現代思想入門 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065274859

感想・レビュー・書評

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  • タイトルには『入門』という文字が入っていますが、知識の乏しい私には、少し難易度が高い1冊でした。
    しかし、内容はとても考えさせられるものでした。本書を通じて、『二項対立』になりがちな思考プロセスを改めたいという気持ちになりました。
    たしかに哲学を学んでも、私にとっては1円の価値も無いかもしれません。ただ、経済的価値の順番を低いものとして考え直すと、お金を生まないことを考え抜いて、思考レベルを上げることにこそ、本当の意味があるのかも、と、思えたことが私にとって収穫でした。

  • デリダ、ドゥルーズ、フーコーを中心に、現代思想の輪郭をざっと素描する一冊。誰かが言っていたことだけど、「今では当たり前に思考されている方法が、かつていかにラディカルな発明だったか≒今ではベーシックとして認識されているビートルズがいかにラディカルだったか」みたいな再定義を与えてくれる。

  • ゼミの参考文献として一読。内容が豊富かつ読みやすかった。レファレンスとして今後もお世話になると思う。

  • 現代思想のエッセンスを、限りなく濃縮して一般人にも分かるように伝えてくれる名著。
    研究者として現代思想畑で着実に実績を積んできた千葉氏だからこそ、ある時は簡略化し、ある時は肝の部分だけを切り取って提示しているのだとしても、大きな信頼感を持って読者に直截届くのだと思う。
    日常生活では、いろいろな価値判断が二項対立に陥りがちだ。どちらかが優れていて、どちらかが劣っていると見ることが多い。その固定されたものの見方から逃れるように、脱構築はその背後に本来ある差異化の運動に収斂させていくものだと思っていたけど、行き着く先は何もかもが不確かな相対主義に陥る可能性がある。
    そうではなくて、脱構築と仮固定との不断の運動が志向されていることが新たな発見だった。

    とは言っても、「現代」思想もすでに何十年も前の潮流だ。日常的な思考からすると、まだまだ浮世離れした真新しい理論のように思われるけど、思想の体系としてはすでに吟味され尽くしてしまったのかもしれない。
    そこから今後どのような新たな視点が生まれるのか、ある種の諦観と期待とともに開示されているように思う。

  • 前半は非常に読みやすいが、後半から難解になっていく。

  • いわゆる「現代思想」と言われるポストモダンの哲学史的な立ち位置と概要が簡潔に述べられている。特に、「ジャック・デリダ」、「ジル・ドゥルーズ」、「ミシェル・フーコー」を中心として、それぞれを「概念の脱構築」、「存在の脱構築」、「社会の脱構築」としてとらえかみ砕いてくれているところに著者の力量が現れている。そしてさらにそれぞれの哲学の応用、活用のハウツーまで丁寧に行っている。人文書としては行き届きすぎていて、本来は下世話な感まで残るところだが、著者がそれをあえて行っているところに、著者の現代社会に向けた、特に人文離れがはなはだしい若者に向けたアイロニーを感じてやまない。

    しかしやはり著者の千葉氏のポストモダン思想に対するパラフレーズの鮮やかさが強烈に印象に残った。いや、すごいなと。

  • あらゆる秩序は仮固定的。
    絶えず逸脱を起こしながら共存させる。

  • ・「現代思想は、秩序を強化する動きへの警戒心を持ち、秩序からズレるもの、すなわち「差異」に注目する」「20世紀の思想の特徴は、排除される余計なものをクリエイティブなものとして肯定した」「いったん徹底的に既成の秩序を疑うからこそ、ラディカルに「共」の可能性を考え直すことができる」「秩序をつくる思想はそれはそれで必要です。しかし他方で、秩序から逃れる思想も必要だというダブルシステムで考えてもらいたい」「物事を「二項対立」、つまり「二つの概念の対立」によってとらえて、良し悪しを言おうとするのをいったん保留する」「二項対立はある価値観を背景にすることで一方がプラスで他方がマイナスになる」「二項対立のどちらがプラスなのかは、絶対的には決定できない」「(二項対立が)互いに押し合いへし合いしながら、絡みながら展開されるグレーゾーンがあって、そこにこそ人生のリアリティがある」といった考え方が現代思想だとあらためて認識できて、古典になりつつある現代思想が今日まさに困難を越えるための考え方として必要とされると感じた。

    ・昨今「対話」というキーワードがブームで、良し悪し、正誤の判断をいったん保留にして共感的に話しあうことが重視される。この「対話」という時代のキーワードとの共鳴も感じる。

    ・現代思想の考え方の4原則は日常の違和感を検討する際にも有効だと思った。
    【現代思想を作る4つの原則】
    1.他者性の原則
    2.超越論性の原則
    3.極端化の原則
    4.反常識の原則

    ・本書はこれまでの難解な書かれ方の常識を破り、日常会話をしているような平易な言葉でエッセンスを伝えている。まさに常識からの逸脱であって、それでいて秩序だった内容理解がともなうというものになっている。秩序と逸脱の統合を体現していると感じた。

  • 入門書の入門書としてまずデリタ、ドゥルーズ、ガタリを非常に分かりやすく教えてくれる。
    分かりやすく親切な本である

  • f.2022/7/2
    p.2022/3/20

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著者プロフィール

1978年生まれ。立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授。
著書に『意味がない無意味』(河出書房新社、2018)、『思弁的実在論と現代について 千葉雅也対談集』(青土社、2018)他

「2019年 『談 no.115』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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