「心の病」の脳科学 なぜ生じるのか、どうすれば治るのか (ブルーバックス)

制作 : 林(高木) 朗子  加藤 忠史 
  • 講談社
3.54
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本棚登録 : 577
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065283639

作品紹介・あらすじ

【最新研究から見えてきた精神疾患のしくみと治癒への道筋】

・うつ病の脳では炎症が起きている?
・遺伝要因と環境要因、どちらの影響が強いのか
・統合失調症の幻覚は、脳の神経回路の配線障害が原因?
・ロボットが、自閉スペクトラム症の患者を支援する
・ゲノムの中を飛び回る遺伝因子が統合失調症を引き起こす?
・認知症薬でPTSDのトラウマ記憶を消せるかもしれない
・精神疾患の根治薬の開発を実現するには ……など

うつ病、自閉スペクトラム症・ADHDなどの発達障害、PTSD、統合失調症、双極性障害……
多くの現代人を苦しめる「心の病」は、脳のちょっとした変化から生まれます。
誰にでも起こりうるこの病は、何が原因で、
どのようなメカニズムで生じるのでしょうか?
さまざまな角度から精神疾患の解明に挑む研究者たちが、研究の最前線をわかりやすく解説。
そのしくみから、「治る病」にするための道筋まで。

感想・レビュー・書評

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  • レビューが追いつかない…

    新生活が始まってすぐにゴールデンウィークに入って、そのまままた新しい一週間が始まった。
    仕事も、楽になったはずの通勤にもあんまり慣れなくて、なかなか読書の時間がとれない。当然、レビューを描く時間なんてもっととれない。
    先月読み終わった作品のレビューを、今さらながらに描いてみることにする。

    これだけ医学が進歩しても、未だに解明されていない、うつ病、統合失調症、発達障害などの精神疾患の謎に迫った作品。
    無事精神保健福祉士の資格を取得したわたしとしては、とても興味深い作品として手に取った。
    (みなさん本当に応援してくださりありがとうございました!)

    細胞学、遺伝学、神経学など、それぞれの専門家がそれぞれの立場で、最先端の研究をもとに、精神疾患の謎に迫る。
    どのように発症するのか。
    脳の、細胞の、神経の、どの部位が反応しているのか。
    日々、実験を重ねる。
    途方もないことだなと思う。毎日仮説検証していく日々というのは。
    だからこそ、そこから得られる発見はとんでもないことで、山中伸弥さんが発見したiPS細胞は、こうした研究を重ねる人たちにとって、とてつもない成果だったことがわかる。

    ただ、分かりやすく描かれているとはいえ、やはりすごく読むのに労力というか脳みそを使う作品で、かなりエネルギーを使った。
    「シナプス」なんて言葉も、精神保健福祉士の勉強の中で触れたものの、当時教科書のどこを見ても鼻と鼻クソにしか見えない図しか載っていなくて、全然分からなくて、結局理系の知人に猿でも分かるように解説してもらったのだ。結局、脳の話に触れるには、まずはこの「シナプス」を理解しなきゃならない。わたしはそうやって事前に知人から聞いていたから、この作品の冒頭でシナプスが出てきた時になんとなく読み進めることができたけれど、その後出てくる塩基配列やDNAについて触れられている部分なんかはもう大苦戦!

    各専門分野で、精神疾患について分かってきている部分も増えてきている。ただ、現在のように、体調不良を抱えた患者が病院を訪れ、自分の症状を伝える、というやり方では根本的な原因が分からず、対処療法にしかならないのだ。
    その体調不良(例えば、抑うつ状態)の原因が、脳にあるかもしれないし、遺伝子にあるかもしれないし、環境にあるかもしれない。もしくはそれら全てが関与している可能性だってある。それらは、患者が自分の状態を伝えるだけでは見えてこない。さらに、それを伝えたところで医者がそれをどう捉えるかもわからない。ここで紹介されている研究が実用化され、誰でも平等に検査が受けられて、ふさわしい治療を受けられることができるようになるには、どうすればいいのだろう。そしてそれには、何年かかるのだろう。

