- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065233047
作品紹介・あらすじ
ただ対話するだけで、
どうしてこころが癒やされるのか?
オープンダイアローグ発祥の国フィンランドでは、
対話によって、精神面に困難を抱えた人の8割が回復。
学校や職場、家庭、議会でも「対話の場」が開かれ、
大きな効果を上げている。
実践に向けて、オープンダイアローグをハートで感じる書!
「その人のいないところで、その人の話をしない」
「1対1ではなく、3人以上で輪になって話す」
ただそれだけのことで、
どうして人は回復していくのか。
日本人医師として初めて、
オープンダイアローグの国際トレーナー資格を得た一人である筆者が、
自らの壮絶な過去とオープンダイアローグに出会った必然、
そして、フィンランドで受けたトレーニングの様子をつぶさに記すことで、
「オープンダイアローグとは何なのか?」
「ただ対話するだけで、どうしてこころが癒やされるのか?」
「どのようにして対話の場が生まれるのか?」
など、様々な疑問に回答する。
感想・レビュー・書評
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ずっと気になっていた本
オープンダイアローグとは何か 初めて聴いた言葉だったから
対話の大切さ、対話の難しさも感じた
子育てにも活かせる本だと思う
もちろん職場でも
心からの対話って実はできていなくて、チームワークを高めるためにも対話が必要で、心を開く事は短い時間の会話ではできないと感じた
たくさんの人に読んでほしい本です!
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Audible読了
たくさんの気づきをくれる良著だった。
最初は斜め読みしていたが、筆者がフィンランドでグループカウンセリングを受けるあたりから、のめり込むようにして読んだ。
私は2年間の休職中に自死直前から心理療法のリハビリを経て社会復帰させてもらったが、そのグループワークで行った治療体験とかなり似た内容に感じた。
それは、今も支えになっている「スキーマ療法」と「傾聴・アサーション」の2つ。これを患者同士で自己開示していったことが大きな回復につながったのだと思う。
作者の言葉を借りれば、
──自分を許さないままに、許す。
──そのままでいい。自分のままでいい。ダメなままでいい。(中略)すると力が抜けた。
のだ。誤解を怖がらずにスキーマ療法を自分自身の把握、対話を他人の受容と置き換えると、それをシェアすることがまさにオープンダイアログに直結していたのではないだろうか。
ちなみに、こんなに素晴らしいグループカウンセリングの普及には大きな壁がある。まずは医師もしくは心理士など専門家を必要とする。患者同士だけではうまくファシリテートできないことが多い。ただの告白や懺悔の会みたいになると、その場は楽になっても長続きしない。
その代償として医師の持ち時間を盛大に消費する。患者の数が限られてしまう。待合室が長蛇の列になり、なかなか恩恵に授かれない。
この背反を克服することが日本の未来を開くカギとなる。大げさか。
それでも、いったん体内に入れてさえしまえば、このダイアログは半永久的に、そして自分自身との対話にも使える。この手法によって今も苦しんでいる多くの方が1人でもはやく救われることを願わずにはいられない。
── 長く患う人は、そのぶん多く傷つき、またその間に人生が進んでいます。仮にそれらが思い込みだったとしても、そのまま時間が過ぎれば事実として記憶に残ります。それらを全部無かったことにすることはできませんし、その人生の歴史は尊重されなければなりません。
この一文に、引きこもった人を想像した。大抵の場合、見守る側は引きこもりになった直接の要因を探るが、本当に触れて欲しいのは、引きこもって折り重なった今の気持ちなんじゃないか。たぶん、少なくとも自分はそうだったかもな〜と振り返って、その言葉の優しさにじんわり感動した。
──人と人がゆるやかにつながる世界
みんなの時間をみんなで少しずつ分け合える世界になるといいな、と思う。乱文ご容赦。 -
オープンダイアローグについて、著者が受けたトレーニングでの体験に焦点が当てられおり、ドキュメンタリーのように読むことができた。
