宝島(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065243732

作品紹介・あらすじ

◆祝!3冠達成★第9回山田風太郎賞&160回直木賞受賞!&第5回沖縄書店大賞受賞!◆希望を祈るな。立ち上がり、掴み取れ。愛は囁くな。大声で叫び、歌い上げろ。信じよう。仲間との絆を、美しい海を、熱を、人間の力を。【あらすじ】英雄を失った島に新たな魂が立ち上がる。固い絆で結ばれた三人の幼馴染みーーグスク、レイ、ヤマコ。生きるとは走ること、抗うこと、そして想い続けることだった。少年少女は警官になり、教師になり、テロリストになり、同じ夢に向かった。

私の年代では記録といえる戦後復帰時代の話ですが、肌がちりつきました。 読み進めるにつれ鳥肌が止まらなくなるのは、私が沖縄人だからでしょうか?
リブロリウボウブックセンター店 宮里ゆり子さん
米軍施政下の時代に翻弄されながら、立ち向かい、熱く生き抜いた沖縄の若者たちを描く超大作!そして現代に続く基地問題を知る必読の書!
ジュンク堂書店那覇店 森本浩平さん
占領下、実際に起きた戦闘機小学校墜落、米軍車両死亡交通事故無罪判決。県民の怒りが爆発したコザ暴動。主人公たちの生き方を通して沖縄の痛みが理解できる作品です。
球陽堂書房メインプレイス店 新里哲彦さん

この熱い息吹、この語りの身軽な舞いを堪能せよ。――野崎六助(日経新聞6/21夕刊)
叫びだしたくなるほど猛烈な歓喜と感謝があふれ出して止まらなくなった――宇田川拓也(本の雑誌7月号)
本書は真藤順丈の新たな代表作にして、今年のエンタメ小説界の台風の目だ――朝宮運河(ダ・ヴィンチニュース6/23配信)
圧倒的な傑作である、いつまでも長く読まれ愛される名作になるだろう。必読!――池上冬樹(小説現代6月号)
超弩級エンタテインメント大作。読みのがすなかれ――香山二三郎(週刊新潮6/28号)
読み始めたら最後、開いた頁はいつまでも閉じることができない――奥野修司(週刊文春7/5号)
とにかく全篇に籠められた熱量が圧倒的――千街晶之(週刊文春7/5号)
「朝日新聞7/14日刊」斉藤美奈子、「毎日新聞7/15日刊」川本三郎、「毎日新聞7/7日刊」記者、「読売新聞7/3夕刊」記者、「日本経済新聞7/3日刊」野崎六助、「産経新聞7/22日刊」大森望、「東京新聞6/29」記者、「本の雑誌7月号」宇田川拓也、「クイックジャパンVol.138」浅野智哉、「 週刊新潮6/21号」香山二三郎、「週刊文春7/5号」奥野修司、「週刊文春7/5号」千街晶之、「ダ・ヴィンチ8月号」朝宮運河、「HBCラジオ7/9放送」永江朗、「野性時代8月号」吉田大助、他書評多数!

奪われた「故郷」を取り戻すため、少年少女は立ち上がる。
米軍統治下の沖縄を嵐のように駆け抜ける、青春と革命の一大叙事詩!!

感想・レビュー・書評

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  • 第160回直木賞受賞作品。
    独特の文体で語られる物語は正直読みにくく、自分の好みではありません(笑)
    しかし、テーマ自体は、沖縄の戦後史という形で、メッセージとして刺さってきます。
    戦後から返還前の沖縄の物語、沖縄の人々の苦悩、哀しみが感じられる物語でした。

    上巻では、
    戦後の沖縄で、米軍基地から物資を盗み、人々に配る「戦果アギヤー」。
    英雄のオンちゃん、グスク、レイ、3人を見守るヤマコ。
    嘉手納基地を襲撃し、米軍に追われ、結果オンちゃんは行方不明に。
    オンちゃんをの行方を思う3人。

    ヤマコは女給から教師へ。レイはヤクザ、グスクは警官となって、それぞれの道を歩んでいきます。
    行方不明のオンちゃんは?

