- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065215555
作品紹介・あらすじ
件=牛から生まれ、人間の言葉を話すとされている。死ぬときに何か予言し、必ずその予言は当たると言われている。
奈良県葛城山山中で男女が遭難。発見された女性の遺体には獣に食い荒らされた痕跡があった。死体のまわりには牛のものと考えられる足跡があった。奈良県警の村口刑事は不可解な状況を不審に思う。
2ヶ月後、岡山県の山間部で、偶然件の誕生を目撃した大学生・美波大輔は何者かに追われる身に。彼は岡山での出来事を忘れようとするが、1週間後、件の予言通り現首相が急逝し、再び岡山を訪れる。
予言する牛の背後には「みさき教」という新興宗教団体の影が。明らかになった入信者の名前は明治以降の大物政治家や総理経験者財界人の名前が並んでいた。
戦前から日本の中枢を動かしていたのは件の予言だったのか!?
感想・レビュー・書評
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田中啓文『件 もの言う牛』講談社文庫。
『件』をテーマにした伝奇パニックホラー小説。『件』と言えば、小松左京のホラー短編『くだんのはは』を思い出すが、果たして本作はどうだろうか。
単なるホラーに留まらず、スケールの大きい阿鼻叫喚の地獄絵図が描かれる。もう少し贅肉を削ぎ落とし、物語の筋を明確にすれば、もっと面白い作品になったかも知れない。
奈良県葛城山の山中で若い男女が遭難する。男性は牛に襲われ、崖から転落し、九死に一生を得る。女性は牛に食い荒らされ、無惨な遺体となって発見される。その2ヶ月後、岡山県の山間部でフィールドワーク中に土砂崩れに巻き込まれながら、難を逃れた大学生の美波大輔は助けられた牧場で『件』の誕生と予言を目撃する。『件』の背後に見え隠れする新興宗教団体『みさき教』の姿……
本体価格820円
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生まれてすぐ予言を言い、すぐに死ぬという
体は牛、顔は人の妖怪件(くだん)
の復活を目論むみさき教
予言を政治に用いようとする政治家の悪行
それらと戦う、雑誌記者、警察、民俗学学生、信者の娘
ホラーミステリーとして、スピード感のある話としては楽しめた。 -
久々の田中啓文。
絶妙に気持ち悪く、オカルト心をくすぐられる。
これぞ!と言った感じで、とても満足。
有り得ない話なのだけれど
もしかしたら…と色んな想像をしてしまう、そんな作品。 -
ホラー開拓したくなって手に取った本。
予言をした後すぐに死んでしまうという妖怪「件(くだん)」を信仰する宗教団体に主人公達は巻き込まれていく。
牛が人間を旨そうに喰うという描写がなかなかゾワッとした。妄想力爆発で話は日本政府にまで広がり…とちょっとやりすぎかなとも思ったけどこのくらい思い切り爆発させた方が面白いよな!と思った。
実際こんな妖怪いたらやべーな…って感じの牛でした…てか牛牛牛…でした笑
作者は丑年を狙って書いたのかなぁ? -
なんだろうなあ。圧倒的なB級感。
B級ホラーというかB級スプラッタというか。真剣に読むよりもそういう気分で読めばそれなりに楽しかった・・といえなくもない。真面目なバカバカしさとでもいいますか。
何作か読んだけど、この作者さんの持ち味みたいなものなのでそこを「つまらない」と全否定するのも違うかな。サメ映画を本気で否定するみたいなもので。はい。 -
「だったら、無責任なこと言わないでほしい。話を聞くだけ聞いて、それはどうにもならないって言うぐらいなら、はじめっから聞かないでください」
「私はなにをすればいいの」
「無事に帰ってくるように神さま仏さまにお祈りしていてくれ」
「そんなものあてになりません」
「じゃあキリストさまだ」
「日本では、破棄された資料というのは必ずどこかから出てくるものなんですよ」 -
う〜ん……
この作者さんの持ち味と言ってしまえばいいのかもだが、
後半〜終盤にかけて、ええいもう何でもいいや、みたいに展開も演出も登場人物の動きや発言も、何もかもが軽くてふざけている。
突飛とか自由とかともこれは違うきがする。
もっと本質的に低俗な、作者自身が本作を書くこと自体に飽きてしまったような印象を受けてしまう。
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予言獣・件の復活を目論む新興宗教「みさき教」の封印された過去。書下ろし伝奇ホラー。