困ったときは再起動しましょう 社内ヘルプデスク・蜜石莉名の事件チケット

著者 :
  • 講談社
3.20
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本棚登録 : 64
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065246320

作品紹介・あらすじ

業務委託の情報システム部員、蜜石莉名のデスクには、今日も切れ目なくヘルプを求める声がリアルでオンラインで届く。
東京都中央区八丁堀駅近くの文具メーカーで働き出して二年が経った。
ーー私だけにできることを見つけられれば。
パソコントラブルから人間関係のトラブルまで、莉名は今日もコミットする。

チケットNO.1 ITに関するお問い合わせは情シスまで
チケットNO.2 パスワードは推測されにくく、人間関係は推測しやすいと助かります
チケットNO.3 WEBミーティングの裏側はお見せできません
チケットNO.4 円滑なパーティー運営が期待されています
チケットNO.5 困ったときは再起動しましょう

感想・レビュー・書評

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  • 社会人に成り立ての頃
    を思い出しました。

    プライドばかり高くて
    生意気で、

    思い返すと恥ずかしく
    なります。

    なんにもできないのに
    虚勢をはってた若い頃。

    いろいろできるように
    なった現在より、

    あの頃のほうが自信に
    満ち溢れて見えていた
    と思います。

    『実るほど頭を垂れる
     稲穂かな』ですね。

  •  謎の小説だ。いったいどんな気持ちでこの小説を書いたのだろう。何を目的としているのだろう。
     退屈といえばそうなるかもしれない。しかし、そういう問題じゃない。作家は、新しいことに挑戦したいと思う。事務小説。それもいいだろう。しかし、この小説、事務仕事の長い自分から言えば、事務小説とはとても思えないものに仕上がっている。
     むしろこの作家は何を書きたかったのだろう。不思議だ。何かと戦っているのか、読んでいて、書いている人間のしんどさが伝わる。不思議で、悲しい小説だ。もっとキャラクターを、生きた人間のように、いきいきできたはずである。
     事務小説を事務のように書いてどうなるだろう。事務仕事をしている人間はいつもこう思っている。「事務仕事は、いつでも取り替え可能な仕事。所詮、使い捨てられる。でも、どんな仕事も使い捨てはあるかもしれない。だから、いつかこの地獄から抜け出して、ちょっとでも自分の好きなことに関われる事務仕事をしたい」では終わらない。さらに続きがある。「しかし、事務仕事なんか辞めて、大冒険がしたい。そうして、また事務仕事に戻ってきたい」
     そう、無人島に漂着するなり、ヤクザにさらわれるなり、「嘘だろ!?」と思える展開で事務仕事を壊すこと。それからまた事務仕事に戻ってくること。それが事務小説なのだと思う。事務とは、人間の日常であって、特別でもなんでもないのだから、事務をぶち壊すことが、事務小説なのだから。

  • 2023.2.22読了。
    ガラッと作風が変わったような。

  • 派遣で社内ヘルプデスクとして初めて勤務する際に読んだ。
    ストーリー仕立てで楽しく仕事内容が理解できて有益だった。
    技術的な内容もかなり易しいので、IT知識がない人でも読みやすい。
    主人公のように人の気持ちを思いやれるヘルプデスクになれるよう、目の前のことを一つ一つがんばっていこう。
    焦ったら自分を再起動。

  • エンジニアとして、親しみが持てる内容。ほっこりしました。頼られる人になりたいよなぁ。

  • 文具メーカーの情シス部員(ヘルプデスク)が主人公の事件解決系お仕事小説。

    お仕事小説、特に事件解決系?はバリバリ働いているプロフェッショナルな主人公が多い気がして手に取るのを躊躇うことがあるのだけど(立派な経歴のない自分には眩しすぎて)、この小説の主人公・莉名はBBGの社員達に頼りにされながらも、内心では自信がなくて、だけれど自分なりに役に立ちたいとも思っていて……と日々悩みながら働いている。

    莉名の気持ちや行動にはとても共感できたし、莉名を取り巻く主要人物たちには嫌な人がいないので、すっきり前向きに読み終えることができた。恋愛要素なども程よい塩梅で良し。

    BBGのような職場などに巡り合えてずっと働いていけるのがいちばん理想的だけど、現実は過去の莉名のようにそういう場所や人間ばかりでもないよなあ……。御子柴や梅沢のように自分をきちんと見てくれる人がいる、頼りにしてくれる人がいるって、どれだけ良いことだろう。

    自分が変わる時・変わらなければいけない時もあれば、今のコロナ禍や作中のアフターコロナのように世の中全体の価値観が変わる事もある。少しずつでも自分オリジナルのアップデートを積み重ねていくことが大事なんだろうな。

    Linuxをもじった「莉名ックス」やおまじないの「再起動」「コミット・コミット」、とても良いなと思った。私も「再起動」を心がけよう。

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著者プロフィール

1981年埼玉県出身。ワセダミステリクラブ出身。『NO推理、NO探偵?』で「メフィスト」座談会を侃々諤々たる議論の渦に叩き込み、第53回メフィスト賞を受賞し、デビューを果たす。著書に『朝比奈うさぎの謎解き錬愛術』『ネタバレ厳禁症候群 ~So signs can’t be missed!~』『困ったときは再起動しましょう 社内ヘルプデスク・蜜石莉名の事件チケット』がある。

「2023年 『まだ出会っていないあなたへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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