- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065259108
作品紹介・あらすじ
この人物を知らずして幕末史は語れない! 将軍継嗣問題、土佐勤王党の弾圧、大政奉還……。第一人者が描き出す幕末維新史の決定版!
感想・レビュー・書評
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/769056 -
「史上の人物」という存在の多くは「とりあえず名を聞いたことが在った…」という以上でも以下でもないのかもしれない。場合によっては「小説の主人公」というようなことで馴染みが深いかもしれない。が、実際「知っているような、知らないような…」ということにしかならないような気もする。
多彩な人士が現れて色々と活動する幕末という時代の人物に関しては、「とりあえず名を聞いたことが在った…」という感、更に「知っているような、知らないような…」という感がより強くなる傾向も在るのかもしれない。
「山内容堂」という人物も、その「とりあえず名を聞いたことが在った…」という感、更に「知っているような、知らないような…」という感の人物であることは免れ悪いかもしれない。が、この人物に脚光を当てた本書をゆっくりと読めば「実に面白い人物!!」ということになると思う。
“酔鯨”と、鯨が水を飲むかのように大酒を喰らうのだと豪語したという、酒好きな殿様だった。詩や骨董品を好む文化人的な一面も在るが、色々と艶聞も伝わるという人物だった。そういう個人的な事の他方、揺れた幕末の政局で独特な存在感を示した、そして「先駆的な考え方を持っていたかもしれない?」という、傑出した一面も在った人物であった。
明治維新を経て、「薩長土肥」と言われはしたが、“土”の土佐は主流というより傍流だった。それは山内容堂の佐幕的な姿勢が在ったからかもしれないというような、志士達の前に立ちはだかったかのようなイメージも在るのかもしれない。が、必ずしもそういうことでもないのだ。本書は、そういう辺りから起しながら、山内容堂という人物の来歴や行動を丹念に追いながら説いている。
「幕末期の大名」ともなると、「先代の嫡男が後継し、一定程度の期間に亘って領主として活動」ということでもなく、色々と煩雑な経過を経て先代の後を継いで行く例が多々見受けられる。山内容堂―最も知られている呼び方なので、本書では一貫して「容堂」で通している…―もそういう例に洩れない。土佐を領した山内家の分家に生まれ育ったが、色々と曲折が在って本家を継ぐこととなって、幕末期の歴史の舞台に登場した訳である。
そういう複雑な背景で登場したが故に、酒を好む、趣味に入れ上げるという一面も在ったのかもしれないが、他方で物怖じせずに堂々と意見を述べる人物であったという一面、様々な新しい知識を積極的に学ぶ一面も在り、諸大名との交際も盛んに行っていた。そして<安政の大獄>の辺りの経過で、山内家の家督を養子に譲って隠居して「容堂」を名乗るに至る。
そして彼の活動は「容堂」を名乗った以降も活発に続く。本書にはその辺が非常に詳しい。或いは、この人物の事績をここまで詳しく説いた類書は見当たらないかもしれない。「幕末の大名」ということでは、「最後の将軍」の徳川慶喜に対して、松平春嶽、島津久光(この人物は大名の父親ということだが…)、伊達宗城、山内容堂が「四賢侯」というようなことで存在感を示した経過が在った。この「徳川慶喜VS四賢侯」というようなこと、そして「四賢侯の相互関係?」というようなことに本書は非常に詳しい。
本書を読了すれば、「山内容堂」は既に「知っている」と言って差し支えなくなることは間違いない。実に興味深い人物に引き合わせて頂いた感だ。 -
◎意外に山内容堂の本は少ないので、初めていろいろ知りました。
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289.1||Ya
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東2法経図・6F開架:B1/2/2639/K