大人のいじめ (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065260944

作品紹介・あらすじ

「大人のいじめ」に、今、注目が集まっている。厚生労働省の統計によると、職場でいじめに遭っているという相談は、ここ10年で2倍に増加。
そこには、「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「人間関係の切り離し」「個の侵害」「過少な要求」「過大な要求」などが含まれる。
業種別にみると、いちばん相談件数が多いのは「医療・福祉」で、なかでも、保育園・介護施設が頭抜けている。また、近年、急増しているのが発達障害者、特にADHDの人に対するいじめだ。

筆者が受けてきた膨大な相談事例から、いじめの実態を紹介するとともに、その構造と背景を分析。最近の「職場いじめ」の特徴として見えてきたのは、会社の論理を内面化した同僚によって行われる「経営服従型」のいじめであり、「矯正」「排除」「反面教師化」を目的とし、その背景には、過酷な職場環境があった。

日本の職場で、「大人のいじめ」が、なぜ蔓延するのか? どうして、ここまで残酷になれるのか? 防ぐことはできないのか? これらについて考察し、対抗する手立てを提案する。

感想・レビュー・書評

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  • ー 労働者がいじめやハラスメントによって「分断」されるのではなく、この過酷な現状が資本主義社会の帰結であり、経営者たちの責任であることを把握し、その鬱屈や怒りを「正しい」方向に向けること。そのために、人々が一緒に声を上げること。

    この本は、このような理想論に基づいて書かれている、職場でのいじめについて述べた本。

    悪くはないと思うけど、教科書的なんだよな。
    本書に、職場としていじめを防止するもっと具体的な現実的な対応策を期待していたので、ちょっと肩透かし。

    いじめの事例の羅列には、読んでいて暗〜い気分になりました。
    特に、発達障害の同僚へのいじめ。
    確かに増えている気がするな。

    あと、ダントツで多いという介護や保育職場でのいじめや嫌がらせ。
    これを放置しているとこには、必ず利用者への虐待がついてくるんだろうな。怖い。

    • たけさん
      音楽聴きますよ。
      やっぱりアップテンポの曲が多いですね。ロックやテクノ、ヒップホップをメインに、歌える曲を何曲か混ぜて飽きないプレイリストを...
      音楽聴きますよ。
      やっぱりアップテンポの曲が多いですね。ロックやテクノ、ヒップホップをメインに、歌える曲を何曲か混ぜて飽きないプレイリストを作って聴いてます。
      2022/02/08
    • naonaonao16gさん
      やっぱり音楽あった方がいいですよね!
      もう少し外に出やすい気候だった頃散歩してたんですけど、何も聞かないとついいろいろかんがえてしまって…
      ...
      やっぱり音楽あった方がいいですよね!
      もう少し外に出やすい気候だった頃散歩してたんですけど、何も聞かないとついいろいろかんがえてしまって…

      ありがとうございました!
      トレーニングだけでなくジョギングにも興味があったので、参考にさせていただきます!!
      2022/02/08
    • たけさん
      最初はウォーキングから初めてくださいね。
      脚の筋トレとストレッチも欠かさずに。

      徐々に走るようしてください。
      でないとヒザ痛めます。
      最初はウォーキングから初めてくださいね。
      脚の筋トレとストレッチも欠かさずに。

      徐々に走るようしてください。
      でないとヒザ痛めます。
      2022/02/08
  • こちらに書評を書きました。

    https://www.rinen-mg.co.jp/web-rinentokeiei/entry-5081.html

    急増中だという「職場のいじめ」問題の概説書。
    労働問題に取り組むNPO法人「POSSE」の理事が、寄せられた多数の相談を踏まえて綴っている。
    中心となっている事例紹介は読んでいて気持ちがどんよりするが、内容は重要だ。

    職場いじめ事例の単なる羅列には終わっていない。
    いじめの類型をくわしく腑分け・分析したうえで、その背後にある“いじめを生む構造”にまで迫っているのだ。

    終盤では、著者の経験に基づき、職場いじめに対処するための実践的処方箋が提示される。当事者には大変有益だろう。

  • 暴力を伴ういじめは、犯罪である。その犯罪を抑えられないのは、被害者当人にも色んな事情がある。社会的に詰んでいるか、組織に弱みを握られているか、罪悪感を植え付けられているか、告白する能力がないか。組織は被害者をギリギリまで働かせる為、秩序の番人のようなガキ大将の存在を黙認する。自浄作用が働かない。弱った被害者には、その組織と戦うほどの気力がない。この本で言う解決策は、後一歩足りない。暴力を伴ういじめと、陰湿ないじめは別物だ。

    社会的に詰ませない為には、学歴や年齢、コミュ力で就労を制限しない事。少なくともハローワークがくそ求人を紹介し、雇用者側もそれに漬け込むような構図はNG。やり直しが効かない社会は、結局全員で損をするという構造が必要。奴隷の雇人の悪徳を許してはならない。

    陰湿ないじめは、無視や陰口のような直接性がないためハラスメントにも抵触せず、タチが悪い。これも、結局組織が求める同質性や同調圧力のような秩序に対する毛外のものへの作用であり、一人対多数の構図。結局、組織に守る意志がないなら退出する事が重要であり、退出しても不利にならないセーフティーネットが必要。社会が変わらなければ。

  • いじめの事例本。

  • 職場のいじめについて、近年の特徴、過重労働といじめの関係、保育・介護職場のいじめ、発達障害へのいじめ等、統計や多くの事例を示して説明してくれる。
    読んでいて「陰湿だなあ」と感じた。同僚のいじめについてもっと深掘りした資料も見たかった。

    ・職場いじめの約半数が「同僚」による行為
    ・長時間労働の「ガス抜き」としての暴力
    ・職場いじめが一番多い業界は「医療・福祉」
    ・会社への幻想はいったん捨てる

  • 人間だからなのか生き物だからなのか、優越をつけないと安心できないという悲しき性がある限りいじめはなくならないのだろうか?
    そんなことは無いと信じたい。

  • 高橋新書ガイドから。大人に関するいじめ論だけど、本質は子どもにおけるそれと同じ。場所が、学校から会社に変わっただけ。上司から(教師から)、と同僚から、の割合が逆転するくらいか。すぐ辞めるのでなく休職し、仲間を集め証拠を集め、っていう最後のまとめの談は、具体的な対応方法として知っておいた方が良さそう。

  • 読んでて辛くなるような、凄惨ないじめ現場の描写が多い。それだけ、「大人のいじめ」が深刻な社会問題になっているのだろう。「資本主義の限界」が、こういう形にもよく現れている。

  •  「パワハラ上司を科学する (津野香奈美著)」からの流れ読み、図書館で借りた。
     職場のいじめってここまで酷いのか...。「経営服従型」「規律型」のいじめ、「職場に少しでも迷惑をかける」「コストを優先しない」「経営の論理・市場の論理に適合的でない」労働者は平等に扱われない、この寛容性のなさが日本の職場に蔓延しているということか。普通の日本人でも働きにくい職場、ましてや外国人労働者をはじめとするマイノリティや日本人の障害者等のマイノリティが安心して働けるわけがない。
     日本人の気質からしていつでも誰もが加害者になる、気をつけなければ。心理的安全性が豊かな生活を育むのだから。

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著者プロフィール

NPO法人POSSE理事

「2021年 『POSSE vol.49』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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