- Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065218525
作品紹介・あらすじ
「ここは夜叉神川の上流。
両側に高い崖が迫る谷、聞こえるのは川の音と、山で鳴く鳥の声だけだ。」ーー『川釣り』より。
「昔、亡くなったおばあちゃんが教えてくれた。魂という漢字に鬼の字が入るのは、もともと人の心に鬼が棲んでいるからだと。」ーー『鬼が森神社』より
全ての人間の心の中にある恐ろしい夜叉と優しい神、その恐怖と祝福とを描く短編集。
「川釣り」「青い金魚鉢」「鬼が森神社」「スノードロップ」「果ての浜」
夜叉神川の上流から下流へ、そして海へと続く全五話を収録。
野間児童文芸賞受賞後初作品
感想・レビュー・書評
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夜叉神川と神社周辺で子どもたちに起こる、不可思議な出来事を描いた短編集。
「スノードロップ」も良かったが、ラストの「果ての浜」が秀逸。
波照間島の悲惨な歴史を織り込み、過去の戦争や加害とどう向き合うかを上手く物語にしている。
「果ての浜」だけでもっと長い話として読みたかったくらい。
タイトルの割に、一部の作品以外は夜叉神川さして関係なかったし…。 -
想像以上にゾッとする怖さ。
ファンタジーでありながらも、実際にありそうな話の流れが怖かったです。 -
ラストの波照間島の話が特に印象に残った。私も一度だけ行ったことがあるハテルマブルーの美しい島。ただ、沖縄には悲しい歴史がある。忘れないように、繰り返さないように、歴史は学ぶ必要があるなあと再認識。波照間島の話、結構怖かった。
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ふむ
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これはホラー小説というのかな?
人間の心には当然善と悪の部分があって、時々ふいに悪の部分が何かに引っ張られるようにして、見たくもない世界を垣間見てしまうことがある、という感じのお話だった。 -
ホラーを読みたがる子どもは多いが、子どもに勧められる内容とクオリティを兼ね備えたホラーはあまりない。
しかし、これを読んでさすが安東さん!と思った。
子どもの日常から離れず、それでいてゾッとするような人間の恐ろしさを垣間見せてくれる。
「川釣り」「青い金魚鉢」「鬼ヶ守神社」が良かった。
「青い金魚鉢」が一番好きだ。無神経ないじりに傷つけられて学校に行けなくなった少女が、因縁のある金魚鉢を手に入れる。出窓に置いた金魚鉢から、かつて自分も毎日通った通学路が見える。鬱屈した心理と、歪んだ青いガラスが彼女に力を与えてしまう。
ちょっと「押し絵と旅する男」みたいな。
表紙の絵がかわいいのが、ホラーに見えなくて残念。もう少し怖い感じにした方が子どもにはウケると思う。 -
ホラー、幻想小説かな。子供が読むにしてはなかなか怖い作品かもしれない。
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夜叉神川の周りで起こる、不思議で少し怖い物語。「川釣り」は読んでてゾクっとした。本当に怖いのは神様でも魔物でもなくて、鬼が潜む人なのかもなぁ。