    例えば、ここで様々な分野の専門家が発表した最先端の実験結果を、それぞれの分野の専門家が共有して「なるほど!」ってなって、また新たな発見があったりするんだろうか。そうやって分野を超えて横断的に精神疾患を捉えた時、精神疾患はもはや精神疾患ではなく、脳の疾患、遺伝子の疾患、とかになっていったりするんだろうか。
    わたしにはそこまでの発展的な理解はできなかった。
    「なるほどー」と思ったり思わなかったりして、とにかくついていくのに必死だった。

    そして今は、新しい職場で、新しい日々についていくのに必死な毎日を送っている。
    Help!

    • naonaonao16gさん
      bmakiさん

      こんにちは!
      コメントありがとうございます^^

      職場では電話の出方や転送方法から教えてもらい、通勤はバスを使うので今日み...
      bmakiさん

      こんにちは!
      コメントありがとうございます^^

      職場では電話の出方や転送方法から教えてもらい、通勤はバスを使うので今日みたいな雨だとバスの遅れやらなんやらでハラハラしてます…
      内容も一つ一つ確認しながらなので疲れます…

      キスマイがそんな曲出してるのは知りませんでした笑
      あ、キスマイの深夜の恋愛番組見てますよ^^

      仕事しながら資格取れたのは自信に繋がりました!
      来年度また新しい福祉の資格が創設されるので挑戦する予定です!

      2023/05/15
    • bmakiさん
      雨の日のバス大変そうですね。。。
      新しい職場だと、そうかぁ、電話の出方や転送方法も会社によって違いますよね。。。

      キスマイのはこちら...
      雨の日のバス大変そうですね。。。
      新しい職場だと、そうかぁ、電話の出方や転送方法も会社によって違いますよね。。。

      キスマイのはこちらで、2:20頃シナプス出てきます(笑)

      あ、見なくていいですよ(笑)
      https://youtu.be/wR1_PNPKWoQ

      資格の取得って、誰にでも出来ることではないですもん。自信に繋がると思います(*^^*)

      凄いなぁ、また次に挑戦!
      本当に素晴らしいです!
      私も爪の垢煎じて飲ませて頂きたい。。

      ばばあになってくると、全てのことに臆病になってしまって(^_^;)
      naonaoさん見習わないとなぁ。。。
      2023/05/15
    • naonaonao16gさん
      bmakiさん

      おはようございます!

      まあ、今日みたいに晴れると気分はいいのですが、自転車での移動は迷子にもなるので、それはそれで要注意...
      bmakiさん

      おはようございます!

      まあ、今日みたいに晴れると気分はいいのですが、自転車での移動は迷子にもなるので、それはそれで要注意です笑

      キスマイの曲ありがとうございます~
      ちゃんと見ましたよ!笑
      感じ合うシナプスの奥で…と言ってたような…うーん…よくわかりません笑
      それよりも藤ヶ谷太輔のイケイケ感に目がいってしまって!

      資格はもはや趣味みたいなもんです笑
      人生に刺激がないと物足りない気持ちになってしまうタイプなので、わたしにとってはスパイスみたいなものです。
      っていうと語弊があるかもしれないですけど…
      2023/05/16
  • 専門用語満載だけど、分かりやすくて面白かった。
    精神疾患を「心の病」だと思っていたが、「脳の病」である。心は脳の働きで生み出されるのだから(そもそもそんな認識がなかったのだけど)、脳の病なのだろう。
    でも、この本を「初めから」読んでいくと、複雑な脳のメカニズムやら、なんやら?で、色々あるのに?何故かとても素直に納得できた(不思議だ)
    ただ脳はあまりにも複雑で、環境等々様々な影響を受けるし、生きている人間の脳の状態を細部まで調べるのは不可能に近い。このような厳しい状況下で人間界を代表するトップクラスの頭脳の持ち主である数多の研究者たちが模索し根気よく精神疾患を「治る病」にすべく奔走されていることに敬意を払わずにいられない。

