- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065280447
作品紹介・あらすじ
法科大学院の教授、平手理沙子が都内の運河で水死体となって発見される。平手教授の遺品に
「密告の件、水戸Lへ」と書かれたメモが見つかり、弁護士の水戸裕介に警視庁の刑事が事情を訊きにくる。
水戸は「密告の件」について、心当たりがなかった。
才色兼備で世間から注目を浴びている弁護士の丘野ヒロ子が、水戸がパートナーを務める法律事務所を訪れる。
丘野が扱う交通訴訟の依頼人が弁護士会に懲戒請求し、弁護士会から「業務停止六ヵ月」の処分を宣告されたという。
処分に納得がいかない丘野は、日弁連に異議を申し立てるため水戸への助力を求めてきたのだ。
弁護士業界に潜む苦々しい実態に、水戸は怒りを隠せない。さらにその丘野弁護士が平手教授殺害の容疑で逮捕されてしまう!
ふたりの女性の間に何があったのか? かけだしの若き弁護士が法曹界の腐敗に切り込む、熱きリーガルサスペンス!
『法廷弁論』を文庫化に際し、改題。
感想・レビュー・書評
-
加茂隆康『密告の件、Mへ』講談社文庫。
現役弁護士が描くリーガル・サスペンス。『法廷弁論』の改題、文庫化。
大分前に読んだ『死刑基準』『審理炎上』で主人公を務めた若手弁護士の水戸裕介が本作でも主人公を務める。
真犯人の意外性という点に驚いた。ここまでのことが描かれると、もう何を信じて良いのか……しかし、今の世の中はこのくらい腐り切っているのかも知れない。
本作の中では辛うじて正義が勝つが、現実の世界では正義が勝つとは限らないという恐怖。
法科大学院の教授・平手理沙子が都内の運河で水死体となって発見される。平手教授の遺品に『密告の件、水戸Lへ』と書かれたメモが見つかり、警視庁の刑事は弁護士の水戸裕介の元に事情を聞きに来る。メモについて全く心当りの無い水戸は平手理沙子の夫を訪ねるが、手掛かりは得られなかった。
そんな中、テレビのコメンテーター、CMなどで世間から注目を浴びていた弁護士の丘野ヒロ子が交通事故の訴訟を巡り、弁護士会から業務停止6ヶ月という重い処分を受けたが、不当であると水戸に助力を求める。
ところが、丘野ヒロ子が平手理沙子教授殺害の容疑で逮捕され……
定価858円
★★★★詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読み応えがあった
主人公弁護士と縁のあった法科大学院の教授が殺害され、警察から教授が自分に伝えたいことがあったようだと知る
時を同じくして今をときめく女性弁護士が受けた懲戒請求の異議申立の代理人を引き受けることになる
資産家の巨額の財産がなくなる事件も絡んできて、事態は予想もしない方向へと進んでいく
弁護士=エリート=お金持ちのイメージが実際はそうではなく、熾烈な競争、足の引っ張り合いが常態化している
成功している弁護士には羨望と嫉妬が渦巻き、少しの躓きも見逃さないと目を光らせている者がいる
法定での論戦は読んでいてスリリングで面白い
主人公弁護士は弁護士=エリート=お金持ちだけれど、自身の実体験が根底にありブレることがない
弁護士に限らず、こういった人が一番強いのだと思った -
殺人事件の被害者が残した「密告の件」とは? 気鋭の若手弁護士が法曹界の腐敗に切り込む。