夜叉神川

  • 講談社
3.62
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本棚登録 : 134
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065218525

作品紹介・あらすじ

「ここは夜叉神川の上流。
両側に高い崖が迫る谷、聞こえるのは川の音と、山で鳴く鳥の声だけだ。」ーー『川釣り』より。

「昔、亡くなったおばあちゃんが教えてくれた。魂という漢字に鬼の字が入るのは、もともと人の心に鬼が棲んでいるからだと。」ーー『鬼が森神社』より

全ての人間の心の中にある恐ろしい夜叉と優しい神、その恐怖と祝福とを描く短編集。
「川釣り」「青い金魚鉢」「鬼が森神社」「スノードロップ」「果ての浜」        
夜叉神川の上流から下流へ、そして海へと続く全五話を収録。 
野間児童文芸賞受賞後初作品

感想・レビュー・書評

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  • 夜叉神川…名前だけで背すじがゾクっとする。
    この夜叉神川の側に古くからある小さな神社・鬼ヶ守神社。ここに祀られているのは神様ではなく、なんと鬼。
    神と鬼とは表裏一体。善と悪も裏と表で同じもの。魂という漢字に鬼の字が入っているのは、もともと人の心に鬼が棲んでいるから。
    こんな怖い文章が続く短編集でちょっと覚悟して読み進めたけれど、ラストはどれも、長かった夜がようやく明け眩しい朝日が昇るように、ほっと息をつけるものばかりで安心した。

    夜叉神川の側に住む子供たちの周りで起こる摩訶不思議な出来事5話。
    子供の世界は大人には分からない複雑なことが多いもの。自分の気持ちを巧く表現できず、つい残酷な言葉も平気で言ってしまう。
    自己防衛のためなのか他人には殊更厳しく当たる。
    こんな不器用な子供たちに警笛を鳴らすように、不思議な現象に次々と誘い込まれる。

    「鬼はだれの心にも棲んでいる」
    そんな怖い鬼だけれど、大人になるにつれいつの間にか見て見ぬ振りが出来るようになるもの。素直に反省出来る子供の期間だから、鬼も神のごとく優しく叱ってくれるのかもしれない。

  • 【児童文学作家・安藤みきえ】10代に読んでほしいおすすめの本はこれ! | ブックス雨だれ
    https://amada-re.com/andoumikie/

    TANAKA CHISATO
    http://www.tanakachisato.com/

    夜叉神川 安東 みきえ(著/文) - 講談社 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784065218525

  • 夜叉神川と神社周辺で子どもたちに起こる、不可思議な出来事を描いた短編集。
    「スノードロップ」も良かったが、ラストの「果ての浜」が秀逸。
    波照間島の悲惨な歴史を織り込み、過去の戦争や加害とどう向き合うかを上手く物語にしている。
    「果ての浜」だけでもっと長い話として読みたかったくらい。
    タイトルの割に、一部の作品以外は夜叉神川さして関係なかったし…。

  • 想像以上にゾッとする怖さ。
    ファンタジーでありながらも、実際にありそうな話の流れが怖かったです。

  • ラストの波照間島の話が特に印象に残った。私も一度だけ行ったことがあるハテルマブルーの美しい島。ただ、沖縄には悲しい歴史がある。忘れないように、繰り返さないように、歴史は学ぶ必要があるなあと再認識。波照間島の話、結構怖かった。

  • ふむ

  • これはホラー小説というのかな?
    人間の心には当然善と悪の部分があって、時々ふいに悪の部分が何かに引っ張られるようにして、見たくもない世界を垣間見てしまうことがある、という感じのお話だった。

  • ホラーを読みたがる子どもは多いが、子どもに勧められる内容とクオリティを兼ね備えたホラーはあまりない。
    しかし、これを読んでさすが安東さん!と思った。
    子どもの日常から離れず、それでいてゾッとするような人間の恐ろしさを垣間見せてくれる。

    「川釣り」「青い金魚鉢」「鬼ヶ守神社」が良かった。
    「青い金魚鉢」が一番好きだ。無神経ないじりに傷つけられて学校に行けなくなった少女が、因縁のある金魚鉢を手に入れる。出窓に置いた金魚鉢から、かつて自分も毎日通った通学路が見える。鬱屈した心理と、歪んだ青いガラスが彼女に力を与えてしまう。
    ちょっと「押し絵と旅する男」みたいな。

    表紙の絵がかわいいのが、ホラーに見えなくて残念。もう少し怖い感じにした方が子どもにはウケると思う。

  • ホラー、幻想小説かな。子供が読むにしてはなかなか怖い作品かもしれない。

  • 夜叉神川の周りで起こる、不思議で少し怖い物語。「川釣り」は読んでてゾクっとした。本当に怖いのは神様でも魔物でもなくて、鬼が潜む人なのかもなぁ。

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著者プロフィール

山梨県甲府市生まれ。1994年に「ふゆのひだまり」で小さな童話大賞大賞、「いただきます」で同選者賞今江祥智賞、2001年に『天のシーソー』で椋鳩十児童文学賞、2018年に『満月の娘たち』で第56回野間児童文芸賞を受賞。主な作品に『頭のうちどころが悪かった熊の話』(新潮文庫)、『星につたえて』『ふゆのはなさいた』(アリス館)、『夜叉神川』(講談社)などがある。

「2021年 『メンドリと赤いてぶくろ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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