要訣 百万石の留守居役(十七) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065238110

作品紹介・あらすじ

加賀百万石の留守居役・瀬能数馬が、各藩留守居役との駆け引きを描く好評の書下ろしシリーズは最終巻。加賀百万石の筆頭宿老・本多政長は将軍・徳川綱吉に謁見したあともなお、江戸に留まる。神君家康の懐刀と言われた本多正信の血筋を引く重鎮である政長が、国許に戻らないため各藩の留守居役が加賀の若き留守居役・瀬能数馬に接触をしてくる。宿老不在の加賀では、越前福井松平家の国家老次席が訪れ、藩主の綱昌がかつて数馬に書かされた「詫び状」の返還を要求したのに対し、政長の息子である主殿は妙手を打つ。江戸城内、幕閣では、無役の名門・酒井家の処遇が取り上げられ、滞留中の政長と数馬にも影響が及ぶ。本多家に敵対してきた老中・大久保加賀守は代々の遺恨を晴らすために、配下に密かに命令を出す。加賀の前田家では、主殿が内紛をおさめた。一方ついに徳川御三家の紀州藩主が数馬の妻・琴を狙い動きはじめる。

感想・レビュー・書評

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  • 紀州の忍び薬込役と、本多の忍び軒猿の激しい戦いが…。
    加賀前田家の筆頭宿老・本多安房政長は、息子・本多主殿の補佐をさせるために瀬能数馬を、留守居役に抜擢して鍛えます。数馬の成長が楽しみな物語です。当初は、そういう物語でしたが、本多安房政長が江戸に出て来てからは、政長の物語になっています。そして数馬は、政長に便利に使われているように映ります。

    此度は、紀州徳川家第2代目藩主・徳川光貞が、5代将軍徳川綱吉の信頼を得ている本多安房政長との縁を取り戻したくて、瀬能数馬と仮祝言を挙げた娘の琴を我がものとしょうと暗躍します。あろうことか紀州の忍び薬込役を使って、金沢に居る数馬の妹・美津を琴と間違って拐してしまいます。これに怒った琴が、本多の忍び軒猿を連れて江戸へ出て光貞に怒りをぶつけようとします。

    【読後】
    この物語も、17作と長く続いて来ましたが、今作で完結です。私は、上田さんの本の中では、このシリーズが一番楽しみにしていましたので終わるのは寂しいです。特に、数馬の妻役の琴が気に入っています。気は強いが、好きな男には本当にやさしい女性です。こういう女性は、大好きです。
    字の大きさは…小。
    350ページ
    2021.08.15~16読了

  • シリーズ第十七弾にして完結編。

    数馬の妻で本多政長の娘・琴が、一度離縁された紀州徳川家から再嫁を求められます。
    勿論、断固拒否の数馬サイドですが、琴に執着する紀州藩主・徳川光貞が次々と強硬な揺さぶりをかけてきて・・。
    “留守居役”という難しい役職につかされた、若き数馬の成長が楽しみだったこのシリーズもついに完結です。
    ここ数巻は、数馬の義父・本多政長が美味しいところを持っていく感じでしたが、結局最後まで“本多劇場”でしたね。恐るべし、そして天晴れ本多ファミリー、という感じです。
    ハラスメントの権化のような徳川光貞の悪行も、将軍の前で晒されることになり、まずはひと段落で良かったです。
    今後も数馬には、色々な試練があると思いますが、琴と仲良く二人でを乗り越えて行ってほしいです。
    そして、今回とんだとばっちりを受けた、数馬の妹・美津も幸せになって頂きたいですね。

  • シリーズ17作目。作家の上田氏は10冊前後で終わるシリーズが多い中で長い方。若い主人公が身近の指導者により成長するパターンが基本だが、このシリーズも当初は妻の琴や義父の本田家老により成長してきたが、義父の登場場面が多くなると完全に義父の活躍で食われてしまったようだ。
    今回は最終回なので、紀州藩主や老中との確執をどう解決するかと思っていたが、琴や本田家老の手腕により無事に解決した。主人公は二人に操縦されているようで、果たして一人立ちは出来ただろうか?

  • シリーズ最終話
    シリーズの後半は数馬から本多家が主人公になってましたが最終話もしかり
    関ヶ原での秀忠遅刻にはそんな裏が!
    びっくりです。そしてこの本のおかげで金沢が好きになり、綱紀も関わっている金沢城のお洒落な石垣を見に行きたくなりました

  • シリーズ終了。寂しいなぁ。和馬と琴の生活を見たかったなあ。

  • 作者の中で珍しく納得の完結巻。当然もっと続きが読みたいけど、ここら辺が潮時かな。
    史実との整合性は分からないが、本田政長の話は成る程と思わせる説得力がある

  • シリーズ完結‼️
    結局は最後まで本多政長が主役だったなぁ❤️

  • 数馬は妻の琴を狙う紀州藩にいかにして対抗するのか。シリーズ最終巻。〈文庫書下ろし〉

  • 本多政長で終わった感が強いのが少し残念なのと、個人的に数馬と主殿のやり取りも見たかったです。
    いつか表題変わって国元編は‥。
    なんにしてもシリーズ一気読みしたくなる作品に出会えて嬉しかったです。

  • 完結しました百万石の留守居役
    一見主役のようでしたが本当の主役は本多政長
    幕引きもカッチリ仕上げました
    最後に「あれは実は・・・」をカマす上田秀人
    先生のロジカル小説で近年最大の大鉈を喰らう

    秀忠が関ケ原遅延したのは大久保忠隣の策謀!

    うなずいてしまったな(´・ω・`)タシカニ

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著者プロフィール

上田秀人
一九五九年大阪府生まれ。大阪歯科大学卒。九七年小説CLUB新人賞佳作。二〇〇一年作家デビュー。歴史・時代小説を中心に活躍。主な文庫シリーズに「闕所物奉行 裏帳合」(中公文庫)、「禁裏付雅帳」(徳間文庫)、「聡四郎巡検譚」「惣目付臨検仕る」(光文社文庫)、「奥右筆秘帳」(講談社文庫)、「町奉行内与力奮闘記」(幻冬舎時代小説文庫)、「表御番医師診療禄」「高家表裏譚」(角川文庫)、「日雇い浪人生活録」(ハルキ文庫)、「辻番奮闘記」(集英社文庫)、「勘定侍 柳生真剣勝負」(小学館文庫)など。一〇年『孤闘 立花宗茂』(中央公論新社)で第十六回中山義秀文学賞を受賞。二二年「百万石の留守居役」
シリーズ(講談社文庫)で第七回吉川英治文庫賞を受賞。『翻弄 盛親と秀忠』(中公文庫)など著書多数。

「2023年 『夢幻(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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