのならば、周囲が大人な対応をしてくれる大人のいる環境に行ったって、別にいいのか。と。

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著者プロフィール

著者等紹介
鴻上尚史[コウカミショウジ]
1958年8月2日生まれ。愛媛県新居浜市出身。早稲田大学法学部卒業。劇作家・演出家・エッセイスト・小説家

「2023年 『ヘルメットをかぶった君に会いたい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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