今夜、すべてのバーで 〈新装版〉 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 104
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065220979

作品紹介・あらすじ

薄紫の香腺液の結晶を、澄んだ水に落とす。甘酸っぱく、すがすがしい香りがひろがり、それを一口ふくむと、口の中で冷たい玉がはじけるような……。アルコールにとりつかれた男・小島容(いるる)が往き来する、幻覚の世界と妙に覚めた日常そして周囲の個性的な人々を描いた傑作長篇小説。吉川英治文学新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 中島らも作品初見です。
    アルコール依存症について詳しく書いてある参考書
    依存症に関する知識が得られる
    みたいなレビューがあり、だだの小難しい話なのかな
    と思っていたが実際は導入から最後まで
    グッとひき込まれる世界観で
    主人公、容とその周りに現れる個性的な人達の魅力に惹き込まれて読み足が遅い僕でもスラスラと読めるほど面白い作品でした。
    容と周りの人間の掛け合いが印象的で会話文の雰囲気とても好きです。

  • ビール好きですが、読み終わるとビールではなくお酢ドリンクで乾杯したくなるような本でした。
    何事も、"ほどほど"が大切だと改めて感じた。
    アル中について深く考えたこともなかったので、心理学的や精神医学的に描かれていておもしろかったなぁ。アル中のことを、無理にポップに明るく書かれている訳ではないが、しっぽりくすっと笑えるような場面もありあっという間に読めました。

  • 素晴らしい文章の引き込み力
    町田康の解説も素晴らしい

  • 斉藤壮馬さんが好きな本に挙げていた1冊
    そのインタビューで話していた
    「『教養』のない人間には
    酒を飲むことくらいしか残されていない。
    『教養』とは学歴のことではなく、
    『一人で時間をつぶせる技術』のこと」
    という一節に心を打たれて購入
    .
    途中アルコール中毒だけでなく、
    薬物中毒などの他の中毒にも言及されていて、
    その時にすごくこの一節が響いた
    結局何かに依存しないと生きていけない人は、
    それに救われる部分もあるのかもしれないけど、同時にそれに支配されてる

    だから、『一人で時間をつぶせる技術』が
    必要なんだって
    .
    『教養』のある人間でありたいし、
    あり続けたいなと思う

  • 身体に悪いと分かっているのに、また、依存性を高める成分を含んでいるから脳が欲しいと信号を出すとわかっているのに、やめられないものが私にもある。
    悩んでいるところだったのでこの本に手が伸びたのだと思う。

    町田康の解説が補助線として助けになった。
    「人はなぜ破滅を恐れながら破滅を目指すのか」
    私の場合は本当には恐れてないからだろうなあ
    心から恐怖を想像するのは楽しくないし、依存性が見せてくれる快楽に目を向けるほうが楽しい、あるいはマシ。愚かな。

    最後、物語のための都合のよい希望を見せて終わったので、少しだけ救われた。本当は、最後に親しい人との希望だけでなく、社会にも頼って救われる希望の入口を見たかった。依存性は普通の人間が陥る疾患だと思う。カジノ反対

    砂糖をやめたいと切実に思っているのに破滅を目指しながらこれを書いている。よくない…!!

  • 限界アル中小説

    お酒は適度に楽しむものが一番だけど、その「適度」が難しいもの。
    「今夜、すべてのバーで」は、限界まで飲み続けるとこんな人生が待っているという小説仕立ての教則本。

    この作品を読むとお酒に対する考え方が変わるかも。「飲むなら、このくらいの覚悟を持って飲め」という強いメッセージが感じられる。また、半自伝的な要素が含まれていて、作者である中島らも氏の壮絶な人生と、彼が持つロックな魂が強く反映されている作品。

    エンタメ小説としても面白く、人生の様々な教訓が散りばめられているため、お酒を飲まない人も楽しめるはず。

  • アルコール中毒の主人公と、主人公を取り巻く人たちとのお話。妙に理屈っぽくて博識な主人公だけど、アルコールの前だと「酒を呑まない」っていう1つの自制が効かない。厄介で口上がうまくたって、「呑んでも大丈夫。」「一杯だけ。」って口にしてしまうのは中毒者の思考なのかもなあなんて。

    個性豊かな登場人物たちとの邂逅と別離があった上で、最後には未来への希望も見えたのかな?みたいな、思ってたよりも爽やか?なオチだった。

  • アル中のお話。
    作者中島らももアル中だったので、自身に近いキャラが複数に出てきているのだと推察する。
    人はなぜ酒を飲むのか、破滅へ向かうのか、単純には説明できない、というか単純ではないということを物語を通じて感じられた。
    酒に溺れたことはない(その日飲み過ぎて失敗はあるが、恒常的にやめられないということは一切ない)ので、個人的にはアルコールに依存してしまう部分で共感できるところは少なめだったが、想像しやすくなったと感じる。
    なにかストレスを抱えて、アルコールに逃げることはしないほうがいいなと胸に刻んだ。
    ガダラの豚等他の作品のらもさんの文章がめちゃくちゃ好きなのだがこの作品はあまりいいなあ、となることはなかった気がする。

  • 相当昔、らもさんがまだご存命の頃に読んで以来。
    改めて読んでも面白かったけど、中島らもという人を良く知らずに読んだ当時と違いさやかのモデルとなったであろう人がはっきりと思い浮かんでしまったり、結局書いた本人が福来と同じ選択をして不二雄的な人生、最期を歩んでしまうことを知ってしまっていたりするので何とも言えぬ気持ちにも。
    綾瀬少年に謝れ、と言いたくもなるけど多分もう覚えてなかっただろうな

  • 赤河やさやかの言動がいかにもフィクションのキャラって感じで違和感があった。恋を救いとするオチヘ持って行くのも突然で、そこに長期的な真の救いはないと思う。自棄で書いたのか?

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著者プロフィール

1952年兵庫県生まれ。大阪芸術大学放送学科を卒業。ミュージシャン。作家。92年『今夜、すべてのバーで』で第13回吉川英治文学新人賞を、94年『ガダラの豚』で第47回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞した。2004年、転落事故による脳挫傷などのため逝去。享年52。

「2021年 『中島らも曼荼羅コレクション#1 白いメリーさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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