大福三つ巴 宝来堂うまいもん番付 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065221556

作品紹介・あらすじ

江戸・下谷の板元、宝来堂。女主の夕、家族を亡くして夕に引き取られた姪の小春、摺師と彫師を兼ねる政の三人で、もっぱら名所画を摺り売っている小さな板元だ。ところがある日、宝来堂で板木づくりと摺りを請け負っているなじみの番付屋・長助が「一大事」と飛び込んできたことから、事態は一変。長助が作った「大福番付」に載った店をめぐる騒動に巻き込まれた宝来堂は、自分たちで番付を作り直して出すことに。「手に取ったお客さんも、番付に載った店も、お祭りのように盛り上がって楽しめる」番付を作るには、いったいどうしたらよいのか。皆で知恵を絞り、工夫を重ねてたどりついたのは、「大福合せ」を開くこと。前代未聞の番付づくりに、料理人だった父譲りの小春の”舌”は、どう活きるのか? 読めば甘いものとお茶がほしくなること請け合いの、江戸のうまいもん話。<文庫書下ろし>

感想・レビュー・書評

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  • 「大福番付」・・言うなら、“お江戸スイーツランキング・大福部門”を巡る騒動のお話。

    江戸の小さな版元<宝来堂>は、女主人のお夕、職人の政、お夕の姪で絵師の小春の三人で切り盛りしています。
    ある日、馴染みの番付屋・長助が作った「大福番付」へのクレームに、その番付を印刷しただけの<宝来堂>も巻き込まれてしまい、自分たちで番付を作り直すことに・・。
    反社ばりのクレーム&嫌がらせをしてくる菓子屋側に、全く動じないお夕さんと、彼女を支える政さんの仲も気になりつつ、<宝来堂>メンバーの“皆が楽しめて納得のいく番付を創ろう”という熱意が好ましいです。
    そして、味覚の優れた小春の“食レポ”が美味しそうで、読んでいると大福が食べたくなってきますね。
    「宝来堂うまいもん番付」という副題から、もしかしたらシリーズ化を目論んでいるのかな。という予感もしますが、もしそうだとしたら“うまいもん”ということで、<宝来堂>は今後も食べ物に特化した番付を出していくのでしょうかね。続きが出たら是非読んでみたいです。
    それにしても、(本書には出てきませんが)“苺大福”を考えた人は天才だなぁ、と改めて思った私でした。

  • 田牧さんの本は、食べ物と登場人物に対する愛と暖かさを感じるからいいですね。すごく好きです。

    ずんだあんの大福を食べながら読みましたが、普通の大福食べたくて食べたくて!特に魚河岸のやつ!!食べたい!!!お餅が美味しそう!!

    人情と愛情と甘味が存分に詰まってました!
    おのおのがたの恋愛模様も気になるところ。
    幸せな妄想が止まりません。楽しい!

  • 『大福』がタイトルに入っているので、最近よくある菓子職人モノかグルメモノかと思ったら板元の話。
    色々な番付は今も昔も人気だが、番付屋、板元、瓦版売りの関係など面白く読む。
    イベント開催の裏側の苦労も、知ってもらいたい。

  • 当然のように大福が食べたくてたまらなくなりました。三つ巴のはもちろん、番付に載ったであろういろんな大福、食べたいですね。大福合わせのような催し、賑やかさがいいですね。騒動になっても、やっぱり女の方が強い(笑)今度はどんなうまいもんかな。

  • 大福の番付表?と思って読み始めたけれど、面白くて一気読み。絵師、摺り師、菓子職人が登場して、色々なお仕事模様がおもしろい、江戸時代のお仕事ものストーリー。とても良かった。

  • 大福番付を作成する物語。

    番付を作る側の物語は珍しいかも。
    公平性を担保するための工夫や、レイアウトの工夫が面白かった。
    色んなこだわりの大福が出てきて、どれも食べたくなった。

    シリーズ化してほしい。

  • 2023.8.14 読了。
    江戸の小さな版元が番付屋の作った「大福番付」が引き起こした騒動をきっかけに自分たちで番付作りに乗り出すお仕事甘味系小説。

    最近江戸庶民の日常系の小説を以前よりよく読むようになったのだが、本当に火事が多いのだなぁ〜と思ったし、色々な作品を読む度に庶民の生活が少しづつ理解できる部分が増えていき情景が想像しやすくなってきた。

    版元「宝来堂」のお夕、政造、小春に番付屋の長助とそれぞれキャラは確立されていたし、次々と騒動が起きるものの根っから心根の悪い人物も出てこないのでサクサクッと読めた。番付、小春の絵師と鋭い味覚、恋愛……とちょっと話題を詰め込みすぎている感はあるかな?と感じた。
    肝の据わった慈悲深いお夕さんが一番好きだったかもです。

  • 江戸のうまいもんガイド、番付を摺る板元が「大福番付」を出すことに。さて、どう作る?

  • 弱気な番付売りが大福の番付を売ったことから事件がはじまる。初めは自分の舌で決めた番付だったが、あちこちから横槍が入るたびの刷り直しで、板元の宝来堂までとばっちりが。

    中弛みのちゅうばんこそあるものの、最後はうまく占めて、微笑ましいキャラクターの活躍する新シリーズの予感。

  • お調子者の番付屋、美人の店主、無骨に職人。そして、意外な才の持ち主の主人公。最近の食にまつわる時代小説ですが、こちらは、番付編成がメインですが、少々物足りなかった。

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著者プロフィール

作家

「2022年 『鯖猫長屋ふしぎ草紙(十) 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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