宝島(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.65
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065243749

作品紹介・あらすじ

◆祝!3冠達成★第9回山田風太郎賞&160回直木賞受賞!&第5回沖縄書店大賞受賞!◆希望を祈るな。立ち上がり、掴み取れ。愛は囁くな。大声で叫び、歌い上げろ。信じよう。仲間との絆を、美しい海を、熱を、人間の力を。【あらすじ】英雄を失った島に新たな魂が立ち上がる。固い絆で結ばれた三人の幼馴染みーーグスク、レイ、ヤマコ。生きるとは走ること、抗うこと、そして想い続けることだった。少年少女は警官になり、教師になり、テロリストになり、同じ夢に向かった。

私の年代では記録といえる戦後復帰時代の話ですが、肌がちりつきました。 読み進めるにつれ鳥肌が止まらなくなるのは、私が沖縄人だからでしょうか?
リブロリウボウブックセンター店 宮里ゆり子さん
米軍施政下の時代に翻弄されながら、立ち向かい、熱く生き抜いた沖縄の若者たちを描く超大作!そして現代に続く基地問題を知る必読の書!
ジュンク堂書店那覇店 森本浩平さん
占領下、実際に起きた戦闘機小学校墜落、米軍車両死亡交通事故無罪判決。県民の怒りが爆発したコザ暴動。主人公たちの生き方を通して沖縄の痛みが理解できる作品です。
球陽堂書房メインプレイス店 新里哲彦さん

この熱い息吹、この語りの身軽な舞いを堪能せよ。――野崎六助(日経新聞6/21夕刊)
叫びだしたくなるほど猛烈な歓喜と感謝があふれ出して止まらなくなった――宇田川拓也(本の雑誌7月号)
本書は真藤順丈の新たな代表作にして、今年のエンタメ小説界の台風の目だ――朝宮運河(ダ・ヴィンチニュース6/23配信)
圧倒的な傑作である、いつまでも長く読まれ愛される名作になるだろう。必読!――池上冬樹(小説現代6月号)
超弩級エンタテインメント大作。読みのがすなかれ――香山二三郎(週刊新潮6/28号)
読み始めたら最後、開いた頁はいつまでも閉じることができない――奥野修司(週刊文春7/5号)
とにかく全篇に籠められた熱量が圧倒的――千街晶之(週刊文春7/5号)
「朝日新聞7/14日刊」斉藤美奈子、「毎日新聞7/15日刊」川本三郎、「毎日新聞7/7日刊」記者、「読売新聞7/3夕刊」記者、「日本経済新聞7/3日刊」野崎六助、「産経新聞7/22日刊」大森望、「東京新聞6/29」記者、「本の雑誌7月号」宇田川拓也、「クイックジャパンVol.138」浅野智哉、「 週刊新潮6/21号」香山二三郎、「週刊文春7/5号」奥野修司、「週刊文春7/5号」千街晶之、「ダ・ヴィンチ8月号」朝宮運河、「HBCラジオ7/9放送」永江朗、「野性時代8月号」吉田大助、他書評多数!

奪われた「故郷」を取り戻すため、少年少女は立ち上がる。
米軍統治下の沖縄を嵐のように駆け抜ける、青春と革命の一大叙事詩!!

感想・レビュー・書評

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  • 第160回直木賞受賞作品。
    独特の文体で語られる物語は正直読みにくく、自分の好みではありません(笑)
    しかし、テーマ自体は、沖縄の戦後史という形で、メッセージとして刺さってきます。
    戦後から返還前の沖縄の物語、沖縄の人々の苦悩、哀しみが感じられる物語でした。

    下巻です。
    ここでは、「予定にない戦果」についての謎が語られていきます。
    オンちゃんが消えた夜、オンちゃんが手にしたとされる「予定のない戦果」とは?
    そして、再び戦果アギヤーからと思われる贈り物が各地に。
    オンちゃんなのか?

