社会と精神のゆらぎから

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065194539

作品紹介・あらすじ

「若い世代に、先に逝った故人に、今、世界がどうなっているのか、伝えてみよう」。野田正彰が、精神科医の視点から振り返る戦後史。

感想・レビュー・書評

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  • 比較文化精神医学を始めとして、気骨のある文章を紡ぎ出している著者の、これまでの生き様を振り返る書。著者が主に文化人類学的手法にて様々な調査を行ってきたこと、ヤスパースの現象学的精神病理学を基本とした社会精神医学的手法で臨床を行ってきたこと、その実践が若き日の長浜日赤での臨床経験に裏打ちされていることが述べられている。当時は革新的であった精神科医療の開放化は、学生時代の学生新聞編集、学生運動、青医連運動から培われていることが赤裸々に述べられている。若い精神科医が読んでも一昔までピンとこないことも多いだろうが、かつての荒くれた時代の当事者の方々がこのような形で文章を残してくれるのは後進のものとしては参考になる。ただ綺麗事だけではない部分もあったのだろうとは思われるが。それ以上にこの文章が連載されている高知新聞の気概にも感嘆を受けた。この連載を読んでいる高知の人の感想を聞いてみたみたい。

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著者プロフィール

1944年生まれ。長浜赤十字病院精神科部長などを経て、現在、関西学院大学教授。専攻は比較文化精神医学。1999年2月の広島県立世羅高校・石川敏浩校長の自殺についての検証をきっかけに、君が代強制に苦しむ教師たちの精神医学にかかわる。著書に、『虜囚の記憶』(みすず書房)、『子どもが見ている背中』(岩波書店)、『させられる教育』(同)、『戦争と罪責』(同)、『喪の途上にて』(同、講談社ノンフィクション賞)『コンピュータ新人類の研究』(文藝春秋、大宅壮一ノンフィクション賞)など多数。

「2009年 『教師は二度、教師になる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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