  • いわゆる精神病と言われる病。
    「うつ病」「統合失調症」「双極性障害」「ASD」「PTSD」等など。

    これらは目に見えない人の心の領域ではあるが、現存する物質である人体を依り代としているのだから物理的・生物学的な現象がどこかに生じて、このような病を発現しているはず。

    というように精神病の結果系を見るというよりは、現象の原因として遺伝子や脳内の神経細胞を探ろうという試みの紹介である。

    が、正直門外漢には難しすぎて途中で興味を失ってしまったので☆3つ。

    ただ、よく聞くうつ病、双極性障害、統合失調症はみなよく似たものだと思っていたが、その発現機構は全く違うことに驚いた。

  • 心の病、精神疾患は、身体の病気に比べて、とかくわかりにくい印象がある。
    それは、精神疾患に関わる「脳」が複雑な仕組みで働いており、その全容の解明が困難であることに一因がある。
    しかし、脳を知る「脳科学」の研究はさまざまな面で進んできており、精神疾患の治療も進歩してきている。そうした最先端を紹介しようという1冊。

    第1部では、脳の仕組みを解説し、シナプス・ゲノム・脳回路という3つの階層から疾患がどのように生じるのかを見ていく。
    第2部では、脳の変化が「心」にどう作用するのかを、ストレスや遺伝子変異、外部環境と関連して考察する。
    第3部では、対症療法でない、精神疾患の治療法への道筋。PTSD、双極性障害、自閉スペクトラム症といった疾患を、薬剤やニューロフィードバック(脳血流や脳波のリアルタイムのフィードバックを通じて、特定の神経活動が自己調整できるようにトレーニングする手法)、ロボットを使用して治療することを目指す。

    各章、別々の研究者が執筆しており、紹介される手法や対象疾患が多種多様であるのが特長。
    全体に、意外に進んでいると感じると同時に、まだまだ未知数が多いという印象を受ける。
    脳の機能が複雑であること、適切なモデルが作りにくいことがやはり脳研究が困難である所以だろう。
    ニューロフィードバックは、例えば、ヘビを見て怖いと思うような恐怖反応を軽減させることにもつながるようでなかなか興味深い。一方で、この手法がうまく行った場合、悪用されて思わぬ方向に意識を捻じ曲げられるような事例が出ないのか少々気になる。

    なかなか一朝一夕には進まないのだろうが、様々な方向からのアプローチを積み重ねていくことで、時に目覚ましい発展があるのがこの分野であるのかもしれない。

  • さすがのブルーバックス、素人目線では専門的なお話が多く、理解するほど読み込めませんでした。

    「どうすれば治るのか」については、あまり身近にできそうなことは少なく、まだまだ研究段階なのだなという印象でした。

  • 脳科学の本、おもしろそう、と手にしたが、
    難解!学術的!科学的!専門的!テクニカルターム続出。ついていけない。
    やがて気づきました。これはブルーバックス。
    難しいのは当然だった。

    ということで、わかるところだけつまみ食い。

    ASD。自閉スペクトラム症、コミュニケーション障害。
    ADHD。発達障害。
    そこに書かれている症状は、いま私が頭を悩ませている相手の特徴と酷似する。

    苦手なこと
    ・興味が薄いことに注意が持続しない
    ・あることに関心を持ち続ける
    ・忍耐強く待つ、取り組むこと
    ・ミスのない作業、作業の完結
    ・感情をコントロールする
    ・分析的な思考
    ・順序だてて説明する
    ・巧みな嘘をつく
    ・傷つきからの立ち直り