    そして、米軍基地内で隠ぺいされていた事件。

    これでもかと語られる沖縄の方々の憤り、怒り、思い。
    そして、明らかになる「予定にない戦果」
    その哀しい真相。

    上下巻を通して、自分の沖縄に対する無知がよくわかりました。

  • 歳を重ねてからの旅行には意味がある。
    若い頃は綺麗な景色、美味しい料理を求めて、非日常の空気に浮かれていたが、今回の沖縄旅行では、「土地の意味」みたいなものを考えた。
    米兵の犯罪、横暴をどうにもできず、アメリカの言いなりで、おためごかしをしている本土、日本。苦しみを沖縄だけに背負わせてきた日本。そんな中、戦果アギヤーの英雄が残したものは?その答えが導かれる。それがタイトルの「宝島」につながる。
    真実の出来事を下敷きに見事な作品を作ってくれた。
    しかし、同時に読んでいた新書に、沖縄の反米を中国が煽り、虎視眈々と沖縄進出を狙っていると言う話があった。日本はどうすべきなのか?

  • 上で、アメリカの基地内で、一人の沖縄反骨の英雄が消息を断ち、仲間達は彼の行方を探して帰還を待ちながら、戦っていました。そして、最後に英雄のその後がわかるというミステリーを含んでいます。
    本土復帰が現実のものとなったけれど、沖縄の人達にとっては、何がどうなるか、見極めるまで予断はできない。
    小説として感動したというより、戦後の沖縄のことをあまりに知らなくて申し訳ないような気持ちでした。

    一度休むと、文章に慣れるまでまた時間かかるから、一気に。たぶん、ゆっくり読んだ方が良いと思います。

    • ☆ベルガモット☆さん
      おびのりさん、こんばんは。
      両親や親戚、先生たちなどからしか聞いていない、故郷の戦後から復帰前のことを勉強し直しています。
      こちらの本、...
      おびのりさん、こんばんは。
      両親や親戚、先生たちなどからしか聞いていない、故郷の戦後から復帰前のことを勉強し直しています。
      こちらの本、父が一生懸命読んでいたので、読了して感想確認しようと思います。ご紹介ありがとうございます!
      2023/07/15
    • おびのりさん
      ベルガモットさんこんばんは。
      コメントありがとうございます。
      沖縄関係さんなんですね。それでしたら、きっと、臨場感を感じながら読めると思いま...
      ベルガモットさんこんばんは。
      コメントありがとうございます。
      沖縄関係さんなんですね。それでしたら、きっと、臨場感を感じながら読めると思います。
      私は、沖縄の戦後には感銘を受けながら、沖縄の言葉と、文体と、ふりがな風の沖縄語変換に、苦戦してしまいました。
      青い海とか、ちんすこうとか、今までそんな事しか知らなくてごめんなさいって思いました。
      読んでみてね。
      2023/07/15
  • 真藤順丈『宝島(下)』講談社文庫。

    下巻倍々第三章のみだから、さらりと読み終わる。上巻で行方不明になった英雄オンちゃんが登場し、物語を盛り上げるかと思ったが、そういうこともなく、フェードアウト。絶賛された理由が解らぬ作品。沖縄の熱量は感じたが。

    定価715円
    ★★★

  • 私の中では和田竜以来の史実エンターテイメント。
    とにかく次の展開を読みたくて一気読みでした。
    どこまで現実に近いのかわからないが沖縄の歴史を垣間見る事が出来て深い哀しみをベースにした溟い明るさと言うのか。
    諦観に基づいた希望と言うのか。
    とにかくコロナ禍を潜り抜けた今もう一度彼の地を踏みしめたいと強く願わずにはいられません。

  • コザ暴動をクライマックスとする終盤はヒリヒリする展開。そして「予定にない戦果」の意外な真相…。癖があってしつこく感じる文章ではあったが、圧倒的な熱量を感じた。本土メディアでは沖縄戦ほど取り上げられない戦後の混乱。復帰の日(5/15)も、自分はほとんど意識してこなかった。50年経っても「本土並み」にならない沖縄の現実、埋まらない本土との温度差に改めて気付かされただけでも読んでよかったと思う。