    そういった中で語られる、戦中、戦後の沖縄の現状。
    沖縄人たちの思い、憤りが伝わってきます。

    沖縄の基地問題の根っこの部分がわかります。

  • 終戦後から、アメリカからの返還までの沖縄の現実。1972年沖縄返還から、50年が過ぎました。

    アメリカ統治下の沖縄がどのような生活だったか、どんな圧迫を受けていたか、沖縄の戦争は終わっていなかった様子が、ノンフィクションのように迫ってきます。
    今まで、この時代の沖縄の作品は初めて読んだと思います。沖縄の尊厳を守るように戦う人達。
    アメリカ兵により理不尽な犯罪。ベトナム戦争の基地としての役割。
    三人の友人達のそれぞれの立場からの戦いを描きますが、彼らに悲壮感を感じない。強かさな生きる力を感じる。
    それは、真藤さんの文体や、沖縄の方言を豊富に使いながら沖縄に寄り添った創意によるところかと思う。
    なんだけど、読み慣れるまでストーリーが読み取れず苦戦しました。

    • 1Q84O1さん
      おびのりさんでも苦戦…(゜o゜;
      おびのりさんでも苦戦…(゜o゜;
      2023/07/13
  • 先日、沖縄に行ったこともあり贔屓目があるかもしれないが、非常に面白い上巻だった。沖縄の地理も頭に入っていたので地名が出ても、あのあたりかなと想像ができ、絵が浮かんできた。
    戦果アギヤーと言われる戦後沖縄の英雄たち。オンちゃんを中心に、グスク、ヤマコ、レイの生き様が描かれる。アメリカの占領下での厳しい生活の中、内地に住む私たちの感覚と違う現地の人の心がよくわかり、彼らの矜持というものが垣間見えてくる。
    灼熱の太陽に爽やかな南風。しかし、どこか悲しい空気が漂う沖縄と言う土地を感じた。

  • 真藤順丈『宝島(上)』講談社文庫。

    第9回山田風太郎賞、160回直木賞受賞、第5回沖縄書店大賞受賞の3賞受賞作というから期待は高まる。上巻が450ページ余りで下巻が250ページのアンバランスさ。上巻には第一章と第二章が収録され、下巻は第三章のみの収録だからアンバランスなのは仕方が無いか。

    1950年代から1970年代の沖縄を舞台にしたなかなか先の読めない展開の小説。正直に言って、自分の好みには合わない。

    第一章は序章に過ぎず、オンちゃん、グスク、レイたちが戦果アギヤーの仲間たちと共に嘉手納基地を襲撃し、米軍に追われるところから物語は始まる。逃走の過程で行方不明になった島の英雄オンちゃんの行方をグスクとヤマコが探し、レイは刑務所に収監される。

    第二章。グスクは刑事になり、ヤマコは教師になり、レイはテロリストとなって、再開を果たす……

    定価924円
    ★★★

  • 沖縄返還50周年、そして慰霊の日(6/23)に合わせて。最初はちょっと途惑うが、島言葉を織り交ぜた語り口が特徴的。時代の波に翻弄される4人の沖縄人の物語。アメリカ占領下の象徴的な事件・事故を絡ませながらの展開は、瀬長亀次郎の登場あたりから俄然熱を帯びてきて、ページを捲る手が止まらなくなる。即下巻へ。

  • 「宝島 HERO’s ISLAND」。
    文庫で上下巻。
    コザが舞台の中心になる小説を読むのは、池澤夏樹「カデナ」に続いて2冊目。
    時代的にも近いので、互いの理解が進んだ。
    20年のスパンの物語なので、人も変われば時代も変わる。
    Bob Dylan「Blowin' in the Wind」……。
    本格ミステリとは違うが、いわゆる謎の引っ張りと、その真実が明かされる構成も、いい。
    が、もっともいいと思ったのは、地の文の語り手が、土地の語り部、というところ。
    口調はのんきだが、厳しい現実を見聞きしてきたことがわかる、ゆんたく。
    語り部が、いわばカメラを当てるように視点人物(主に3人)に憑依して、語るのだ。
    うがひゃあ! あきさみよう! たっぴらかすよ! かしまさんど! とか、言葉がいちいち上等ですね。