トレーニングに参加することを通じて、様々な気づきや感情が生まれていたのが興味深かった。それは、オープンダイアローグの治療的な効果にも繋がるものなのだと思う。
そして読み進めるうちに、オープンダイアローグにおいて大切なのは理論よりも、そこにいる人達を尊重して向き合い、対話を重ねようとする姿勢なのだと感じた。
文章から、著者である森川先生の温かさが伝わって自分自身の人との向き合い方も考えさせられるとともに、オープンダイアローグをもっと知りたいと思えた一冊だった。 -
自分以外の人と話をするということは、とても大切なことで、とても難しいことで…。
飾らずに、自分のことを話しできれば…。
自分の気持ちを話すことができれば…。 -
●オープンダイアログとは何か。1980年代、フィンランド北部のある精神科医が困難に直面した人たちと対話を始めた。一対1で会うことをやめた。対話の場に複数の人たちがいることによって、時代の多面的に理解することを助け、アイディアが出る。
● 1回の対話の時間は60分。そこに集まった人たちで、60分の対話の場をどのように使っていくかを話し合うことから始まる。
●自殺気象地域で発見した言葉。「人間関係は疎で多」簡易に人と人がつながる。それでいて心地良い。
●日本は世界中で最も多くの精神科病院を持ち、世界の精神科病床数の5分の1が日本にある。そして長期にわたって入院する人が世界一多い。
●ケロブタス病院
すぐに助ける。本人に関わりがある者たちを招く。柔軟かつ起動的に。責務と責任。心理的な連続性と積み重ね。不確実な状況の中にとどまる、寄り添ってをすぐに答えに飛びつかない。対話主義。
●自分のことを話すのはとても怖いことだと気がついた。全力で自分の心の中のことを話した後に、それを評価されたり批評されたりしたらひどく傷ついてしまう。これまでの人生を否定されたのと同じ気持ちになる。その勇気を台無しにする聞き方があるのも体感した。
●会話と対話の違い。
●まずは話したいと思うことを話し切ってもらう。話切ることと聞き切ること。
●その人のいないところで、その人のことを話さないというのが、最も大切なことの1つ。
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普段の生活にも取り入れたい内容だと思った。
治療というより、困りごとをみんなで解決するというようなスタンスで話を聞いているのが良いと思った。
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対話気持ちいいのでしょっちゅうやりたい
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読みながらいろんな場面で泣いてしまった。新書でこんなに泣ける本は初めてです。。
オープンダイアローグとは開かれた対話であること。
つい最近、『精神科ナースになったわけ』という漫画を読んだ。この漫画も、他の看護師と違い拘束をせず患者一人一人と対話を重ね、困難の根底にある問題に触れていく。言葉にできない、心の奥底に抱えている何かを一つ一つ言葉にしていくことが気持ちを楽にすることに繋がるのだなと思った。
そしてオープンダイアローグは病院だけのためのものではない。どういったところでも、お互いの理解を深めるために対話が必要なのだ。 -
森川先生自身がオープンダイアローグに取り組む中で自分の過去を開示できるようになり、「鎧を脱いだ」ことで、診療現場が変わってきたプロセスを感じることができました。
自分自身も自己開示が苦手なのを自覚しているので、ハードルも高いのがわかる、でもやってみたい、オープンダイアローグを学びたいという思いが強くなりました。 -
著者の丁寧な語り口、優しさに溢れる文章にも癒される。精神科の診察が雑であったり、統合失調症にカウンセリングや対話は必要ないと断言する医師もいる中で、こうしたアプローチ方法で向き合う人達がいることに勇気づけられる。知らず知らずに批判的になったり、指導的、アドバイス的な発言をしてしまいがち。オープンダイアローグを正確に実施することは現状では困難だが、1人の人としての向き合い方はすぐにでも実践できる。モチベーションが上がると共に、とても穏やかな気持ちになった。