  • 「宝島 HERO’s ISLAND」。
    文庫で上下巻。
    コザが舞台の中心になる小説を読むのは、池澤夏樹「カデナ」に続いて2冊目。
    時代的にも近いので、互いの理解が進んだ。
    20年のスパンの物語なので、人も変われば時代も変わる。
    Bob Dylan「Blowin' in the Wind」……。
    本格ミステリとは違うが、いわゆる謎の引っ張りと、その真実が明かされる構成も、いい。
    が、もっともいいと思ったのは、地の文の語り手が、土地の語り部、というところ。
    口調はのんきだが、厳しい現実を見聞きしてきたことがわかる、ゆんたく。
    語り部が、いわばカメラを当てるように視点人物(主に3人)に憑依して、語るのだ。
    うがひゃあ! あきさみよう! たっぴらかすよ! かしまさんど! とか、言葉がいちいち上等ですね。

  • さて、下巻に入る。

    ここでは、本土復帰を目前にした時代の沖縄が描かれ、コザ暴動の夜まで一気呵成。
    グスクはマーシャル機関と袂を分かち職を追われ、ヤマコは復帰運動とその先に見え始めたものに翻弄され、レイは杳として姿を現さず。
    変わらずに躍動感と軽妙さを感じる文章が、主人公たちの行動に並行して、当時の沖縄の街や基地の姿、風俗や住民感情というものを浮かび上がらせる。
    オンちゃんが消えた謎やその夜に探し当てた“予定にない戦果”を探る流れは、グスクやヤマコに送られた消印のない手紙や街のいたるところに届いた匿名の贈りものに引き継がれ、読み終えてみれば、米軍弾薬庫に毒ガスが隠匿されていた史実が、歴史の出来事を語るだけでなく、登場人物たちの運命に巧みに絡まされていたのが知れる。
    基地の中でのグスクとレイの追いかけっこにはいささか鼻白んだが、最後に明かされた顛末には意表を突かれた。

    沖縄が返還された日、私は高校生だったが、ここに記された歴史などほぼ全く知らずに、多分平和な一日を過ごしたのだったのだろう。(と書いて気付いたが、法令などから見て正式には『沖縄の復帰』と書くべきところ、『沖縄が返還された』と書いてしまい、こういうところに本土からの目線が抜けないのだと、我ながら思った)。

    ★は3.5くらい。物語のエネルギーと運びの巧みさに一気に読まされたが、カタルシスとしては思ったほどではなかったのでした。

  • 締めは良かったけどちょっと長いね。

  • 星5をつけるか迷いましたが、上巻より良かったので5にしました。

    「予定にない戦果」が手元にあったにも関わらず、結局失ってしまったという事実に、絶望感が込み上げますが、登場人物たちはそれでも受け入れて走り続けます。どこまでも理不尽は迫ってきて、それでもなお、走り続ける強さばかりを求めなくてはいけない、強迫観念にも似た強さの追求がどこまでも苦しいです。

    > この島の人たちはみんな、理不尽な運命に抗う処世術を、身のよじれるような悲嘆や像をからの自衛手段を教えられて、いまもそれを次の世代へ引き継いでいる。

    まともな知恵を継いでいくためにできることを考えて、実践することが求められる現実が、今もなお存在していることを突き付けられました。

    そして、語り口の軽妙さも、緩衝材としての一部で、意味のある描写だったのには納得しました。作者の好みくらいにしか思ってなかったので、わたしの読みの浅さも分かった本でした。

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著者プロフィール

1977年東京都生まれ。2008年『地図男』で、第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞しデビュー。同年『庵堂三兄弟の聖職』で第15回日本ホラー小説大賞、『東京ヴァンパイア・ファイナンス』で第15回電撃小説大賞銀賞、『RANK』で第3回ポプラ社小説大賞特別賞をそれぞれ受賞。2018年に刊行した『宝島』で第9回山田風太郎賞、第160回直木三十五賞、第5回沖縄書店大賞を受賞。著書にはほかに『畦と銃』『墓頭』『しるしなきもの』『黄昏旅団』『夜の淵をひと廻り』『われらの世紀』などがある。


「2021年 『宝島(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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