- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065217719
作品紹介・あらすじ
人間は遺伝子に操られているのか?
宇宙開闢の時点で、その後の出来事は一通りに決まっていたか?
運命はあるのか?
人間と機械は何が違うのか?
こうした疑問はすべて人間の自由意志の問題であり、
デモクリトスからスピノザ、デネットまで、
決定論の哲学史に刻まれている。
ダーウィンや神経科学など自然科学的観点も検討しつつ、
決定論のこれまでとこれからを考える。
感想・レビュー・書評
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自由意志を巡る冒険の書。最もわかりやすい進化論の解説が含まれている哲学の本。
ダニエル・カーネマンのの引用まで出てくるのが魅力的。「システム1」は根源的なヒトのものの見方や世界観の構築に大きく影響しているのだと改めて思い至った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
因果論、決定論、運命論、目的論⋯。自由意志にまつわる
哲学的考察をその歴史を踏まえながら詳説する。非常に
わかりやすく、哲学のみならず、進化論や脳科学、DNA
まで射程に含む意欲作だと思う。ただ、運命論や決定論に
対しておぞましいと思う気持ち、その方面に対するアンテナ
がどうも鈍いせいか、今一つ心に響いては来なかったという
のが正直なところ。結局は、折り合いをつける、ということ
なのだろう(乱暴)。 -
自由意志をめぐる議論の歴史がまとめられていてありがたい。
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「決定論」や「運命論」をめぐって展開されてきた哲学史上の議論を、自由意志にかんする現代的な問題意識のもとで整理しなおし、さらにダーウィン以降の自然科学があたえたインパクトを踏まえながら自然主義の立場から自由意志をめぐる諸問題を解決するいとぐちをさぐっている本です。
サブタイトルは「決定論をめぐる哲学史」となっており、古代ギリシア哲学における決定論やスピノザおよびライプニッツの議論などにも立ち入ってそれらの議論が紹介されています。とはいえ、著者の関心は現代における自由意志をめぐる問題に焦点があてられており、そうした観点から哲学史の検討を通じて「決定論」と「運命論」を峻別する試みがなされています。著者は、なんらかの目的を設定する「運命論」から因果的な「決定論」を区別し、ダニエル・デネットの議論を参照しつつ前者を「バグベアー」としてしりぞけます。そのうえで、特定の目的を設定することのない因果的決定論の立場のもとで、人間の自由意志をめぐる問題を調停する道を指し示しています。
決定論ないし運命論についての哲学史的な見取り図を期待する読者にとっては、著者自身の立場が前面に押し出されているため、かたよった議論だという印象を受けるかもしれませんが、それでも一つの問題設定のもとで哲学史上の議論を整理しなおしている点で、興味深く読めるのではないかと思います。本書の最後では、自然主義的な立場から運命論を含む宗教の起源についての考察をおこない、さらに行為者因果を回復する試みがあることに触れられていますが、そうした議論を紹介した続編を読んでみたいと感じました。 -
途中で断念。