昭和・平成精神史 「終わらない戦後」と「幸せな日本人」 (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065169483

作品紹介・あらすじ

敗戦から70年以上が過ぎ、元号も2度あらたまって、いよいよ昭和も遠くなりつつある。「もはや「戦後」ではない」という宣言から数えてもすでに60年以上が経った。しかし、私たちが生きているのは、今なお「戦後」なのではないだろうか。毎年、戦後何年になるかを数え、ことあらば「戦後初」をうたう。私たちが生きている時間は、つねに「戦後」を起点とし、「戦後」に規定されている。これはいったいなにを意味しているのだろうか。令和の時代を迎えても加速する一方の「息苦しさ」、「生きづらさ」は、実はこの「終わりなき戦後」の終わらなさにこそ原因があるのではないか――。
 本書は、「戦後」という幸福な悪夢の外側に、どうにかして越え出るために、昭和・平成を貫く時代精神の真の姿を映し出す試みである。
 太宰治の絶望、ゴジラに仮託された不安、力道山が体現した矛盾、さらにオウム真理教という破綻と癒えることのない東日本大震災の傷。戦後日本社会の精神史は、東京オリンピックや大阪万博、インターネットの普及など華やかな出来事や物質的豊かさの影で、それを支えるためにそこから排除されてきた人々の嘆きと悲しみの声に満ちている。その声に耳を傾け、「息苦しさ」と「生きづらさ」の根源から目を逸らさず、その姿を受けとめること。「戦後」を終わらせるため、声高になることなく、著者は静かに繰り返し私たちに語りかける。
 うわべだけの「幸せな日本人」を脱ぎ捨て、敗戦から日本社会が抱えこんできた絶望を直視したときにはじめて、希望もまた輝きはじめる。「終わりなき戦後」から、かけがえのない一歩を踏み出すのための、時代に捧げる鎮魂歌。

感想・レビュー・書評

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  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】 
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/734756

  • 興味深い話なんだけど読みにくい!
    やっと読み終わった!

  • 309.021||Is

  • 今の時代に珍しく、また、学者としても珍しく、感傷的で、文章から共感を拒否するような被害者意識に裏打ちされて書かれている。

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著者プロフィール

1961年、水戸市に生まれる。
「見えないものを語ろう」とする癖(へき)が高じて宗教学者に。

東京大学大学院人文科学研究科宗教学専攻博士課程中退。博士(文学)。
海外の大学の客員教授や客員研究員を歴任。
2024年現在、国際日本文化研究センター(京都)教授。
磯前プロジェクト室主宰。

著書に『近代日本の宗教言説とその系譜』〔岩波書店, 2003年〕、
『閾の思考』〔法政大学出版局, 2013年〕、
『ザ・タイガース: 世界はボクらを待っていた』〔集英社新書, 2013年〕、
『死者のざわめき』〔河出書房新社, 2015年〕、
『昭和・平成精神史』〔講談社, 2019年〕、
『公共宗教論から謎めいた他者論へ』〔春秋社, 2022年〕、
『石母田正』〔ミネルヴァ書房, 2023年〕、
『居場所のない旅をしよう』〔世界思想社, 2023年〕など。
外国語に翻訳された書物など多数。

「2024年 『生者のざわめく世界で 震災転移論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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