民主主義とは何か (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 126
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065212950

感想・レビュー・書評

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  • とても良かった。整理方法、説明方法がとても巧みで分かりやすかった。家族にも読んで欲しいと思った

  • テーマも表紙も難しそうだけど、読み始めると簡潔で読みやすい文章がとても面白い。
    民主主義の歴史を古代ギリシアから丁寧に追っていく。
    市民の男性という枠の中だけだけど、完全な抽選で代表者を選ぶ古代ギリシアは面白い。議論は活発になり、参加意欲も高く、一人一人が当事者意識を持って考えたのだろう。その後民主主義は発展していき、問題点もでてくる。
    「いまここ」に注目しがちで、長期的な世代を超えるような政策は反映されにくい。少数派を切り捨てる可能性をはらんでいることなど問題点もわかった。

    後半日本の民主主義についても触れられていて、導入されたのは1900年代。自民党公明党の連立政権がほとんどの期間運営していること。現在の日本の代議制民主主義は寡頭制に近いなと感じた。そして信頼が低下していること。

    民主主義は個人が自由であることがもっとも大切。「自粛」という言葉を使い、強制しないことこそ民主主義だから、なのか?
    など考えられ、刺激的な読書ができた。


  • 古代ギリシアまで遡り、民主主義について考えていく本。著者の知識が深く、非常に読み応えがあり、理解できたかというと自信がない。しかし、日本の政治が日本人から評判が悪いながらも現在の形があるのは、深い理由と長い歴史があるのかなと妙に納得できた。

  • 【2回目】民主主義、自由主義、議会制の合流(結合)の検討を主として、民主主義の歴史を俯瞰している好著。民主主義について語ろうとする場合は、避けては通れないだろうと思われる。先の3つや、国家「と」社会との間での緊張と均衡とが、よりよき「民主主義」へ向けてのパワーとなると説かれている(と思う)。対立しているはずの諸要素を「敢えて」持ち込み、拮抗させることが、単一の原理が社会を塗り尽くすことから遠ざけているのだと思う。

  • まぁ面白かったかな。
    ただ、果たしてルソーの一般意志に沿った政治が筆者のいう参加と責任を担保しているのかなと疑問に思った。
    また、結局どうすればいいのか、具体的な方法を提示していないので警鐘を鳴らすに止まっているのが少し物足りないなぁ、と感じてしまった。

  • 『自分の頭で考える日本の論点』で出口治明さんが絶賛していたので読んでみた。

    帯の紹介に書いてある通り、民主主義とは何か、言われてみれば確かによく分からない。

    まえがきの3問、
    A. 多数決 or 少数派の意見を尊重?
    B. 選挙を通じて代表者を選ぶ or 社会課題を自分たちで解決していくこと?
    C. 国の制度のこと or 理念?
    に対して、民主主義の歴史を丁寧に振り返りながら、最終的に、おわりにで著者なりの回答を出す構成。

    序盤で出てくるプラトンが民主主義に批判的だったエピソードが非常に腹落ちした。
    『ソクラテスの弁明』で描かれているが、ソクラテスは、アテナイの若者をそそのかし、伝統的な神々を否定したとして、「民主的な裁判の結果として」処刑された。これって、戦時中の日本や、今のポピュリズムと大して…いや、全く変わらないのであり、人間って進歩しないなーと思う。

  • この書物は「民主主義」というありふれた概念を取り上げ、古代ギリシア、アメリカ独立、フランス革命、トクヴィル、ミルらの思想の文脈において、現実的な問題意識のもとに捉え直した書物であり、必読の文献です。

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000942103

  • 読了日:2021/03/25

  • 311.7||Un

  • 「民主主義とは何か」というテーマが、いかに難解でハードルの高いテーマであったか、それを新書という形にまとめるという筆者の挑戦がいかに困難であったか。読み進めるうちにそれらを思い知らされます。

    本書を読んで、民主主義とはその概念自体多義的であり、日々刻々と変化し続ける鵺的なつかみどころのないものだと分かりました。

    しかし、本書は、そんな民主主義について、歴史的な背景や、基本的なことから丁寧に、わかりやすく解きほぐして解説してくれます。そして、「民主主義とは何か」というテーマと真摯に向き合い、それについての筆者なりの見解を示してくれます。

    民主主義が所与の前提であり、完成されたシステムであると思い込んでいた私にとっては、目から鱗が落ちる思いのする場面がいくつもありました。

    本書は、日常の国内外の政治的なニュースについても、民主主義という流れから見るとどう見えるのか、という視座を与えてくれました。

    民主主義と真摯に向き合った、とても丁寧で誠実な本だと思います。

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著者プロフィール

東京大学社会科学研究所教授

「2023年 『法と哲学 第9号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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