ハロー・ワールド (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 285
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065228227

作品紹介・あらすじ

エンジニアの文椎(ふづい)が作った広告ブロックアプリがインドネシアで突如売れ始めた。そこに隠された驚愕の事実とは。検閲や盗撮などの問題を描いた表題作「ハロー・ワールド」をはじめ、インターネッ
トの自由を脅かす行為に、知識と技術で立ち向かう文椎の、熱く静かな闘いの物語。第40回吉川英治文学新人賞受賞作。

GoogleカーやAmazonのドローンが次々集まってくる「行き先は特異点」、バンコク出張中にドローンを使った政治運動に巻き込まれてしまう「五色革命」、Twitterが中国に門戸を開いたのを機にTwitterクローン〈オクスペッカー〉をアップデートしてインターネットの自由を守ろうとする「巨象の肩に乗って」、マレーシアのビットコインセミナーに参加中に拉致されてしまう「めぐみの雨が降る」。
単行本刊行時にAmazonランキング1位を獲得した話題作が、これまでKindle版でしか読むことのできなかった「ロストバゲージ」を新たに加え、待望の文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 主人公は何でも屋と自分を卑下していますが、何でも屋であるがゆえに人を結びつけるハブとして機能してる。この小説は2020年ころのネット事情や技術を描いていますが、メインテーマは自由なコミュニケーションだと思う。
    技術的な素養は求められないけど、楽しむためにはある程度のネットリテラシーは必要かも。

  • IT技術にフィーチャーした現実寄りのSF連作短編集。
    「ハロー・ワールド」3…広告ブロックアプリ
    「行き先は特異点」3…ドローン
    「巨象の肩に乗って」4…マストドン
    「めぐみの雨が降る」4…ビットコイン
    web業界で働いているので耳慣れた言葉が多く興味深かった。
    ちょっとだけ村上春樹臭がした。

  • 最近注目している藤井さんの小説。
    テクノロジー系のSFっぽいけど、現実感を忘れていない、
    そんな微妙なラインで物語を提供してくれる著者です。
    以前読んだ「ビッグデータ・コネクト」も面白かったので、こちらも読んでみました。

    ※ビッグデータ・コネクト
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4167903288#comment

    読んでみての感想は、「(残念ながら自分には)難しくて、分かり切れない」!
    色々な最新のテクノロジーが出てくるのですが、
    テクノロジーにそこまで詳しくない自分には著者の意図が完全には理解できなかったです。。
    ちょっと悔しい。。
    きっと小説は面白いはずなんだけど、その面白さが完全には理解できないモヤモヤ…。
    それでも、後半に行くにつれて、物語も展開し出して、それなりに楽しむことができました。
    特に、後半のBIを仮想通貨で構築する構想は、どこか別のところで聞いたことがあるようなないような…、
    でも著者の構想力には感服しました。
    最後のエピローグ的な物語(バゲッジロスト)の意味はよく理解できなかったけれど。。

    著者の小説が本当の意味で楽しめるように、自分も研鑽したいと思いました。

  • ひとりのエンジニアを主人公にした連作短編集。まさに「エンジニアの夢」がいっぱい詰まった小説!動くものを作るワクワク感がヤバいです!なんか作りたくなる~!!

    色々な技術を取り入れているが故に…ストーリー上の都合だと思いますが…技術的にやや不自然な描写があるのが(わりといつも大なり小なりあるのですが)いつもより気になってしまいました(汗)。あ、でも51%攻撃を多数派攻撃と表現したのは、わかりやすいなぁと思いました。


    いつも“Hello World”じゃなくて“test”とか適応に書いちゃってますが、これからは新しい言語を始めるときは、“Hello World”でいきましょう!

  • エンジニアのなんでも屋の文椎。日本、アメリカ、ベトナム、中国を渡り歩く。短編集

    slack,ブロックチェーン.シンギュラリティなどのIT用語も登場しますが、最後の「めぐみの雨が降る」はブロックチェーンの仕組みが分からないと理解しにくいなと感じましたが、総じて分かりやすかったです。

    ITで世界を変えるといった時に最後は人との繋がりではないかと感じます。またネットで世界が繋がるということは資本主義や社会主義を越えて世界がより良くなること。理想論もあるかもしれませんが。

    自分のまわりに、主人公の様なコミュニケーション力、技術、英語も話せてなんてスーパーエンジニアがいないのは自分の世界が狭いのかなと思う。

  • 自称「何でも屋」のIT技術者、文椎(ふづい)が、プログラミングで世界を変える!
    日本にとどまらず、世界に影響を与えるアプリを開発するが、予期せぬ形でデモや政治活動に利用されてしまう。
    IT技術を使えば何でもできてしまうことに、夢を感じるが、生々しい問題も起こりうるんだなぁと怖くもなる。
    自分を「何でも屋」と思っている文椎さん、実は英語もできるし、交渉術も長けているし、とてもできる人。
    ITに携わっている人には、今のトレンドも分かるし、面白いお仕事小説だと思う。

  • Hello, World!プログラミング齧った人なら、みんな知ってるこの言葉。
    そこから始まるインターネットの自由を守る大冒険。
    僕は藤井太洋さんの描くチームがドライブしてゆく姿が大好き!!

  • 僕は世界と、人と?がっていたい。インターネットの自由を守る、静かで熱い革命小説。

  • エンジニアなんでも屋の主人公•文椎(フヅイ)に降り掛かるネットワークの問題点に自身が納得出来る方法を提案していく短編集5本+番外編。
    プログラミング知識が無い私でも読み進めることが出来る。帯に書かれている通り「インターネットの自由と豊かさを守り世界を少しだけ良くするための熱く静かな闘いの物語」。現実的な内容が興味深い。
    現在において文椎のようなエンジニア達が居てくれることを祈ります。

  • 面白かった!
    短編集なのでサクッと読むことができる。

    SFというジャンルだと「オデッセイ」や「AI崩壊」のような派手なファンタジーを思い浮かべがちだけど、この作品は極めて日常に近い。
    エンジニアの日常がここまで物語として面白く昇華されていることに感激です。GoogleやGitHubみたいな固有名詞が出てくるのもリアリティがあってよい。
    作者がエンジニアだからなんですね。コードも書けて小説も書ける、すごい才能だ。

    どれも面白かったけど、「五色革命」が1番好きかなあ。

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著者プロフィール

藤井大洋:1971年鹿児島県奄美大島生まれ。小説家、SF作家。国際基督教大学中退。第18代日本SF作家クラブ会長。同クラブの社団法人化を牽引、SF振興に役立つ事業の実現に燃える。処女作『Gene Mapper』をセルフパブリッシングし、注目を集める。その後、早川書房より代表作『Gene Mapper -full build-』『オービタル・クラウド』(日本SF大賞受賞)等を出版。

「2019年 『AIが書いた小説は面白い?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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