- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065249611
作品紹介・あらすじ
大厄災により人類は1%未満まで減少、地球上のほとんどが不浄の土地となってしまった。生き残った人々は、わずかに残った土地で人工知能カーネにより生活を制御され、平和に暮らしていた。”殺人”などとは無縁の世界、のはずだったーー。
感想・レビュー・書評
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楽園のアダム/周木律
初めての周木律さんです。
手触りが良い装幀と鮮やかな色彩の装画に惹かれ、
次に読みたい本の候補にしていました。
数週間待ってやっと手にした本は、
やっぱり手触りが良くて触覚で先ず満足。
落ち着いた色合いが好みに合って、
視覚的にも満足。
頁をめくると紙の質もしっとりしてて
心地よく、気持ちよく読み進めました。
舞台は人類が大厄災で絶滅の危機に瀕し、
何とか生き残った人類がそれぞれに生業を持って
役割分担をして生きてる世界。
知を生業とする島のヤブサカの死が発見された事で、姿の見えない異物が島に入り込んだことが明らかに
なる。
その後も人の死は繰り返され……。
脅威に晒されなが謎の異物が存在する意味を
突き詰めていくと、とんでも無い真実が
隠されていた。
途中、どんな結末を迎えるのか読みながら
戸惑いました。
最後まで読まないと不完全燃焼で終わる
ところでした。
読み終えれてよかった。
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かつての地球とは異なり、人々は島ごとにコミュニティを作り平和な時代がやってきた。
そのなかの珊瑚礁の島と呼ばれる、知の研究を行う場所に生まれ育ったのは、アスム。
アスムは幼なじみのセーファと共に同じ研究室に所属している。
彼らは、亡くなった助教授が連れてきた「何か」に殺された。
その秘密を探すと共に、彼らの世界の秘密にも触れてしまう。
さて、本書の結末には私はあまり納得もできず、何かが叫ぶ言葉の意味もわからぬままで疑問が残った。
この世界の秘密についてはそうきたか、と思ったのだが。
「何か」がなぜ人々を襲うかという理由は、恐怖に震えるものと、そうでないものをはっきり分けるだろう。
私は前者である。
だから、なぜアスムがそれを納得できるのかはわからないが、研究者としての興味が恐怖に打ち勝ったのだ、と言われれば納得はできるかもしれない。
しかし一歩読み誤ると、少し違ったメッセージにとらえかねない。
楽園はこれからもつづくのだろうか。
世界の真実が明らかになってたとしても、この造られた楽園の常識は、何も珍しいことではない。
哺乳類の研究では珍しいかもしれないが、生物の中にはそれでもうまくやっているものもある。
男女を区分することは、楽園を継続させるのか、それとも……。 -
人類にとってどんな未来が一番ベターなのかは、人によって違っていて当然です。1000年後なんて自分には関係ないから人類なんて滅亡してもいいや。という事も思えたりするのですが、実際今まで綿々と続いてきたこの人間界が終了してしまうのは、やはり悲しいと感じます。
どんな形でも続いてほしいとは思うけれど、そもそも人間が世界であるという傲慢さから、地球の汚染を招いているのも事実。この数十年で生物が絶滅する数は15分に1種らしいですよ。僕の生まれた1974年ころは1年で1,000種。これでも多いですが、今は年間40,000種です。この中で人間が増加を続けているわけなので、実際異常ですよね。
閑話休題
この本は800年後生き残った人類の平和なコミュニティで起こった殺人をテーマにしていますが、びっくり仰天の展開もあります。それがスポンと胸にはまった人には名作。そうでない人にとっては迷作になる作品か。意識の高いSF小説。 -
男性側にたっても女性側にたっても、なんだか差別されているような気持になる不思議な作品。
最後まで真相わからず、モヤモヤと引っ張り続け本当に熊の仕業だったらあまりにもつまらないと思いながら読み進めるとあっと驚く真実。最初は、SFっぽくもありファンタジーっぽくもあり、あまり好みじゃなかったけど、思いもよらないラストで中盤以降はノンストップで読みました。
そして、タイトルが秀逸。あぁ。なるほどねぇ~。 -
作者に完全に騙されました。
平和に過ごすには、エコ贔屓のない機械に判断を任せるというのもありなのかもしれませんが、自分はいやだなと思いました。
楽園に欠けているのは「人間らしさ」なのかもしれないと思いました。
現代の社会を全く別の方法で投影した本かもしれないとも思いました。