- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065233689
作品紹介・あらすじ
より正確で安価なクオーツ式が普及したにもかかわらず、
高価な機械式腕時計に魅せられる人が後を絶たないのはなぜなのか?
機械式時計の定義と基本構造から、
クロノグラフや永久カレンダー、リピーターなど五大複雑機構の仕組みと変遷、
一三世紀から今日に至る歴史の中で語り継がれる数々の逸話の真偽、
スイス、ドイツ、日本の現行85ブランドの特徴と代表モデル、
さらには購入時や使用時の注意点まで――。
博覧強記の著者が半世紀に亘って積み重ねた知見を、豊富な図版と共に披露。
序章・そもそも機械式時計とは
1)機械式とクオーツ式 2)そもそも「機械式」とは何か
第一章 機械式時計の基本構造
第二章 複雑機構
序)複雑機構とは何か
1)クロノグラフ 2)永久カレンダー 3)天文表示 4)オートマタ 5)「鳴り物」(アラーム・ソムリ・リピーター)
第三章 間違いだらけな時計の歴史
11~13C・機械式の起源:「機械式時計は中国で発明された」=×
14C・複雑機構の起源:時計の機構はより複雑な方が高度である=×
16C・携帯時計の起源:「携帯時計はペーター・ヘンラインが1505年に発明した」=×
16C・時計と宗教改革:「スイスで時計産業が発達したのは水と空気がきれいな山国だから」=×
16~19C・和時計の誕生と進化:「機械式時計の1時間は夏でも冬でも変わらない」=×
17C・振子とヒゲゼンマイの誕生:「振子時計はガリレオが発明した」=×
18C・経度の発見:「クロノメーターは時計の精度の公式認定規格」=△
18C・マリー・アントワネットと3人の時計師:「ボーマルシェは劇作家である」=△
18~19C・時計産業の機械化:「高級時計は伝統的な手仕事で作られる」=△
19~20C・腕時計の誕生:「腕時計はA=L・ブレゲが発明した」=×
20C・クオーツ危機:「日本のクオーツ式がスイスの機械式を駆逐した」=×
20C・スイス時計産業の復興:「スウォッチグループはN(ニコラス)=G(ジョルジュ)・ハイエック氏が創業した」=△
21C・スイス時計20××年問題:「機械式腕時計のムーヴメントは大半がETA社製」=○→×
第四章 機械式時計の現状と主なブランド
第五章:機械式腕時計の選び方と買い方
1)何を選ぶ? 2)どこで買う? 3)どこを見る?
コラム1:「エアリーの定理」って、どんな定理?
コラム2:スイスの時計業界用語
コラム3:「時計界のピカソ」G・ジェンタ
コラム4:腕時計のドレスコード
感想・レビュー・書評
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『メカ』が好きだ。
バリバリの文系人間のくせに。時計や車などの雑誌やカタログを眺めていれば一日などあっという間。先日も図書館で自衛隊装備品を解説した雑誌を見つけて隅々まで読んでしまった。買わないけど。
思えば幼少の頃から数々の時計や機械類を分解(元に戻らなかったから破壊?)してきた。キング•タイガーもシュビム•ワーゲンもメッサー•シュミットも作った。プラモだけど。
…そんなマニア向け。特に腕時計の。テレビでお馴染みの山田五郎さんの書いた超マニアック本。正確な時刻が知りたいのなら国産クォーツ一択だけど、機械式時計には、持てる限りの智慧と技術を尽くして仕組みを創り上げた"先人の知恵"が詰まっている。知らなかった事もいっぱいで、何回読んでも飽きることがない。こういう本、大好き。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
博識な山田五郎氏が著者で内容にも信憑性があり、大変素晴らしい書籍です。最初の200ページ、全体の約半分を使って基本機構や複雑機構の解説があり、それだけでも十分に1冊の本になるボリュームと充実の情報量です。後半は時計に関する数々の逸話に関する真偽と各時計ブランドの特徴についての解説があります。特にマイナーなドイツ時計や独立時計師に関する記述が充実していたように感じます。読み応え抜群の内容ですが、入門書としては難しい内容なので、雑誌や他の書籍である程度の予備知識を身に付けていた方がより楽しめる書籍だと思います。
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機械式時計について、400ページにわたり述べた本。基本的な機構から歴史、さらには世界の著名なメーカーの説明など、かなり詳細に調査・研究しまとめられたマニアックな本である。素晴らしい知識だと思う。常に手元に置いておきたい。
「より高機能で安価な新技術に駆逐された旧技術がここまで完全に復活した例は、他には見当たらない(CD、DVD、AT車の市場は揺るがない)」p13
「何百万円もする機械式の時刻を数万円のクオーツ式で合わせて喜ぶ時計好きが後を絶たない」p13
「優れたムーヴメントとは摩擦が少ないムーヴメント」p50
「時刻表示という基本機能をクオーツ式に譲った現在、機械式に視覚的な美しさや触覚的な心地よさといった官能性を期待するのは自然な心理。どちらが優れているかという客観的な評価だけでなく、どれが好きかという主観的な嗜好で楽しむ姿勢も、決して邪道ではありません」p126
「興味のない人には単なる無駄やバカ丸出しとしか思えないことこそが人を夢中にさせるのです。そして何かに夢中になることで、人は幸せを感じて心が豊かになります」p150 -
腕時計を何着か持っていながら機械式、クォーツ式が何なのかすら知らなかったような読者(私)でも、大変興味深く読むことができた。
基本的な機構から複雑機構までどういう原理で動いてるか、各ブランドの歴史と強み、といったところが丁寧に解説されてた。
これまでそんなに気にとめてなかったブランドも新たな発見があって魅力的だと思えたのが意外な収穫だった。
あとはブレゲ御本尊の圧倒的、変態的な技術力の高さがよく分かりました。 -
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