    下6つはぴったり。
    こういうものを背負ったうえで、
    どうやって社会人生活を送ってもらうか、だな。

    遺伝子、環境、、、
    脳はまだまだ奥深い。謎だらけだ。

  • 神経変質疾患や、精神病を、脳の機能から分析、対策の進化や、問題に触れる。
    各章毎に筆者が異なっていることもあって、幅広い上に、一個一個の掘り下げが深いこともあって、まとまりもなく、逆に浅い感じもして、えー、難しかったです。

    ちょっと興味のある人が読むには向いてないかな。
    入り口ではあるが、マジに、興味がある人向けな気がする。

  • 統合失調症、双極性障害、ASDやADHDといった発達障害、PTSDなど、「心の病」についての脳研究がどこまで進み、それが治療にどう生かされるかという最先端の研究を平易な形で述べられた本。平易といっても現在の研究は分子医学であり、理解が難しい。多少、臨床に生かせれそうな知見もあるが、精神疾患自体が単純な遺伝的要因だけではないため、研究が難しく、その本体に迫るのは困難なようだ。しかし研究者の言葉は明るく、未来は必ず開けるという姿勢には好感が持てた。

  • 感想
    心も風邪を引く。仕組みがわかれば治療可能な病気となる。本人だけでなく社会にとっても重要。偏見をなくし支え合える世界を作る一歩。

  • 『「心の病」の脳科学 なぜ生じるのか、どうすれば治るのか』
    編著:林 朗子(高木 朗子)
    編著:加藤 忠史
    発売日:2023年02月16日
    定価:1,210円(本体1,100円)
    ISBN 978-4-06-528363-9
    通巻番号 2224
    判型 新書
    ページ数 288ページ
    シリーズ ブルーバックス

     うつ病、自閉スペクトラム症・ADHDなどの発達障害、PTSD、統合失調症、双極性障害……。多くの現代人を苦しめる「心の病」は、脳のちょっとした変化から生まれます。誰にでも起こりうるこの病は、何が原因で、どのようなメカニズムで生じるのでしょうか? 様々な角度から精神疾患の解明に挑む研究者たちが、研究の最前線をわかりやすく解説。そのしくみから「治る病」にするための道筋まで。
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000367265

    【簡易目次】
    第1章 シナプスから見た精神疾患 ~「心を紡ぐ基本素子」から考える:林(高木)朗子
    第2章 ゲノムから見た精神疾患 ~発症に強く関わるゲノム変異が見つかり始めた:久島周
    第3章 脳回路と認知の仕組みから見た精神疾患 ~脳の「配線障害」が病を引き起こす?:那波宏之
    第4章 慢性ストレスによる脳内炎症がうつ病を引き起こす? ~ストレスと心と体の切っても切れない関係:古屋敷智之
    第5章 新たに見つかった「動く遺伝因子」と精神疾患の関係 ~脳のゲノムの中を飛び回るLINE-1とは :岩本和也
    第6章 自閉スペクトラム症の脳内で何が起きているのか ~感覚過敏、コミュニケーション障害…様々な症状の原因を探る:内匠透
    第7章 脳研究から見えてきたADHDの病態 ~最新知見から発達障害としての本態を捉える:岡田俊
    第8章 PTSDのトラウマ記憶を薬で消すことはできるか ~認知症薬メマンチンを使った新たな治療のアプローチ:喜田聡
    第9章 脳科学に基づく双極性障害の治療を目指す ~躁とうつを繰り返すのはなぜか:加藤忠史
    第10章 ニューロフィードバックは精神疾患の治療に応用できるか :柴田和久
    第11章 ロボットで自閉スペクトラム症の人たちを支援する :熊﨑博一
    第12章 「神経変性疾患が治る時代」から「精神疾患が治る時代」へ :勝野雅央
     
    ・ビッグデータ解析から精神疾患に迫る:橋本亮太
    ・計算論から精神疾患を捉える方法:磯村拓哉、高橋英彦
    ・脳神経系のエピジェネティクスと「心の病」のつながり
    ・ヒトiPS細胞を使って精神疾患を研究する方法:中澤敬信
    ・複雑性PTSDとは
    ・適応障害とうつ病の間

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