  • 真藤順丈の宝島を読みました。
    終戦後、返還前の沖縄が舞台です。
    アメリカの倉庫から物資を盗む戦果アギヤー、ねずみ小僧のように恵まれない人に物資を置いていきます。
    その、英雄がオンちゃんで、そのオンちゃんを慕う三人の物語です。
    オンちゃんが好きなヤマコとレイとグスク
    ヤマコは女給から先生になり、レイはヤクザ、グスクは警官とそれぞれの道を歩んでいきます。
    米軍の兵士の治外法権のような理不尽なことは、当時本土にも伝わってきましたが、ニュースでは傍観者のようでしたが、この本を読むと当事者の憤りが伝わってきました。
    451ページはなかなか読み応えがありました。
    お勧めの本です。

  • 上下巻の本が続く。3連休でもあるし何とか上巻はいけるだろう。

    1952年の沖縄、米軍基地に忍び込んで物資を奪う「戦果アギヤー」として活躍していたオンちゃん、グスク、レイと、オンちゃんに好意を寄せるヤマコ。
    極東最大の軍事基地「キャンプ・カデナ」に忍び込んだ夜、米軍に追われたオンちゃんは行方不明になり、後に残された3人は紆余曲折を経て、グスクは警官に、レイはやくざに、ヤマコは教師になって、戦後の沖縄を生きる、というお話。
    米軍施政下の沖縄で実際に起きた事件とやくざの抗争に3人の行動が絡まり合いながら熱くスピーディーに話は進む。
    小学校への米軍機墜落事故の衝撃などを含め戦後の沖縄で生きる人々の苦難の暮らしもつぶさに描かれ、今更ながらにその歴史の中身を反芻したが、結構深刻な内容でありながら、語り部の合いの手もリズム良く、軽やかに語られたのはこの本の値打ち。
    オンちゃんが消えた謎やその夜に探し当てた“予定にない戦果”を探る流れはまだまだ緩やかであったが、節々に挟まれる、刑務所の暴動、西原飛行場での抗争、ハーバービュークラブでの拷問、悪石島への暴風下の航海、高等弁務官の暗殺阻止などの活劇の疾駆感には血が騒ぐ。
    一方で、グスクが刑務所でカチャーシーを踊る場面の浮遊感やヤマコがオンちゃんへの未練と訣別する場面のきっぱり感も良かった。

    ★は下巻にて。

  • 舞台は、アメリカ統治下の沖縄。
    米軍基地襲撃の夜に行方不明となった島の英雄オンちゃんを探して奔走するグスク、ヤマコ、レイ。
    三者三様の若者たちが生き抜いた激動の時代。

    真藤氏は相変わらず力のある物語を書く。
    本作でも力強く生きる沖縄の若者が描かれている。
    最初から最後まですごい熱量が伝わってきた。

  • 奪われた沖縄を取り戻すため立ち上がる三人の幼馴染たち。直木賞始め三冠達成の傑作!

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著者プロフィール

1977年東京都生まれ。2008年『地図男』で、第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞しデビュー。同年『庵堂三兄弟の聖職』で第15回日本ホラー小説大賞、『東京ヴァンパイア・ファイナンス』で第15回電撃小説大賞銀賞、『RANK』で第3回ポプラ社小説大賞特別賞をそれぞれ受賞。2018年に刊行した『宝島』で第9回山田風太郎賞、第160回直木三十五賞、第5回沖縄書店大賞を受賞。著書にはほかに『畦と銃』『墓頭』『しるしなきもの』『黄昏旅団』『夜の淵をひと廻り』『われらの世紀』などがある。


「2021年 『宝島(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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