僕が死ぬまでにしたいこと (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065250020

作品紹介・あらすじ

生まれたときからロス(損)している世代と言われているけれど、
そろそろ本当の自分の人生を起動したいーー。

40歳、フリーランスのライター、正規雇用経験なし、未婚。
たった一人の肉親である母を亡くしてから、漠然とした喪失感を抱えていた。
ある日、偶然再会した元同僚の「死ぬまでにやりたい10のこと」リストの作成を手伝ってから、
少しずつ世界が変わり始める。
--「ロスジェネ世代」と言われた自分たちは、いったい何を「ロス」してしまったのだろうか。

すべての人生を肯定する、注目若手作家の話題作! 文庫化に際し『ロス男』より改題。

感想・レビュー・書評

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  • 行き詰まった人生を起動したい、ロスジェネ世代中年男の物語

    以下、公式のあらすじ
    ----------------------
    40歳、独身、フリーライター。「喪失の世代(ロスジェネ)」と言われるけれど、どんな世代もそれぞれの喪失(ロス)を抱えて生きている。再び妻と暮らしたい73歳。突然やくざライターに転身した同級生40歳。普通に憧れる漫画家30歳。仙人志望の15歳。目を背けてきた喪失(ロス)と向き合い僕がみつけた「希望」は。文庫化に際し『ロス男』改題。

    幸福って、なんだ?
    幸せとか、愛とか、希望とか。
    大切なことはどうして曖昧なものばかりなんだ。
    答えろ、誰か。

    本当の人生を起動したい。

    希望を抱かぬ者は、失望することもない ーーバーナード・ショー
    若い時、人生はカネだと思った。いま歳を取って、それが真実だと知った ーーオスカー・ワイルド
    若い時、人生はカネだと思った。歳を取って、なにがなんだか分からなくなった ーーカンちゃん
    ----------------------

    主な登場人物
    吉井和人(40)主人公。母子家庭として育ち、最近母を亡くしたしがないフリーライター
    カンタロー(73)出版社の先輩でもあった飲み仲間
    小野(40)大学の同級生の中で唯一正社員のSEとして働いていた、がやくざライターに転身
    朝井名美(30)普通になりたいと願う、アスペルガー症候群と思われるマンガ家
    光希(15)筑波大学附属駒場中学に通う秀才。現代っ子を煮詰めたかのようにコスパや効率の悪いことには興味がない。吉井の母の主治医だった女医の母親とは難しいお年頃



    「そろそろ本当の自分の人生を起動したいと思った」という言葉
    「再起動」ではなく、「起動」なのは今は起動していないという事なわけで
    普通にフリーライターとして働いていても「起動」はしてないんだな
    しかしまぁロスジェネ世代は大卒の就職以降も踏んだり蹴ったりな対応をされてきたからなぁ
    人生に希望を持てなくとも仕方がないと実感する


    マンガ家の朝井
    生きづらいのでしょうねぇ……
    それでも何とかやっていけてるのは、母がそう育ててくれたからなのだろうか?
    そして、その母が残した恋愛に関しての言葉
    -------------------
    もしママがいなくなったあと、いまのままの君が好きだと言ってくれる人がいたら、その人と一緒にいられるように努力しなさい。努力しても好きになれなかったら、諦めなさい。あなたは一人が好き。あなたは一人でも生きていける。本当は全ての人が、最後は一人で生きていかなきゃいけないの。でも普通の人にはそれが難しい。だからママは思うわ。一人が苦にならないあなたの性格こそ、神様がくれた最高のプレゼントじゃないかしらって
    -------------------

    言葉は祝福であると共に呪いでもあるんだよね
    自己完結の人生を肯定するのは確かに適切な配慮ではあるんだけど、人と人の繋がりはもう結べなくなるわけで……
    でも、まずは努力する事を挙げているから、決して最初から諦めているわけではない
    それでも、「普通」の人は諦めきれずにチャレンジするものなのでしょうかね


    本当に幸せって何なんですかね?
    --------------------------------
    「幸福って、なんだと思います?」
    「いなくなって欲しくない人の名前を、すぐにあげられることじゃないかな」
    --------------------------------
    カンちゃんにとってはそうなんだろうけど
    他の人にとってはどうだろう?
    対象は人にかかわらず、なくなってほしくないものをすぐに挙げられることが幸せなのだとしたら
    持たざるものの幸せはどうなるのだろうか


    「希望を抱かぬ者は、失望することもない」バーナード・ショー
    という名言

    個人的には同意するんだけど
    救いのない状況はずっと絶望が続くようなものなので、全面的には頷けないかな


    よかった表現としては、名言は答え合わせというところ
    確かに名言はコスパのいい悟り集かもしれない
    ただ、それを答えとする人生かどうかも含めて答え合わせなんじゃないかと思ったり


    あと主軸ではないけど、登場する日本酒が豪華
    「十四代」なんて一般人はまず手に入らないし
    「而今」「飛露喜」も昔はもっと安かったり手に入れやすかったけど、今や入手困難な酒になってる

    この日本酒を集めるだけでもかなりの費用がかかってるはずなんだけど、この本はそんなに売れるのか疑問
    日本酒の宣伝広告費でも貰ってるとかって裏事情でもあるのだろうか?


    あと、カンちゃんはザルだというのに二人で一升飲めないのは違和感
    二人はともかく、三人だったら飲みきれると思うんだけど
    まぁ、それだけ味わって飲んだという意味も込められているのかもね

  • 出てくる人たちが全員面白い。

  • 1番応援してしまったキャラクター
    →カンちゃん 

    まさかの
    キャラクター全員と同じ経験&境遇の人達が 
    リアルライフで身近にいるので 
    私の日常を見ているようでした。 

    そしてリアルライフは読み切ることができなくてどろっとして痛い。 

    あ、でも、ライター転職後の小野さんと同じ境遇の方とはまだお知り合いじゃないかも。 

    人間やってりゃ 
    色々あるよね...
    が一番の感想でした。

  • 人生を進めたい。
    喪失の世代だけど人生を諦めたくない、1人の寂しさと虚しさの中に希望をみつけて少しずつ動き出す

  • そろそろ本当の人生を起動したい。恋したいし幸せになりたい。自分を諦めたくもない。

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著者プロフィール

平岡陽明
1977年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2013年『松田さんの181日』(文藝春秋)で第93回オール讀物新人賞を受賞し、デビュー。19年刊行の『ロス男』で第41回吉川英治文学新人賞候補。22年刊行の『素数とバレーボール』は、「本の雑誌」が選んだ「2022年度エンターテインメントベスト10」第3位。他の著書に『ライオンズ。1958。』『イシマル書房編集部』『道をたずねる』『ぼくもだよ。神楽坂の奇跡の木曜日』がある。

「2023年 『眠る邪馬台国 夢見る探偵 高宮アスカ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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